渡邊雄太「自分が本当にNBA選手の1人だっていう感覚が得れたので、本当に収穫の大きい1年間でした」|プレイオフ最終戦後一問一答(4月23日/現地22日)

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杉浦大介 Daisuke Sugiura

渡邊雄太「自分が本当にNBA選手の1人だっていう感覚が得れたので、本当に収穫の大きい1年間でした」|プレイオフ最終戦後一問一答(4月23日/現地22日) image

4月23日(現地22日)ブルックリン・ネッツがフィラデルフィア・76ersとのファーストラウンド第4戦に敗れ、NBAプレイオフ敗退が決まった。

ネッツに所属する渡邊雄太にとっては、これが2022-2023シーズンの最終戦となり、最後の3試合は出場機会がないまま終わる形となった。

以下、プレイオフ最終戦後の一問一答抜粋(すべて日本語での質疑応答。質問は要約)。

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自分が本当にNBA選手の1人だっていう感覚が得れたので、本当に収穫の大きい1年間でした

――プレイオフでの反省点は。

渡邊:今日は(ジョエル・)エンビードがいなかったのでゲームプランも違いましたけど、最初の3試合に関してはエンビードに対して彼に簡単にやらせないということでした。それは結構できていたと思いますし、彼の点の取り方も簡単なことじゃなく、難しいシュートだったり、彼自身のフラストレーションは溜まっていたはずなので、悪くなかったかなと思っています。

あと、エンビードと(ジェームズ・)ハーデンのところはレギュラーシーズン中、ファウルをもらっている数がすごく多いんで、ファウルは絶対しないっていうのがシリーズの目標でした。シーズン中と比べ、彼ら2人のフリースロー試投数はすごく少なかったと思うんで、それに関してもチームとして約束されていたことは守れていたんじゃないかなとは思います。

ただ、うちのチームに関してはシュートが決まらないとどうしても難しい部分があります。今日も最後、ミケル(・ブリッジス)が何本か決めてましたけど、(3P成功率が24.3%では)やっぱり勝てないかなっていう感じでした。

――今季を振り返って。

渡邊:自分としては、すごく良いシーズンが送れたなって思っています。やれることは全部やってきたと思いますし、今までと比べて数字的にもしっかり結果を出せました。気持ち的な面でも今シーズン、自分が本当にNBA選手の1人だっていう感覚が得れたので、本当に収穫の大きい1年間でした。

その分、後半は悔しかったですけど、すごく成長もできたと思いますし、自信にもつながったシーズンでした。今は負けたばかりですけど、良いシーズンって言えるようなシーズンだったと思います。

――去年のプレイオフと比べ、どこが成長できたか。

渡邊:去年は正直、目の前でプレイオフを見るのが初めてで、全然試合に出られなくて、「あれ、こんなに違うんだ」と感じ、自分がこの場に立つにはもう少し力をつけないとダメだなと感じた場でした。

ただ、今シーズンは本当いつでも出れる準備はできていました。去年はあまり自分の中で良いイメージが持てなかったんですけど、今年に関してはベンチで見ながら、自分が出たらこういうことができるなっていうイメージを持ちながら試合を見ていました。そこは自分の成長かなと思います。

ただ、自分にもっと力があれば試合に出ることもできていたので、そこは言い訳せずに、自分がもっと上手くなって、来シーズンはプレイオフの場でしっかり活躍してチームを勝たせるような選手になりたいなと思っています。

どういうチームでも出れる選手では僕はまだない。その現実をしっかり受け止め、もっと成長しなきゃいけない

――シーズン中盤以降は自信という言葉をよく使ったが、プレイタイムが減っても最後まで揺るぎない自信のままだったか。

渡邊:自信はずっと持ち続けていました。このプレイオフのシリーズでも、試合に出してもらえればシュートを決める自信はありました。まあそれは今言っても仕方がないこと。もっと自分にシュート力があれば、恐らく出れていたでしょう。

