オーストラリアとニュージーランドが初めて共同開催したFIFA女子ワールドカップ2023は、手に汗握るスリリングな大会となった。
スペイン代表がイングランド代表を1-0で下し、チームとしての栄冠を手にした一方で、この世界屈指の舞台で注目を浴びた女子サッカーのスター選手たちもそれぞれに栄誉を手にしている。
その筆頭と言えるのが「ゴールデンブーツ賞」で、近年は非常に激しい争いが繰り広げられている。ただし、受賞者の総得点数は伸び悩みの傾向にあるようだ。
過去3大会に限ってみれば、ゴールデンブーツ賞を受賞した選手のゴール数は最も少ない時で6ゴール。1大会の最多得点記録を樹立したミシェル・エイカーズに迫る選手はもう出てこないのだろうか?
女子ワールドカップ2023の得点ランキング
8月20日時点(決勝戦終了後)
順位 | 選手 | チーム | ゴール数 (PK) | アシスト | 試合数 | プレー時間 (分) |
---|---|---|---|---|---|---|
1. | 宮澤ひなた | 日本 | 5 (0) | 1 | 5 | 336 |
2. | カディディアトゥ・ディアニ | フランス | 4 (2) | 3 | 5 | 449 |
- | アレクサンドラ・ポップ | ドイツ | 4 (1) | 0 | 3 | 263 |
- | ジル・ロード | オランダ | 4 (0) | 0 | 5 | 419 |
- | アマンダ・イレステット | スウェーデン | 4 (0) | 0 | 7 | 632 |
6. | ローレンジェームズ | イングランド | 3 (0) | 3 | 4 | 287 |
- | アイタナ・ボンマティ | スペイン | 3 (0) | 2 | 7 | 585 |
- | ジェニファー・エルモソ | スペイン | 3 (0) | 2 | 6 | 527 |
- | アリー・ボルヘス | ブラジル | 3 (0) | 1 | 2 | 206 |
- | アルバ・レドンド | スペイン | 3 (0) | 1 | 6 | 333 |
- | ローレン・ヘンプ | イングランド | 3 (0) | 1 | 6 | 430 |
- | ソフィー・ローマン・ハウグ | ノルウェー | 3 (0) | 0 | 3 | 253 |
- | ウジェニー・ル・ソンメ | フランス | 3 (0) | 0 | 4 | 356 |
- | レベッカ・ブロンクビスト | スウェーデン | 3 (0) | 0 | 6 | 158 |
- | アレッシア・ルッソ | イングランド | 3 (0) | 0 | 6 | 482 |
- | フリードリナ・ロルフォ | スウェーデン | 3 (1) | 0 | 6 | 502 |
- | ヘイリー・ラソ | オーストラリア | 3 (0) | 0 | 7 | 566 |
- 2ゴール : 16選手
- 1ゴール: 67選手
- オウンゴール: 8選手
今回のFIFA女子ワールドカップで生まれたゴールは、全64試合で計160ゴールだった(オウンゴール8点を含む)。
女子ワールドカップ2023のゴールデンブーツ賞受賞者は?
日本代表の宮澤ひなたは今大会で計5ゴールを挙げ、2023年のゴールデンブーツ賞に輝いた。
日本代表が準決勝で敗れたことを考えれば、この結果は特筆すべきものと言える。
大会前に有力候補と見られていたアメリカ代表のアレックス・モーガンは初戦のベトナム戦でPKを外し、最終的にも今大会無得点に終わった。もう一人の有力候補、チェルシーに所属するオーストラリア代表、サム・カーは大会前の故障が影響し、グループリーグ全試合に出場できなかった。
宮澤はグループリーグ最終戦となったスペイン戦、4-0と快勝した試合で2得点をマーク、ラウンド16のノルウェイ戦でも1得点を挙げて勝利に貢献した。そのほかでは、ドイツ代表アレクサンドラ・ポップ、スウェーデン代表アマンダ・イレステットがそれぞれ4ゴール、ブラジル代表のアリー・ボルヘスは3ゴールを各国の敗退までに挙げている。
過去のワールドカップでは、アメリカ、ドイツ、ブラジルの選手たちがゴールデンブーツ賞をほぼ独占していた。
ゴールデンブーツ賞のタイブレークのルール
FIFAの規則では、大会終了時に同数のゴールを記録した選手が2人以上いた場合、タイブレークが適用される。
最初のタイブレークとして使用されるのはアシスト数、その次がプレー時間で、同数のゴールをより少ないプレー時間で挙げた選手が上位にランクされる。
女子ワールドカップでの1大会の最多ゴール数
年 | 選手 | 国 | ゴール数 |
---|---|---|---|
1991 | ミシェル・エイカーズ | アメリカ | 10 |
1991 | ハイディ・モール | ドイツ | 7 |
1999 | スン・ウェン | 中国 | 7 |
1999 | シシー | ブラジル | 7 |
2003 | ビルギット・プリンツ | ドイツ | 7 |
2007 | マルタ | ブラジル | 7 |
女子ワールドカップの歴代ゴールデンブーツ賞受賞者
これまで開催された9回のFIFA女子ワールドカップにおいて、ゴールデンブーツ賞を複数回受賞した選手はいない。
1991年に行われた最初のワールドカップでアメリカのミシェル・エイカーズが挙げた10得点は、いまなお1大会の最多ゴール記録となっている。
女子ワールドカップの歴代通算得点王に輝くブラジルの伝説的プレーヤー、マルタは2007年にゴールデンブーツ賞を受賞。しかしながら、その年優勝を勝ち取ったのはドイツだった。
ミーガン・ラピノーは2019年のワールドカップでアメリカを優勝に導き、ゴールデンブーツ賞(得点王)とゴールデンボール賞(MVP)をダブル受賞、さらにその年の女子サッカーにおける最優秀選手としてバロンドール賞にも輝いた。
年 | 開催国 | 選手 | 国 | ゴール数 |
---|---|---|---|---|
1991 | 中国 | ミシェル・エイカーズ | アメリカ | 10 |
1995 | スウェーデン | アン・クリスティン・アーロンス | ノルウェー | 6 |
1999 | アメリカ | スン・ウェン / シシー | 中国 / ブラジル | 7 |
2003 | アメリカ | ビルギット・プリンツ | ドイツ | 7 |
2007 | 中国 | マルタ | ブラジル | 7 |
2011 | ドイツ | 澤 穂希 | 日本 | 5 |
2015 | カナダ | セリア・サシック | ドイツ | 6 |
2019 | フランス | ミーガン・ラピノー | アメリカ | 6 |
2023 | オーストラリア ニュージーランド | 宮澤ひなた | 日本 | 5 |
女子ワールドカップ史上通算の得点王は?
女子ワールドカップ史上通算の得点王は17ゴールを挙げているブラジルのマルタ、2023年も記録を更新するチャンスがあったが無得点に終わった。
選手 | 国 | W杯通算 ゴール数 |
マルタ | ブラジル | 17 |
ビルギット・プリンツ | ドイツ | 14 |
アビー・ワンバック | アメリカ | 14 |
ミシェル・エイカーズ | アメリカ | 12 |
クリスティアー二 | ブラジル | 11 |
スン・ウェン | 中国 | 11 |
ベッティーナ・ヴィーグマン | ドイツ | 11 |
アン・クリスティン・アーロンス | ノルウェー | 10 |
カーリー・ロイド | アメリカ | 10 |
ハイディ・モール | ドイツ | 10 |
クリスティン・シンクレア | カナダ | 10 |
原文:Women's World Cup top goal scorers 2023: Final rankings in the Golden Boot race
翻訳:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)