ネブラスカ大学で数々の記録を残した富永啓生の大学バスケのキャリアは、3月23日(現地22日)にNCAAトーナメントの1回戦で敗れて終わったが、NBAへの挑戦はまだこれからだ。
富永がNBA選手になるまでの可能性やそのルートには一体どんなパターンがあるのだろうか。また、富永がNBA入りするために重要となるこのオフのイベントには何があるのか。
まずは、富永がNBAに入るために重要となるイベントと日程を確認していこう。
富永啓生のNBA入りに関連する主なイベントと日程
- 3月20日~4月9日(現地3月19日〜4月8日):NCAAトーナメント
- 4月5日(現地4日):NCAAスラムダンク&3ポイントコンテスト
- 4月6日(現地5日):NCAAオールスターゲーム
- 4月28日午後12時59分(米東部時間27日午後11時59分):NBAドラフト・アーリーエントリー締切
- 5月12日〜13日(現地11日~12日):NBA Gリーグ・エリートキャンプ
- 5月13日(現地12日):NBAドラフトロッタリー(ドラフト指名権抽選会)
- 5月13日~20日(現地12日~19日):NBAドラフトコンバイン
- NBAドラフト前:ドラフト前ワークアウト(各チーム)
- 5月30日午後12時59分(米東部時間29日午後11時59分):NCAAアーリーエントリー取り下げ期限
- 6月17日午前6時(米東部時間16日午後5時):NBAアーリーエントリー取り下げ期限
- 6月22日〜23日:パリ2024夏季オリンピック・日本代表チーム国際強化試合(北海道大会・対オーストラリア)
- 6月27日(現地26日):NBAドラフト2024/1巡目指名
- 6月28日(現地27日):NBAドラフト2024/2巡目指名
- 7月5日〜7日:パリ2024夏季オリンピック・日本代表チーム国際強化試合(東京大会・対韓国)
- 7月13日~23日(現地12日~22日):NBAサマーリーグ
- 7月27日~8月12日(現地7月26日〜8月11日):パリ2024夏季オリンピック
- 9月末~(例年・日程未定):NBAトレーニングキャンプ
- 10月前半(例年・日程未定):NBAプレシーズン戦
- 10月下旬(例年・日程未定):NBA開幕
各イベントの詳細は別途こちらを参照のこと。
富永啓生がNBA選手になるにはどんなルートがある?
NBA入りに向けたおおよその日程がわかったところで、次は富永啓生がNBA選手になるためのルートを紹介しよう。
富永がNBAの夢を叶えるためのルートは大きく分けて、NBAのドラフトでチームから指名されるか、ドラフト外からNBAに進むか、の2つだ。最も最短で確実にNBAに入る道は2024年のNBAドラフトで指名されることだが、そこで指名されなかったとしてもドラフト外からNBA選手になる道筋は複数存在する。
どんな道筋があるのか、例を挙げながら見ていこう。
富永啓生のNBA入りパターン①:2024年NBAドラフト指名を受ける
最も最短でNBAに入る道は、6月27日~28日(現地26日~27日)の2日間にわたって行われる2024年NBAドラフトでNBA30チームのいずれかから指名を受けることだ。NBAドラフトでは1巡目(30選手)と2巡目(30選手)で合計60選手が指名され、NBA入りする。
※2024年のNBAドラフトは、1巡目と2巡目の指名をそれぞれ別の日(日本時間6月27日と28日)に行うことが決まっている。
日本人選手でこのパターンでNBA入りしたのは八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)で、2019年NBAドラフト全体9位でワシントン・ウィザーズに指名されてNBA入りを果たした。
なお、富永は昨年大学3年生で大学でプレイする資格が残っていたため、ドラフト参加を表明するアーリーエントリーをしたが、大学4年を修了した今年は自動的にNBAドラフトへの資格を与えられる。
NBAドラフトまでの重要なイベント
ドラフト指名で60枠の狭き門に入るためには、NCAAトーナメントでの活躍のほか、その後からドラフト前に開催される各種ショーケース(NBA Gリーグ・エリートキャンプ、NBAドラフトコンバイン、各チームとのワークアウトなど)で実力を見せることが重要となる。
NBA Gリーグ・エリートキャンプやNBAドラフトコンバインは招待制のイベントで、例年ドラフト候補として有力な選手が参加する。各チームとのドラフト前ワークアウトは、それぞれのチームが確認したい選手を現地に呼んで行われる。
富永は昨季、インディアナ・ペイサーズのドラフト前ワークアウトに参加し、その後アーリーエントリーを取り下げている。
富永啓生のNBA入りパターン②:ドラフト外からNBAへのチャンスを掴む
