【F1ガイド】2023年、F1の全チーム・ドライバーを確認しよう!

荒大 Masaru Ara

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F1 2022 Japanese Grand Prix

F1の2023年シーズンの開幕が近づいている。今シーズンは3月のバーレーンGPを皮切りに、11月のアブダビGPまで、過去最多となる23レースが開催予定だ。長いようで短いシーズンの始まりに備えて、全チーム、そしてドライバーたちを一度確認してみよう。

移籍や、ドライバー以外のチーム体制の変更についてもまとめているため、チェックしておいて損はないだろう。

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レッドブル、フェラーリ、メルセデス…トップチームのラインアップは不変

オラクル・レッドブル・レーシング(Oracle Red Bull Racing)

  • チーム代表
    • クリスチャン・ホーナー
  • ドライバー
    • マックス・フェルスタッペン(オランダ、1997年9月30日生)
    • セルジオ・ペレス・メンドーサ(メキシコ、1990年1月26日生)

まずは、昨年のドライバーズチャンピオン、コンストラクターズチャンピオンの2冠に輝いたレッドブル。今シーズンはパワーユニットサプライヤーのエントリーネームが「ホンダRBPT」に変更され、2シーズンぶりに「ホンダ」の名前が復活したかたちだ。

ドライバーの陣容は、ドライバーズチャンピオン3連覇を目指すマックス・フェルスタッペンと、セルジオ・ペレス・メンドーサ(今季から母親の姓をエントリーネームに追加)のコンビで変更なし。今季はチーム史上初となる、「ドライバーズランキング1-2」を達成できるか。昨年の終盤戦で起きたドライバー間のいざこざが、どこまで修復されているかも注目される。また、2021年シーズンの予算制限違反があったことから、そのペナルティーとしてマシンの開発にも一部制限が出ている。それをどこまでチームとしてカバーできるかが注目だ。

スクーデリア・フェラーリ(Scuderia Ferrari)

  • チーム代表
    • フレデリック・バスール
  • ドライバー
    • シャルル・ルクレール(モナコ、1997年10月16日生)
    • カルロス・サインツ(スペイン、1994年1月9日生)

昨シーズン序盤戦で圧倒的なパフォーマンスを見せてシーズンを引っぱるか…と思わせたものの、その後の失速ぶりが顕著だったのがフェラーリ。今季は15年ぶりのコンストラクターズチャンピオン、あるいは16年ぶりのドライバーズチャンピオンの奪還を目指した戦いとなるだろう。

ドライバーは昨年から続くシャルル・ルクレールカルロス・サインツのコンビ。サインツとは昨年途中に2024年までの契約を結んだばかりだ。また、これまでチーム代表を務めていたマッティア・ビノットが退任し、これまでザウバーやアルファロメオなどでチーム代表を務めてきた、フレデリック・バスールが新たに代表に就任した。2022年のレース戦略のちぐはぐさが、ドライバーたちの足を引っぱりまくった感も否めないなか、昨季の逆襲を成し遂げ、イタリアの跳ね馬は今季こそ、表彰台の頂点を極められるか。

メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラワンチーム(Mercedes-AMG PETRONAS Formula One Team)

  • チーム代表
    • トト・ウォルフ
  • ドライバー
    • ルイス・ハミルトン(英国、1985年1月7日生)
    • ジョージ・ラッセル(英国、1998年2月15日生)

昨年改められたレギュレーションで最も苦戦したのが、メルセデスだろう。コンストラクターズチャンピオン8連覇という、前人未踏の偉業のなかにあり、マシンのシルエットを大きく絞り込んだ「ゼロポッド」スタイルで挑んだものの、最適なバランスをついに見つけられずじまいだった。また、チームの戦略立案を担当してきたジェームス・ボウルズがウィリアムズのチーム代表となるためにメルセデスを去ることに。今シーズンについて、トト・ウォルフチーム代表は、特定の人間を後任に置かずに戦う意向を示している。

