近年の高校野球では練習環境などが優れた私立校が優勢となっており、最後に公立校が優勝したのは、春のセンバツでは2009年の清峰(長崎)、夏の甲子園では2007年の佐賀北(佐賀)まで遡る。本記事では公立の甲子園優勝校や、甲子園での躍進などについて紹介する。
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■夏の甲子園・公立の優勝校一覧
夏の甲子園では第1回大会の京都二中(京都)をはじめ、28校の公立校が39回優勝している。最多は広島商(広島)の6回で、松山商(愛媛)が4回、海草中(和歌山)、高松商(香川)、習志野(千葉)、和歌山中(和歌山)が2回ずつ優勝している。直近では2007年の佐賀北(佐賀)が最後となっている。
西暦 | 年 | 回 | 優勝校(都道府県) |
---|---|---|---|
1915年 | 大正4 | 1 | 京都二中(京都) |
1917年 | 大正6 | 3 | 愛知一中(愛知) |
1919年 | 大正8 | 5 | 神戸一中(兵庫) |
1921年 | 大正10 | 7 | 和歌山中(和歌山) |
1922年 | 大正11 | 8 | 和歌山中(和歌山) |
1924年 | 大正13 | 10 | 広島商(広島) |
1925年 | 大正14 | 11 | 高松商(香川) |
1926年 | 大正15 | 12 | 静岡中(静岡) |
1927年 | 昭和2 | 13 | 高松商(香川) |
1929年 | 昭和4 | 15 | 広島商(広島) |
1930年 | 昭和5 | 16 | 広島商(広島) |
1935年 | 昭和10 | 21 | 松山商(愛媛) |
1936年 | 昭和11 | 22 | 岐阜商(岐阜) |
1939年 | 昭和14 | 25 | 海草中(和歌山) |
1940年 | 昭和15 | 26 | 海草中(和歌山) |
1947年 | 昭和22 | 29 | 小倉中(福岡) |
1948年 | 昭和23 | 30 | 小倉(福岡) |
1949年 | 昭和24 | 31 | 湘南(神奈川) |
1950年 | 昭和25 | 32 | 松山東(愛媛) |
1952年 | 昭和27 | 34 | 芦屋(兵庫) |
1953年 | 昭和28 | 35 | 松山商(愛媛) |
1955年 | 昭和30 | 37 | 四日市(三重) |
1957年 | 昭和32 | 39 | 広島商(広島) |
1958年 | 昭和33 | 40 | 柳井(山口) |
1959年 | 昭和34 | 41 | 西条(愛媛) |
1965年 | 昭和40 | 47 | 三池工(福岡) |
1967年 | 昭和42 | 49 | 習志野(千葉) |
1969年 | 昭和44 | 51 | 松山商(愛媛) |
1972年 | 昭和47 | 54 | 津久見(大分) |
1973年 | 昭和48 | 55 | 広島商(広島) |
1974年 | 昭和49 | 56 | 銚子商(千葉) |
1975年 | 昭和50 | 57 | 習志野(千葉) |
1979年 | 昭和54 | 61 | 箕島(和歌山) |
1982年 | 昭和57 | 64 | 池田(徳島) |
1984年 | 昭和59 | 66 | 取手二(茨城) |
1988年 | 昭和63 | 70 | 広島商(広島) |
1994年 | 平成6 | 76 | 佐賀商(佐賀) |
1996年 | 平成8 | 78 | 松山商(愛媛) |
2007年 | 平成19 | 89 | 佐賀北(佐賀) |
■春のセンバツ・公立の優勝校一覧
春のセンバツでは第1回大会の高松商(香川)をはじめ、29校の公立校が37回優勝している。最多は県岐阜商(岐阜)、箕島(和歌山)の3回で、高松商、松山商(愛媛)、第一神港商(兵庫)、池田(徳島)が2回ずつ優勝している。直近では2009年の清峰(長崎)が最後となっている。
西暦 | 年 | 回 | 優勝校(都道府県) |
