サッカー界において2017年頃から使用が始まったVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は、それぞれの立場によって意見が大きく食い違っており、今日に至るまで大きな論争を巻き起こしてきた。
その中でもプレミアリーグほどVARが物議を醸したリーグはないだろう。イングランド1部のプレミアリーグは、これまでVARの改善を試みてきたものの、長時間の中断や不正確な判定に悩まされ続けている。
そしてついに、あるクラブが今夏の年次総会でこの制度の全面廃止を提案し、20クラブによる投票が行われた。この件についての議論はさらに活発化していくと見込まれる。
スポーティングニュースは、この提案に対する投票結果や、プレミアリーグにおいて来季からのVARがどう変化するかについて解説する。
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来季のプレミアリーグでVARはどうなる?
プレミアリーグは、6月6日の年次総会にてVARの将来に関しての投票を行い、その結果2024-2025シーズンも継続して使用することが決定した。
20クラブによって行われた投票は、最初にこの提案を出したウルブスのみが使用に反対する結果となり、19対1で終わった。
しかしながら、この投票はVARを改善するための議論を呼び起こすきっかけになるだろう。プレミアリーグは来季に向けて、試合運営の円滑化と判定の精度向上を目指す。
ウルブスがVARの廃止を提案した背景
プレミアリーグの年次総会で投票が行われるためには、それは特定のクラブによる提案でなければならない。VAR廃止を提案したクラブは、ウルヴァーハンプトン・ワンダラーズ(ウルブス)だ。彼らは2023-2024シーズンにおいて、多くの物議を醸すVAR判定を受けた。
クラブの声明によると、彼らはVARの不具合について特定の個人や団体に非があるとは考えていないものの、この件に関して話し合いを求めているようだ。
「非難するつもりはない。私たちは皆、サッカー界にとって最善の結果を求めているだけであり、全ての関係者がVARを成功に導こうと努力してきた。しかし、VAR導入から5年が経過した今、その将来について建設的かつ批判的な議論が必要だ」
実際のところ、来季からVARが廃止される可能性はほとんどなかった。それでも提案を出した本当の目的は、投票に伴ってそれに関する議論を喚起することであり、ウルブスは単に制度改善のための話し合いを望んでいたのだ。今回の投票結果を受けて、クラブは新たな声明を発表した。
「今年の年次総会において行われたVARの将来に関する投票結果には失望しているが、我々は他のクラブが下した決断を認め、受け入れる。そして、プレミアリーグがクラブとサポーターの懸念を真摯に受け止めていることに安堵した」
「我々は、特に円滑な試合運営、判定の一貫性、そしてエンタメ性に関する分野において、VARを改善する努力を歓迎する。VARが無ければ、プレミアリーグのサッカーはサポーター、選手、監督、そして視聴者にとってより優れたものになるという考えは変わらないが、このような改善は試合の秩序を保ち、サポーターの体験を向上させるために極めて重要であるだろう」
2024-2025シーズンからプレミアリーグに導入予定の半自動オフサイド技術
2024-2025シーズンに向けて決定しているVARに関しての改善点は、プレミアリーグに導入予定の半自動オフサイド技術だ。これによって、VARの最も物議を醸す側面であるオフサイド判定が大きく向上することが見込まれる。
半自動オフサイド技術は、スタジアムに設置された20台以上のカメラを駆使して全ての選手の位置を把握し、試合を長時間中断することなしにぎりぎりのオフサイド判定を素早く下すことができる。
審判はオフサイド判定を下すためにスクリーン上に線を引く必要がなくなり、ただ再開位置を定めるだけでよくなる。これは意思決定にかかる時間を大幅に削減し、正確さが度々問題視されていた旧来のやり方に代わり、判定をより公平で納得できるものにするだろう。
原文:Will VAR be used in Premier League 2024/25? How vote by EPL clubs affects replay next season
翻訳:山下晴輝(スポーティングニュース日本版)
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