長年のエース、ルイス・ハミルトンはF1で16年目にして初の年間未勝利に終わった。ハミルトンの契約は今季で切れるとされているが、チームは契約延長に前向きであるというスタンスが、各国メディアでも伝えられているところ。とはいえ、ハミルトンも38歳を迎えており、チームが「ポスト・ハミルトン」時代に向けて舵を切るのかどうかも注目のポイントだろう。

一方、終盤のブラジルGPでキャリア初優勝をかざったのがジョージ・ラッセル。ときには同僚ハミルトンから神経戦を展開されながらも、着実にトップドライバーへの成長の階段をのぼっている。チームとは長期契約のなかにあり、今季も体制継続となった。イギリス人コンビが逆襲と飛躍を誓う。

ベテランから若手、若手からベテランへの入れ替え。実力伯仲の中団争いは今季も激化か

BWT・アルピーヌ・F1チーム(BWT Alpine F1 Team)

  • チーム代表
    • オトマー・サフナウアー
  • ドライバー
    • ピエール・ガスリー(フランス、1996年2月7日生)
    • エステバン・オコン(フランス、1996年9月17日生)

そつなく上位入賞を繰り返し、昨季のコンストラクターズランキング4位に滑り込んだのがアルピーヌ。大手自動車メーカー・ルノーの直系チームとして、一応の面目は保ったかたちだ。若手のエステバン・オコンが残留した一方で、もうひとりの原動力でもあった、大ベテランのフェルナンド・アロンソがチームを離脱し、今季はアストンマーチンへ。その後任ドライバーの選定のプロセスで紆余曲折がありながら、アルファタウリからピエール・ガスリーが加入することが昨年10月に決定。コンストラクターとレギュラードライバーは全てフランス国籍という「オールフレンチ」体制を組んでいる。

こうした体制となるのは、1982年に当時のルノーがアラン・プロストとルネ・アルヌーのコンビで挑んで以来のこと。レッドブル、フェラーリ、メルセデスの3強に対して、どれだけ割って入る活躍ができるかが注目される。

マクラーレン・フォーミュラ1チーム(McLaren Formula 1 Team)

  • チーム代表
    • アンドレア・ステラ
  • ドライバー
    • ランド・ノリス(英国、1999年11月13日生)
    • オスカー・ピアストリ(オーストラリア、2001年4月6日生)

これまでよりも、若さを押し出したチームとなったのが古豪・マクラーレンだ。ダニエル・リカルドが昨季限りでチームを去り(今季はレッドブルのサードドライバーに就任)、代わってリカルドと同じオーストラリア人ルーキーのオスカー・ピアストリが加入。F3・F2でいずれも参戦初年度にチャンピオンを獲得するなど、適応力の高さは実証済み。昨年はアルピーヌでリザーブドライバーを務め、レースドライバーへの昇格…とアナウンスされたのだが、本人が否定。のちに正式にマクラーレン入りが発表されるドタバタがあった。

そのパートナーとなるのが、若きエースのランド・ノリス。昨シーズンのノリスは、3強チーム以外で唯一表彰台にのぼり、ランキング7位と上々の戦績を残している。今季も彼らが台風の目となって、シリーズをかき回していってほしいところだ。

アルファロメオ・F1チーム・オーレン(Alfa Romeo F1 Team ORLEN)

  • チーム代表
    • アレッサンドロ・アルンニ・ブラービ
  • ドライバー
    • バルテリ・ボッタス(フィンランド、1989年8月28日生)
    • 周冠宇(中国、1999年5月30日生)

アルファロメオは今季もチーム体制に変更なし。バルテリ・ボッタス周冠宇(チョウ・グアンユー)が戦う。ボッタスは昨季序盤にポイントを稼ぎ、ドライバーとしての腕が錆びついていないところを見せたほか、唯一の中国人ドライバー・周も中盤戦以降でF1への慣れを見せて入賞を記録していった。2シーズン目を迎えて、成熟と飛躍を見せられるかがポイントになってくるだろう。