シーズン初めの頃のように成功率50%以上とかをキープできていれば、出れていたはずです。納得できない部分も正直、自分の中にはありますけど、それを言い訳には絶対しちゃいけないと思っています。今の自分の状況は周りに左右される。どういうチームでも出れる選手では僕はまだないですよね。その現実をしっかり受け止め、もっと成長しなきゃいけないなと思っています。

ただ、自信に関しては間違いなく今シーズンでついたんで、ネッツとの契約はいったん終わり、来季がどういうふうになるのかわからないですけど、自分としてはまだまだやれるっていうものは今シーズン中に残せたと思っています。このオフシーズンはネッツ、そして他のチームが自分をどういうふうに評価してくれるかが見れると思うので、そういった意味でも楽しみですね。

――前半戦ではケビン・デュラントなどとともに、優勝を狙えるチームでプレイした。その中で主力としてプレイした経験は財産になるか。

渡邊:改めて振り返ってみてもすごく楽しい時間でしたし、今、考えたら夢のような時間でした。小さい頃から見ていたケビン・デュラント、カイリー・アービングと肩を並べ、彼らから信頼を得て、同じコートでプレイをしていた時間は自分にとっても幸せでした。

だから、トレードとかああいう形で彼らと別々のチームになってしまったのは残念ではありました。正直、あのトレードがなかったら、とか考えてしまう時もあったんですけど、たらればを言ってしまってもしょうがない。そう言った中でも自分が大事にしたのは、自分ができることをコントロールし、コントロールできないことに関しては気を散らさないということでした。

彼らには彼らの人生があります。彼らのおかげで僕は活躍できていましたし、ああいう選手と一緒にプレイする時に自分の良さが出るんだなとは感じました。ただ、さっきも言ったように、トレードでがらっと変わった時に、まだ自分はチームメイトに依存する部分があるとも感じました。今のメンバーだと試合に出る力はないということがはっきり見えたシーズンでもあったと思います。それらもすべて含め、すごく大きな経験ができたシーズンだったと思います。

――八村塁選手と2人、NBAに日本人選手がいる状況が当たり前になったことについて。

渡邊:日本のバスケットボールにとっては絶対に良いことだと思っています。僕も自分のことをやるだけで精一杯なので、いつも日本のことを考えながらやっているというわけではないです。自分がここにいるから日本のバスケットが盛り上がっているとか、普段はそういうことは一切考えてないです。

ただ、自分がネッツでシーズン序盤は活躍したり、今では塁がレイカーズの一員としてプレイオフでもすごい活躍したり、そういう結果を日本人のファンの方や、小さい子供たちが見て、自分もこういうふうになりたいって思ってもらえれば、自分たちがやっていることに意味が出てきます。

自分が日本のためにやっているとか、貢献しているとか、そんな大袈裟なことを言うつもりもないですけど、自分がやっている結果として、そこにつながってくるのであればすごく嬉しいですよね。まだまだこの世界でやっていきたいと思っているので、結果として日本バスケットボールの成長につながるために、この世界で少しでも長くいたいなと思っています。

個人的にはW杯に出るつもりではいますし、出たいです

――オフシーズンにはW杯もあるが、どんな目標を持って臨むのか。

渡邊:まず契約がどうなるかとかも色々あるんで、正直、このオフに関してはまだ何も考えてないです。個人的にはW杯に出るつもりではいますし、出たいですね。ただ、いろいろ状況によっては変わることもありえるとは思っています。

――W杯に出る出ないはどう決めるのか。

渡邊:チーム次第じゃないですかね。自分の意見で全部できない部分がどうしてもあるんで、次のチームがどうなるかによると思います。次のチームが決まってなかったら、しっかりワールドカップに集中してやれると思いますけど、決まっていた場合、チームの方針もあったりすると思います。

おそらく出るなって言われることはないとは思うんですけど、いろいろと状況的にどうなるかはわからない部分もあります。それもある意味、自分のコントロールできない部分なのかなってことは多少なりとも覚悟はしておこうと思っています。

取材・一問一答構成:杉浦大介

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NBA日本公式サイト『NBA Japan』編集スタッフ

杉浦大介 Daisuke Sugiura

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東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。