NBAドラフトで指名されなかった場合は、ドラフト直後からNBA開幕までの間に行われるサマーリーグやプレシーズン・トレーニングキャンプなどに参加し、次の開幕までにNBAチームと契約するルートがある。そのほかには、NBA傘下のGリーグや米国以外のリーグなどでプレイしてNBA昇格を目指す選択肢も考えられる。
1. ドラフト終了直後にドラフト指名外からNBAチームと2ウェイ契約を結び、本契約につなげる
6月27日~28日のドラフト終了直後に、指名されなかった選手に対してチームがアプローチし、2ウェイ契約を結ぶケースがある。そこからさらに本契約を目指す。
※2ウェイ契約とは、NBAチームが本契約の15人の選手以外に3人の選手と結ぶことができるもので、2ウェイ契約選手はNBAチーム(最大50試合)とNBAチームの傘下のGリーグチームとNBAチームの両方でプレイする。
2ウェイ契約から本契約を獲得するケースは十分にある。例えば、オースティン・リーブス(ロサンゼルス・レイカーズ)は2021年のNBAドラフト外だったが、ドラフトの数日後にレイカーズと2ウェイ契約を結び、翌月には本契約を獲得している。
また、2019年のNBAドラフト外のルーゲンツ・ドート(オクラホマシティ・サンダー)は、ドラフト当日にサンダーから2ウェイ契約のオファーを受け、翌年にはサンダーと本契約を結んでいる。
2. サマーリーグでチームの一員としてプレイし、本契約や2ウェイ契約を結んでNBA入りする
7月13日~23日(現地12日~22日)にラスベガスで開催されるサマーリーグは、その年のNBAドラフトで指名された新人たちや2年目選手がウォームアップを兼ねて出場すると同時に、厳選されたフリーエージェントなど、NBAやNBA Gリーグのレギュラーシーズンのロスター入りを目指す選手たちのショーケースでもある。
ここで活躍することで、NBAチームから本契約や2ウェイ契約につながる。サマーリーグでプレイしたチーム以外から声がかかるケースも多い。
例えば、渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)は2018年のドラフト外からブルックリン・ネッツの一員としてサマーリーグに参加し、開幕前にグリズリーズと2ウェイ契約を結んでいる。
3. NBAチームのプレシーズン・トレーニングキャンプに参加し(エグジビット10契約)、その後の契約獲得を目指す
例年9月末からシーズン開幕前までの期間に開催される各チームのプレシーズン・トレーニングキャンプにキャンプ要員(エグジビット10契約など)として参加し、そこで評価されることで2ウェイ契約や、NBA Gリーグの選手としての契約を目指す。
例えば、前述の渡邊雄太は2020年にラプターズとエグジビット10契約を結び、トレーニングキャンプに参加。開幕前に2ウェイ契約を結び、さらに本契約を獲得している。
また、アレックス・カルーソ(シカゴ・ブルズ)は2016年のNBAドラフト外からフィラデルフィア・76ersの一員としてサマーリーグに出場後、サンダーのトレーニングキャンプに参加。Gリーグのオクラホマシティ・ブルーで1年プレイした翌年、レイカーズの一員としてサマーリーグに参加し、2ウェイ契約、さらに本契約を獲得している。
4. NBA GリーグからNBA昇格を目指す
NBA Gリーグのチームと契約し、Gリーグの選手としてプレイしながらNBA昇格(2ウェイ契約や本契約)を目指すルート。時間はかかるかもしれないが、出場機会が多く、実力を見せられれば可能性はある。
例えば、2017年のドラフト外だった馬場雄大(長崎ヴェルカ)は、2019年にダラス・マーベリックスのトレーニングキャンプにエキジビット10契約で参加後、マブス傘下のGリーグチームであるテキサス・レジェンズと契約した。
また、2020年のドラフト外だったリンディ・ウォーターズ三世(サンダー)は、地元オクラホマ州のプロバスケチームに参加。翌年、サンダー傘下のGリーグのブルーのトライアウトに合格して1年プレイした後、サンダーと2ウェイ契約を結び、その後本契約を獲得している。
5. NBAやGリーグではなく欧州、豪州、BリーグなどでプレイしながらNBA入りを目指す
ほかにも、ユーロリーグをはじめとするヨーロッパのリーグやNLB(オーストラリアのリーグ)、さらに日本のBリーグなどでプレイしながらNBA入りを目指すルートもある。
前述の馬場雄大はマーベリックス傘下のレジェンズ以外にも、NLBのメルボルン・ユナイテッドでもプレイし、チームのリーグ優勝(2020-21シーズン)に貢献した。現在は日本のBリーグの長崎ヴェルカでプレイしているが、今もNBAを目指している。
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