また、今シーズン限りでチームを運営するザウバーとの契約終了がアナウンスされており、チームそのものの今後も注視したいポイントとなっている。先述したようにバスールがチーム代表を退任していて、元マクラーレンチーム代表のアンドレアス・ザイドルがザウバーのCEOに就任。2026年に迫った新規定の導入や、そのタイミングで新たな自動車メーカーがザウバーとタッグを組むのではないか、と噂されるなか、もともとポルシェなどで手腕を発揮していたザイドルの加入がなにを意味するのかも注目かもしれない。

アストンマーチン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チーム(Aston Martin Aramco Cognizant Formula One Team)

  • チーム代表
    • マイク・クラック
  • ドライバー
    • フェルナンド・アロンソ・ディアス(スペイン、1981年7月29日生)
    • ランス・ストロール(カナダ、1998年10月29日生)

しぶとくポイントを積み重ねて戦っていたアストンマーチンだが、昨シーズン限りで元世界王者のセバスチャン・ベッテルが引退。それによって空いたシートに、現役最年長、41歳のフェルナンド・アロンソ・ディアス(今季から自身のフルネームに登録名変更)が収まり、ランス・ストロールとコンビを組む。

アロンソ・ディアスのいぶし銀の走りは、決して一線級のマシンではなかったルノーやアルピーヌをたびたび上位戦線に持ち込んでいったことからも特筆すべきところ。それが新天地でどれだけ多く見られるかが、そのままチームの現在地となりそう。そしてデビュー以来なかなか良いところの出ないストロールが殻を破って、そろそろF1ドライバーとして一本立ちを果たしたいところでもある。チーム浮上の鍵はドライバーたちが握っているだろう。

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オールドルーキー起用のハースとアルファタウリ、新代表で復権目指すウィリアムズは下位脱出なるか

マネーグラム・ハース・F1チーム(MoneyGram Haas F1 Team)

  • チーム代表
    • ギュンター・シュタイナー
  • ドライバー
    • ケビン・マグヌッセン(デンマーク、1992年10月5日生)
    • ニコ・ヒュルケンベルグ(ドイツ、1987年8月19日生)

唯一のアメリカンチームであるハースは、今季からミック・シューマッハ(今季はメルセデスのリザーブドライバーに就任)に代わってニコ・ヒュルケンベルグが実に2019年以来となるレギュラードライバーとしてカムバックを果たす。チームメイトは、こちらもベテランの域にさしかかっているケビン・マグヌッセン。30歳以上のドライバーがコンビとなるのは、今季のF1ではハースが唯一。しかし、タフ(ときどきラフ)な走りを見せる両者ゆえ、今季最もやんちゃなコンビになる予感も。

また、今シーズンからはデジタル決済サービス「マネーグラム」がタイトルスポンサーとなり、チーム名は「マネーグラム・ハースF1チーム」となる。これまで、ハースはスポンサー企業のコーポレートカラー次第で大きくマシンの印象を変えてきただけが、今季一番乗りで公開した車体カラーリングは、ブラックを基調に赤と白をポイントに入れる精悍なイメージに変わった。

スクーデリア・アルファタウリ(Scuderia AlphaTauri)

  • チーム代表
    • フランツ・トスト
  • ドライバー
    • 角田裕毅(日本、2000年5月11日生)
    • ニック・デ・フリース(オランダ、1995年2月6日生)

昨シーズン、どこかちぐはぐなシーズンを送り続けたのがアルファタウリ。こちらもパワーユニットサプライヤーが「ホンダRBPT」に変更されている。前身のトロ・ロッソ時代以来、足かけ6シーズン在籍したガスリーがチームを去り、F2やフォーミュラEのチャンピオン経験者、ニック・デ・フリースが加入。昨シーズンのイタリアGPで見せた好走が記憶に新しいところだ。

