インバウンドパスの名手ギディーはなぜ「SLOBの魔術師」と呼ばれるのか?

Stephen Noh

YOKO B

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オクラホマシティ・サンダーのジョシュ・ギディーは、以前からリーグ屈指のインバウンダー(インバウンドパス/スローインをする人)の1人だ。サンダーファンはわずかな隙間を縫ってパスを通す彼の才能に熱狂してきたが、彼のその優れたスキルは全米の注目をも集め始めている。

ちょっと変わった注目のされ方をしたのは、あるツイート(Xの投稿)で奇妙なニックネームが広まったことがきっかけだった。

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ジョシュ・ギディーはSLOBの魔術師

ギディーのサイドライン・アウト・オブ・バウンズ・パス(NBA用語ではSLOBパスと略されるインバウンドパス/スローインのこと)のスキルを見て、『The Athletic』のジョン・ホリンジャー記者はこの週末、彼に図らずも笑えるニックネームをつけた(※訳者注:"slob"には『だらしない人、不精者』という意味があり、どちらかというと軽蔑的に使われる)。

この投稿はギディーの目に留まり、彼は好意的に反応している。

過去1年間に彼が投げたパスを見れば、その称賛は極めて当然である。

ジョシュ・ギディー最高のインバウンドパス

10月27日(日本時間28日)のクリーブランド・キャバリアーズ戦でギディーが放ったあのパスは一度限りのものではない。彼はNBAに入って以来、ディフェンスをものともしない素晴らしいパスを出し続けている。

彼は、腕の角度を変えて狭い空間にパスを通すクォーターバックのようだ。

ディフェンダーが見ていなければ、ギディーは頭越しのパスも平気で投げる。

ギディーの最大の特長はその見事なポーカーフェイスだ。彼は、審判からボールを受け取るまで、自分に見えているその「空間」を明かすことはない。

その最たる例が、2022-2023シーズンのサクラメント・キングス戦でマイク・ブラウン・ヘッドコーチと軽く会話をした直後に、キングスのディフェンスを突き破るようなレーザーパスを出したときだった。

ギディーが毎試合やっているようなインバウンドプレイを生み出すNBA選手はほかにはいない。彼の読みはとても速いため、実況や解説者も彼がどこにパスを投げているのかついていけないほどだ。

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ジョシュ・ギディーを引き立てるサンダーのSLOBプレイ

ギディーのパスがさらに際立つのは、相手ディフェンスも次に何が起きるかをしっかりわかっていることだ。

サンダーは、たった1つのSLOBプレイしか実行しない。しかし、タナー・クランツ氏と『Bowser2Bowser』が、X(旧Twitter)で指摘したように、彼らは同じ基本のセットからさまざまなバリエーションを繰り出している。

ギディーは、伝説のコーチであるジョン・ウッデンによって有名になった『UCLAカット』で最も美しいアシストを決める。それは、ストロングサイドのエルボーでスクリーンを使い、リムへのダイブを仕掛けるセットアップだ。それがサンダーのインバウンドプレイの第1オプションで、ほんのわずかな隙間さえあれば、ギディーはそこに毎回パスを通す。

このセットにはほかにも多くのオプションがあり、ギディーはそのすべてを完全に記憶している。彼にはすべての選手の行く先が到着数秒前に正確にわかるため、未来に向かってパスを放つことができるのだ。

まったくもって、彼のレベルに達している選手はほかにいないのである。

原文:The SLOB Wizard: Thunder's Josh Giddey is NBA's best sideline out of bounds passer
翻訳:YOKO B

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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静岡県出身。大学卒業後渡米し、オクラホマ大学大学院修士課程修了。2014年よりオクラホマシティ在住。移住前にNBAのオクラホマシティ・サンダーのファンとなり、ブログで情報発信を始める。現在はフリーランスライターとして主にNBA Japan/The Sporting Newsに寄稿。サンダーを中心に取材するかたわら、英語発音コーチも務める。