ギディーとカルーソのトレードにおけるサンダーとブルズの評価:サンダーが見せた完璧な動き

Stephen Noh

YOKO B

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6月20日(日本時間21日)、シカゴ・ブルズがオールディフェンシブ・ガードのアレックス・カルーソをポイントガードのジョシュ・ギディーと引き換えにオクラホマシティ・サンダーにトレードしたというニュースはNBA界に衝撃を与えた。『ESPN』のエイドリアン・ウォジナロウスキー記者が最初に報じたものだ。

素晴らしいディフェンスとクラッチショットでチームの勝利に貢献したカルーソは、一気にシカゴのファンの人気者となった。一方、オクラホマシティでのスター性が薄れていたギディーにとっては、今回の移籍は新たなスタートとなる。

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このトレードではどちらのチームが優勢だったのか見ていこう。


ブルズのトレード評価

ブルズがようやく方向性を定め、自分たちのチームが行き詰まっていることを理解したことは評価したいが、守備の要だったカルーソを失ったことで彼らはさらに悪化するだろう。

ブルズはチームの一新が急務だ。その点では、30歳のカルーソと引き換えに21歳のギディをー獲得することは理にかなっている。しかし、本当に得られるものはこれだけだったのだろうか?報告はまだ入ってきていないが、このトレードは現在純粋に選手同士の交換で、ブルズはドラフト指名権を得ることはないとされている。

昨シーズンのトレード期限にはカルーソへの関心が数多く報じられていた。『CHGO』のウィル・ゴットリーブ記者によると、複数の球団からオファーがあり、中にはプロテクト付きの1巡目指名権を複数提示した球団もあったという。そのうちの1つは今年のドラフトでトップ10に入るはずだったものだ。

当時、ブルズはこれらのオファーを受けるどころか、プレイオフに向けて不運な結果に終わる動きを見せ、最終的にはプレイイン・トーナメントのエリミネーションゲームでマイアミ・ヒートを相手に屈辱を味わった。カルーソに固執した彼らは今日、かなり悪条件のトレードを手にすることになった。

ギディーは将来有望だ。すでにリーグ最高のインバウンドパサーであり、狭いスペースにバウンドパスを通すことにかけては達人でもある。サンダーでのプレイで実証されたように、成功するためには適切なフィットを必要とする個性的な選手だ。

しかし、ギディーには明らかな弱点がある。改善されたとはいえ、今シーズンの彼の3ポイントショット成功率はわずか33.7%で、ほとんどのケースでワイドオープンだった。彼をガードするのは相手チームのセンターで、より優れた選手のヘルプにまわれるように15フィート(約1.5メートル)ほど離れていたのだ。

ギディーは守備も得意ではない。プレイオフではずっと彼が狙われていた。

ギディーのオフェンスにおける最大の問題点の1つは、フリースロー率が極端に低いことだ。サンダーでのレギュラーシーズンの全210試合に先発出場しているにもかかわらず、1試合あたり2本以上のフリースローを打ったことがない。彼はドライブしてコンタクトするよりも、平凡なフローターに落ち着くことがあまりにも多い。

そうした弱点はあるものの、ギディーのビジョンは特別だ。彼は優れたコネクターであり、新しいチームで大きな役割が与えられればもっと力を発揮できるかもしれない。それは素晴らしい展望ではあるが、そのためにカルーソを移籍させたことは代償が大きすぎる。

指名権について新たな情報が入れば印象はもっと良くなるかもしれないが、今のところ、このトレードはブルズにとっては大失敗だ。

評価:D-

Josh Giddey
(Getty Images)

サンダーのトレード評価

このトレードはサンダーにとって最高の強奪である。ギディーは才能ある選手だが、明らかに今のロスターにフィットしていなかった。彼が最も効果的にプレイするにはボールを持つ必要がある。彼を移籍させる必要があることは1年前からわかっていたことだ。ダラス・マーベリックスとのプレイオフ2回戦のシリーズが終わる頃には、彼は先発ラインナップの座を失っていた。

2025年の夏に制限付きフリーエージェントになる予定だったギディーに新たな契約で報酬を支払う代わりに、来シーズンの年俸がわずか990万ドル(約15億7400万円/1ドル=159円換算、以下同)というカルーソのリーグ最高の契約の1つを使ってサンダーはギディーを動かすことに成功した。

カルーソは、ギディーができなかったことすべての点でサンダーにフィットするだろう。ギディーが平均以下のディフェンダーであるのに対し、カルーソはリーグ最高のペリメーター・ディフェンダーだ。1番から4番までスイッチできる能力と驚くべき1対1のディフェンスがさらに重要になるプレイオフでは、彼のスキルがさらにパワーアップする。

また、カルーソはギディーよりもはるかに有能なシューターで、シェイ・ギルジャス・アレクサンダーやジェイレン・ウィリアムズのドライブにスペースを与える。昨シーズンのカルーソの3P成功率は40.8%だったが、さらに重要なのは、例年よりもショットを放つ意欲が高かったことだ。サンダーはラインナップにシューターがいなかったためにマブスに敗れている。今後はそういうことはないだろう。

カルーソは素晴らしいインタンジブルズ(数字や形に表れない価値)をチームにもたらす。彼はリーグで最高のコミュニケーターであり、優れた教師でもある。デマー・デローザンは、彼のバスケットボールの才覚を大学教授のそれに例え、チームの起爆剤だと言っている。

さらに驚くべきことは、Spotracによると、サンダーが2500万ドル(約39億7500万円)のキャップスペースのほとんどを維持できるということだ。彼らにはまだこの夏引き続きビッグネームを追加してさらに良くなる手段がある。

サンダーはこのトレードの前の時点ですでに眠れる獅子(実力がありながらまだ本領を発揮していないチーム)だった。このトレードで、彼らはプレイオフでチームをガイドしてくれるNBA優勝経験のあるリーグ最高のベテランの1人を獲得した。これは、ボストン・セルティックスを優勝候補に押し上げたデリック・ホワイトのトレードの改訂版のように思える。

これにより、サンダーは私がトレードの評価で初めてA+をつけるチームとなった。

評価:A+

原文:Josh Giddey and Alex Caruso trade grades: Thunder earn a perfect score in disastrous deal for Bulls
翻訳:YOKO B

Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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静岡県出身。大学卒業後渡米し、オクラホマ大学大学院修士課程修了。2014年よりオクラホマシティ在住。移住前にNBAのオクラホマシティ・サンダーのファンとなり、ブログで情報発信を始める。現在はフリーランスライターとして主にNBA Japan/The Sporting Newsに寄稿。サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。