そのチームメイトは唯一の日本人ドライバー、在籍3年目の角田裕毅となる。28歳のオールドルーキーもF1での立場を作るべく奮戦するだろうなかで、角田にとってもF1への生き残りをかけた正念場のシーズン。少なくともドライバーの失策でレースを落とす…ということは避けたいところだ。新規定を熟知したであろう今シーズンは、去年よりも上のポジションでのレースが見たいところであり、日本人4人目となる角田の表彰台獲得が果たされるかも夢見ていきたい。

ウィリアムズ・レーシング(Williams Racing)

  • チーム代表
    • ジェームス・ボウルズ
  • ドライバー
    • アレクサンダー・アルボン(タイ、1996年3月23日生)
    • ローガン・サージェント(米国、2000年12月31日生)

数年単位での低迷に悩むウィリアムズも、チーム体制を大幅に変更した。3年間在籍したニコラス・ラティフィがチームを去り、ウィリアムズの育成ドライバーだったアメリカ人ルーキー、ローガン・サージェントが加入した。アメリカ人ドライバーのレギュラー参戦は実に16年ぶりのこと。北米での人気が高まるF1において、さらなる起爆剤となれるか。

それを支えるであろう存在が、在籍2年目となるアレクサンダー・アルボン。マシンのツボを捉えて上位に進出するという部分では、昨季のアルボンはたびたび「らしさ」を見せていた。新チーム代表であるジェームス・ボウルズのもとで、古豪復活に向けた狼煙を上げられるようなシーズンを送りたいところだ。

2023年F1チーム・ドライバー・搭乗マシン・PUリスト

チーム

ドライバー

カーナンバー

マシンシャシー

PU

レッドブル

マックス・フェルスタッペン

1

RB19

ホンダRBPT

レッドブル

セルジオ・ペレス・メンドーサ

11

RB19

ホンダRBPT

フェラーリ

シャルル・ルクレール

16

未定(codename 675)

フェラーリ

フェラーリ

カルロス・サインツ

55

未定(codename 675)

フェラーリ

メルセデス

ルイス・ハミルトン

44

W14

メルセデス

メルセデス

ジョージ・ラッセル

63

W14

メルセデス

アルピーヌ

エステバン・オコン

31

A523

ルノー

アルピーヌ

ピエール・ガスリー

10

A523

ルノー

マクラーレン

ランド・ノリス

4

MCL37

メルセデス

マクラーレン

オスカー・ピアストリ

81

MCL37

メルセデス

アルファロメオ

バルテリ・ボッタス

77

C43

フェラーリ

アルファロメオ

周冠宇

24

C43

フェラーリ

アストンマーチン

フェルナンド・アロンソ

14

AMR23

メルセデス

アストンマーチン

ランス・ストロール

18

AMR23

メルセデス

ハース

ケビン・マグヌッセン

20

VF-23

フェラーリ

ハース

ニコ・ヒュルケンベルグ

27

VF-23

フェラーリ

アルファタウリ

角田裕毅

22

AT04

ホンダRBPT

アルファタウリ

ニック・デ・フリース

21

AT04

ホンダRBPT

ウィリアムズ

アレクサンダー・アルボン

23

FW45

メルセデス

ウィリアムズ

ローガン・サージェント

2

FW45

メルセデス


2023年シーズンも随時更新!

スポーティングニュース日本語版では、2023年もレース結果や放送配信予定に加え、英語記事だけでなく、F1人気が高い欧州の空気感を伝える本誌スペイン語記事の翻訳版など随時更新する予定だ。

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荒大 Masaru Ara

荒大 Masaru Ara Photo

茨城大学卒。福島県内のテレビ局で報道記者を務めたあと、web編集者を務めた2019年からモータースポーツの取材を行う。2020年に独立後、Bリーグの取材を開始し、現在は記事執筆のほか動画コンテンツの編集などで活動中。