ジェイソン・モロニ―:もう日本人には負けられない…武居由樹と戦う豪州の技巧派とは|戦績・経歴|5.6 東京ドーム

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

小座野容斉 Yosei Kozano

ジェイソン・モロニ―:もう日本人には負けられない…武居由樹と戦う豪州の技巧派とは|戦績・経歴|5.6 東京ドーム image

5月6日(月・祝)に東京ドームで行われる4大世界タイトルマッチ。セミファイナルのWBO世界バンタム級タイトルマッチで、日本期待の武居由樹の挑戦を受けるのが、ジェイソン・モロニーだ。

かつて井上尚弥に敗れたことでさらに巧みさを増した豪州の技巧派モロニーのプロフィールと戦績を紹介する。

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■井上戦から再起した豪州の技巧派が東京Dセミに登場

ジェイソン・モロニーは1991年1月10日生まれの33歳。オーストラリアの出身で、双子の弟アンドリュー・モロニーもプロボクサーで、兄弟そろって日本との因縁がある。

モロニーが日本でも名を知られているのは、井上尚弥との対戦があったからだ。

2020年10月31日、米ネバダ州ラスベガスのMGMグランド・カンファレンスセンターで行われた、WBA、IBF世界バンタム級のタイトルマッチ。当時WBO1位のモロニーは21勝(18KO)1敗というエリートボクサーだったが、2019年にワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)の決勝で、ノニト・ドニアとの熾烈な戦いを制した井上には歯が立たなかった。

モロニーは、6ラウンドに左フック、7ラウンドにも右のショートフックを打たれてKO負けした。2発のパンチは、鮮やかなカウンターで、井上の超絶的なテクニックを物語る試合のひとつとなった。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、無観客で行われた一戦は、井上にとって記念すべきラスベガスデビュー戦でもあった。

この試合を最後にモロニーは負けていない。


■フットボール選手になる夢はプロボクサーに変わった少年時代

英『Boxing News』によると、モロニーとボクシングとの出会いは、オーストラリアンフットボール(AFL)のプロ選手になるために、13歳のときに兄弟で練習の一環としてボクシングフィットネスに取り組んだことがキッカケだったという。だが、モロニー兄弟はボクシングに夢中になり、その道に進むことになった。

身長は165cm、リーチも165cm(いずれもBoxRec参照)で、オーソドックスのボクサーファイターであるモロニー。アマチュア時代にはオーストラリア代表として英連邦大会に出場した経験もある。プロデビューは2014年8月、プロ歴は9年8か月を数える。戦績は現在27勝(19KO)2敗で、KO率は70%。2敗のうち1敗がKO負け。通算174ラウンド、1試合平均6ラウンドということになる。

2023年5月13日、ヴィンセント・アストロラビオを12ラウンド判定で破って、空位だったWBO世界バンタム級の王座を獲得した。このベルトは、井上尚弥が4団体統一したものの内の一本だ。2023年1月のスーパーバンタム級転向宣言と同時に、バンタム級の4本のベルト、すべてを返上していた。

直近5試合は5勝で4勝が判定勝利、KO勝ちは1戦のみ。最近の試合は2024年1月13日。WBO王座の防衛戦で、サウル・サンチェスに12ラウンド判定で勝利した。

モロニーは、敬愛するシュガー・レイ・レナードのように、どんな相手とも戦える懐の広いファイトスタイルを身上としている。自身の持ち味をバランスの良さであるとし、柔軟な距離感で試合を支配することに長けている。


■兄弟揃って日本人の一発に泣いた過去…東京Dでそのジンクスを崩せるか

モロニーは、双子の弟アンドリューともども、日本のボクサーとの因縁がある。兄ジェイソン自身が井上に鮮烈なKOで敗れた話は前述した。

2023年5月23日、ラスベガスのMGMグランド・ガーデン・アリーナで行われたWBO世界スーパーフライ級王座決定戦で、アンドリューは、日本の『ネクストモンスター』中谷潤人に12ラウンド2分42秒、カウンターの左フックを打ち抜かれて、マットに沈んだ。

この鮮やかなKO劇は、試合を主催したトップランク社のファン投票表彰「トップランク・ファン・アウォーズ」や、名門誌『The Ring』(リングマガジン)、米スポーツ専門局『ESPN』などがこぞって年間最優秀KO賞に選出したほどだった。

兄弟そろって日本のモンスターに、ラスベガスの大舞台でKO負けしている。この事実は、東京ドームでも拭いきれない不安要素として影を落とす。

今回対戦する武居は、K-1から転向し、キャリアは3年。キックや格闘技に由来する独特のパンチ技術も併せ持ち、デビュー以来全試合をKO勝ちしている。

モロニーにとっては、絶対に負けられない一戦となる。長いボクシングキャリアを生かして、粘り強く戦いたい。

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■ジェイソン・モロニーの実力は?

モロニーは現在、業界内で最も権威のある名門誌『The Ring』のバンタム級総合2位にランクされている。

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■ジェイソン・モロニーのプロフィールとプロ戦績

  • 本名:ジェイソン・モロニー(Jason Moloney)
  • 国籍:オーストラリア
  • ニックネーム:メイヘム(騒乱)
  • 生年月日:1991年1月10日(33歳)
  • 身長:165cm(5-5ft)
  • リーチ:165cm(65in)
  • 構え:オーソドックス(右ボクサーファイター)
  • 総試合数:29戦
  • 戦績:27勝(19KO)2敗

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。

小座野容斉 Yosei Kozano

小座野容斉 Yosei Kozano Photo

東京都出身 早稲田大学政治経済学部卒。1989年毎日新聞に入社、写真部のカメラマンとして、春・夏の高校野球、プロ野球、ラグビーなどを撮影。デジタルメディア局に異動後は、ニュースサイト編集の傍ら、「K-1」などの格闘技、フィギュアスケート、モータースポーツも撮影してきた。アメリカンフットボールは、個人のライフワークとして、トップリーグの「Xリーグ」を中心に年間約70試合を撮影・取材。2020年2月毎日新聞を退社後は、ウェブ「アメリカンフットボール・マガジン」で約700本の記事を配信した。また、「NFLドラフト候補名鑑」出版にも携わった。日本スポーツプレス協会(AJPS)会員。