アメリカ代表のニコラ・ヨキッチ対策 最適はジョエル・エンビードではない?

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坂東実藍 Miran Bando

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アメリカ代表は、パリオリンピック2024に向けた強化試合の3試合を通じて支配的だった。どんな批判もあら探しだ。ただ、オリンピックで5大会連続金メダルを目指す国であれば、それがスタンダードとなる。

7月17日(日本時間18日)、アメリカはこれまでで最も有意義な強化試合とした。ニコラ・ヨキッチ擁するセルビア代表との対戦だ。オリンピックのグループフェーズでも戦う最も厳しい相手である。

アメリカは105-79で勝利したが、大会有数の選手を止めるという点でも注目すべきことがあった。

NBAでMVP受賞3回のヨキッチをスローダウンさせるのに、先発センターのジョエル・エンビードより、セカンドユニットのフロントコートコンビ、アンソニー・デイビスとバム・アデバヨのほうが適していたことが明らかだったのだ。

 

アメリカ代表が見つけたニコラ・ヨキッチ対策はジョエル・エンビードではない

エンビードはオリンピックに向けた強化試合を通じて批判の的となっている。

2023年のNBAでMVPを受賞したエンビードは、紛れもなく世界最高のバスケットボール選手のひとりだ。しかし、スーパースターたちがそろうこのチームにフィットする方法をまだ見つけていない。

スティーブ・カー・ヘッドコーチはスターティングラインナップを変更し続けている。だが、エンビードはレブロン・ジェームズ、ステフィン・カリーとともに、いずれの強化試合でも先発出場してきた。そのエンビードがしばしば疑問視されているのは、ここまでの3試合でいずれもリザーブのデイビスにパフォーマンスで上回られているからだ。

ヨキッチとセルビアを相手にアメリカが堂々の勝利を収めたことは、エンビードがスターターを続けるのが最善という証かもしれない。ただ、デイビスとアデバヨがセカンドユニットでいるにはあまりに優れている。

オリンピックでヨキッチ擁するセルビアと同じグループになったことで、エンビードがアメリカの市民権を取得し、アメリカ代表でプレイすることをFIBAが承認したのは、より一層重要だと思われた。デイビスが以前にヨキッチ相手に苦しみ、アデバヨにマッチアップするためのサイズがないだけに、エンビードこそがヨキッチを抑えるのに最善と見られたのだ。

だが結局、アデバヨのスピードと身体能力、そしてデイビスの長さとサイズのコンビネーションが、エンビードひとりよりもはるかに良い選択肢と分かったのである。

エンビードは1on1でヨキッチにイージーなかたちを許したが、デイビスとアデバヨのコンビはヨキッチにほとんど幸運をつかませなかった。セカンドユニットのふたりのビッグマンは、交代でヨキッチに対応。片方がヘルプディフェンダーとしてすぐにショットにコンテストしたのだ。

結果、デイビスはチーム最多の6ブロックを記録。アデバヨはヨキッチをフィールドゴール19本で16得点という月並みな数字にとどめるのに重要な役割を果たした。

NBAプレイオフでヨキッチ擁するデンバー・ナゲッツと2年連続で対戦した際、ロサンゼルス・レイカーズは同じような守備のスキームを試みた。しかし、八村塁がひとりでヨキッチを抑えるに至らず、ほとんど効果的にならなかった。

だが、アメリカ代表には年間最優秀守備選手級のビッグマンふたりがいる。交代で対応することで、デイビスとアデバヨは完璧に同じゲームプランを実行できるのだ。

控えセンターのどちらかひとりが、スターターとしてエンビードを上回ったとしても、アメリカにとって最もアドバンテージとなるのは、セカンドユニットのフロントコートで壁を築くことだろう。

アメリカは28日(同29日)、パリオリンピック2024のグループフェーズ初戦でヨキッチ擁するセルビアと再び対戦する。たとえエンビードがスターターのままだったとしても、カーHCはベンチスタートのデイビスとアデバヨに強く頼るはずだ。

原文:Nikola Jokic vs. Team USA: Joel Embiid's struggles prove Anthony Davis, Bam Adebayo more suited to stop Serbian star(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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You read that wrong – not Kyrie Irving. From Boston, graduated from the University of New Hampshire. Sixth season as a content producer for NBA.com's Global editions. Covering the NBA Draft has become his annual "dream come true" moment on the job. Irving has a soft spot for pass-first point guards, with Rajon Rondo and Steve Nash being two of his favorite players of all time.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。