レイカーズはJJ・レディックを新ヘッドコーチに選ぶべき? 選ぶべきではない?

Stephen Noh

坂東実藍 Miran Bando

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ロサンゼルス・レイカーズはJJ・レディックを新たなヘッドコーチに招へいするだろうか。5月3日(日本時間4日)にダービン・ハムを解任したことでその可能性が生じている。

レディックは以前もすでに候補と噂されていた。『The Athletic』のシャムズ・シャラニア記者とヨバン・ブーハ記者は、「幅広いリサーチ」の対象のひとりになると報じている。本人も以前、ヘッドコーチの仕事に関心を寄せていた。

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そしてレイカーズのヘッドコーチは魅力的だろう。名門球団で優勝に挑めるだけのロスターを手にすることができる。レブロン・ジェームズのキャリアの終わりを指導することもできる。

レディックとジェームズは共同のポッドキャスト『Mind the Game』の一環で何度も試合について議論している。レディックがパートナーであるジェームズを指導することはあるのだろうか。

なぜレイカーズはJJ・レディックを新ヘッドコーチにすべきか

ジェームズのヘッドコーチになるのは容易なことではない。レイカーズの新指揮官となる人物は、ジェームズにとってロサンゼルスで4人目、キャリア通算でも10人目のヘッドコーチだ。

優勝を達成したフランク・ボーゲルが指揮をとったのは3年だった。ウェスタン・カンファレンス・ファイナルまで勝ち進んだハムは2年だ。歴代有数のエリック・スポールストラですら、無傷だったわけではない。ジェームズが解任を望んだ時があった。気持ちの弱い人に務まる仕事ではない。

ジェームズがけん引するチームを指導する上で最も重要な資格は、彼の信頼を勝ち取ることだ。信頼がなければ、そのコーチは「デッドマンウォーキング」となる。

レディックはすでにその点をクリアしている。彼らがお互いをリスペクトしているのは明らかだ。ジェームズはレディックのことを楽しんでいる。彼らは一緒に働く術を知っているのだ。

しかし、レディックは単なるジェームズのイエスマンというわけではない。NBAでの15年の経験をはじめ、ヘッドコーチを務めるだけの堂々たる経歴の持ち主だ。デューク大学時代のコーチK(マイク・シャシェフスキー)や、スタン・バンガンディ、スコット・スカイルズ、ドック・リバース、リック・カーライルなど、最高級のコーチたちから指導を受けてきた。

また、ポッドキャストや中継で示してきたように、レディックは作戦を極めてよく知っている。そのため現在のシャーロット・ホーネッツや昨年のトロント・ラプターズなど、彼に対する関心はほかのチームからもあった。

JJ Redick Doc Rivers
(Getty Images)

年齢から反対する人がいるかもしれない。レディックはまだ39歳で、現役を引退してからまだ数シーズンだ。しかし、リーグにはもっと若い最高級の指揮官もいる。

マーク・デイグノートは同じ年齢で今季の年間最優秀コーチ賞を受賞した。今季ボストン・セルティックスをリーグ最高成績に導いたジョー・マズーラは35歳だ。

リーグはますます選手主導になっており、ロスターと個人的な関係を構築できるコーチには大きなアドバンテージがある。

レディックはNBAの厳しさを誰よりもよく理解している。優れたコミュニケーターであることは明らかだ。そして戦略を知り尽くしている。これらはこの仕事をこなすのに最も重要な要素だ。経験のあるアシスタントコーチに助けてもらう必要はあるだろう。だが、全員を団結させるリーダー役になれる可能性はある。

なぜレイカーズはJJ・レディックを新ヘッドコーチにすべきでないのか

レディックにとって最も不利なのは、もちろん経験のなさだ。レイカーズのヘッドコーチという仕事は、NBA全体で最も厳しく評価される。レディックは学んでいくことになるが、レイカーズにはそれだけの時間はない。

また、元選手がすぐにヘッドコーチとなった際の実績は芳しくない。

チャウンシー・ビラップスは1年のアシスタント経験を経て、2022年にポートランド・トレイルブレイザーズのヘッドコーチに就任してから、81勝165敗という成績だ。アール・ワトソンは似たような状況で2016年にフェニックス・サンズの指揮官となったが、33勝85敗という成績だった。

2021年にブルックリン・ネッツのヘッドコーチとなったスティーブ・ナッシュは、レディックの状況と似たところがたくさんある。多くのエゴを管理しなければならない、極めてプレッシャーが多き仕事を引き受けたが、161試合で解任されている。

一方で、成功したケースもある。最たる例が、スティーブ・カーだ。放送ブースからゴールデンステイト・ウォリアーズのベンチに移り、チームを優勝4回に導いた。

もちろん、世代を代表する選手たちやベテランのロスターを率いたカーにはアドバンテージがあった。レディックもレイカーズの指揮官になれば同様だ。ビラップスやナッシュ、ワトソン、アイザイア・トーマス、ネッツで解任されたジェイソン・キッドのような運命を避ける助けとなるかもしれない。

しかし、レイカーズが望むだろうか。この仕事に列をつくるコーチたちはほかにいる。例えば、マイク・ブーデンホルザーは実績ある勝者であり、知名度も高い。新しいヘッドコーチには常に未知数がつきまとう。レイカーズはハムでそれを痛感した。その過ちを繰り返すリスクを冒すだろうか?

原文:JJ Redick as Lakers coach: Why LA should and should not replace Darvin Ham with LeBron James podcast co-host(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。