---|---|---|---|
1924年 | 大正13 | 1 | 高松商(香川) |
1925年 | 大正14 | 2 | 松山商(愛媛) |
1927年 | 昭和2 | 4 | 和歌山中(和歌山) |
1929年 | 昭和4 | 6 | 第一神港商(兵庫) |
1930年 | 昭和5 | 7 | 第一神港商(兵庫) |
1931年 | 昭和6 | 8 | 広島商(広島) |
1932年 | 昭和7 | 9 | 松山商(愛媛) |
1933年 | 昭和8 | 10 | 岐阜商(岐阜) |
1935年 | 昭和10 | 12 | 岐阜商(岐阜) |
1936年 | 昭和11 | 13 | 愛知商(愛知) |
1940年 | 昭和15 | 17 | 岐阜商(岐阜) |
1947年 | 昭和22 | 19 | 徳島商(徳島) |
1948年 | 昭和23 | 20 | 京都一商(京都) |
1949年 | 昭和24 | 21 | 北野(大阪) |
1950年 | 昭和25 | 22 | 韮山(静岡) |
1951年 | 昭和26 | 23 | 鳴門(徳島) |
1952年 | 昭和27 | 24 | 静岡商(静岡) |
1953年 | 昭和28 | 25 | 洲本(兵庫) |
1954年 | 昭和29 | 26 | 飯田長姫(長野) |
1958年 | 昭和33 | 30 | 済々黌(熊本) |
1960年 | 昭和35 | 32 | 高松商(香川) |
1963年 | 昭和38 | 35 | 下関商(山口) |
1964年 | 昭和39 | 36 | 徳島海南(徳島) |
1965年 | 昭和40 | 37 | 岡山東商(岡山) |
1967年 | 昭和42 | 39 | 津久見(大分) |
1968年 | 昭和43 | 40 | 大宮工(埼玉) |
1970年 | 昭和45 | 42 | 箕島(和歌山) |
1977年 | 昭和52 | 49 | 箕島(和歌山) |
1978年 | 昭和53 | 50 | 浜松商(静岡) |
1979年 | 昭和54 | 51 | 箕島(和歌山) |
1980年 | 昭和55 | 52 | 高知商(高知) |
1983年 | 昭和58 | 55 | 池田(徳島) |
1985年 | 昭和60 | 57 | 伊野商(高知) |
1986年 | 昭和61 | 58 | 池田(徳島) |
1988年 | 昭和63 | 60 | 宇和島東(愛媛) |
1995年 | 平成7 | 67 | 観音寺中央(香川) |
2009年 | 平成21 | 81 | 清峰(長崎) |
■躍進を見せた公立校
夏の甲子園で最後に公立校が優勝した2007年夏の第89回大会では、「がばい旋風」を巻き起こした佐賀北(佐賀)が優勝。準優勝校の広陵(広島)は野村祐輔(現・広島)、小林誠司(現・巨人)を擁していたが、8回に逆転満塁本塁打が飛び出す、劇的な優勝だった。
2018年夏の第100回大会では、吉田輝星(現・オリックス)を擁する金足農(秋田)が決勝戦に進出。根尾昂(現・中日)や藤原恭大(現・ロッテ)らの大阪桐蔭(大阪)に敗れはしたものの、その躍進は「金農旋風」と呼ばれた。
2024年夏の第106回大会では、エースの馬庭優太を中心にまとまった大社(島根)が報徳学園(兵庫)や早稲田実(西東京)といった優勝経験もある強豪を撃破し、ベスト8に進出したことが大きな話題となった。
■47都道府県で唯一私立勢の甲子園出場がない徳島県
近年の甲子園優勝校や、各都道府県の優勝校などを見ても、現代の高校野球は私立全盛で、公立勢は苦しんでいる地域が多い。そんな中、全国で唯一、春・夏の甲子園に私立勢の出場を許していないのが、徳島県だ。
池田や徳島商、鳴門、徳島海南(現在は閉校)などの優勝校も輩出している徳島県では、春・夏とも徳島商が甲子園出場回数トップを誇っている。
徳島県はそもそも私立高校が3校しかなく、硬式野球部があるのは生光学園だけ(2024年時点)だが、公立勢がその牙城を守っている。