2022年のプロ野球はオリックスの日本一でシーズン終了。次は選手の働きぶりに移る。ほっとけないのは「高額年俸の勤務評定」である。
“超喝っ!”の田中と菅野
第一に気になるのは年俸5億円を上回る超高額の選手となる。その代表が楽天の田中将大(まさひろ=9億円)と巨人の菅野智之(ともゆき=6億円)の両投手で、今季の成績はというと…。以下は田中と菅野の直近2シーズンの成績。
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田中将大
4勝9敗 防御率3.01(21年)
9勝12敗 防御率3.31(22年)
菅野智之
6勝7敗 防御率3.19(21年)
10勝7敗 防御率3.12(22年)
田中の22年は“1勝1億円”である。登板25、投球回163だから1登板3600万円、1イニング552万円となる。昨年の「1勝2億2500万円」と比べると、勝ち星は2倍となった。しかし2年間で「1勝1億4000万円」は、随分と贅沢なマウンドである。
一方の菅野は昨年の8億円から2億円減俸となった今シーズンだった。それでも22年の「1勝6000万円」は同僚にとってはうらやましい限りである。
今季を振り返ってみると、楽天も巨人も両エースが額面通りのピッチングをしていれば、少なくともクライマックスシリーズには出ていただろう。ともに4位だったが、楽天は開幕ダッシュの勢いからは信じられないような失速で負け越し、巨人に至っては3位阪神より1敗多い0.5ゲーム差だった。
9億円と6億円の投手責任は計り知れなく大きい。“超A級戦犯”である。
高橋と吉田は“あっぱれ”
今年のオリックスはいわば「ミラクル・バファローズ」だった。なにしろ首位に立った日数はたった3日。一度もマジックナンバーが出なかったのに公式戦の最終日に、ずっと首位だったソフトバンクが負けてひっくり返った優勝という実にドラマチックなゴールインだった。そしてヤクルトとの日本シリーズでは第4戦から4連勝。古い日本流に言えば「盆と正月がいっぺんに来た」最終日だった。投打のヒーローが額面通りの活躍をしたからである。
エースの山本由伸(よしのぶ=3億7000万円)は15勝5敗、205奪三振、防御率1.68という見事な成績で2年連続投手三冠王(勝利、奪三振、防御率)に沢村賞。とりわけ後半戦はほとんど負けなかった。逆転優勝の最大の原動力となった。
打は吉田正尚(まさたか=4億円)である。138安打の3割3分5厘は2位で、21本塁打に88打点。ここ一番での打撃は心強かった。二人とも絵に描いたような“あっぱれクン!”だった。
坂本に「喝っ!」
巨人といえば坂本勇人(はやと=6億円)も“A級戦犯”だった。故障に遭ったとはいえ、83試合で87安打は高給取りの成績ではない。プロ入り2年目から14シーズン続けていた規定打席維持が止まり、1安打およそ700万円という高値となった。20年から安打数が120を切っており、どうしても「力の衰え」を指摘されるのは仕方がない。
ヤクルトの山田哲人(てつと=5億円)はチームきっての高額選手だが、今季は苦しんだ。114安打の打率2割4分3厘は25位というレギュラーになって最低打率だった。主将として130試合に出場して23本塁打、65打点は面目を保ったと言えなくもないが、もしリーグ優勝を逃していたら責められたと思う。
ソフトバンクの投打の中心はまずまずの数字を残した。リーダー柳田悠岐(ゆうき=6億2000万円)は117安打の2割7分5厘、24本塁打、79打点で1本塁打2600万円、1打点780万円。エースの千賀滉大(こうだい=6億円)は11勝6敗で1勝5500万円となる。しかしながらずっとマジックナンバーを減らしていながら公式戦最終日に優勝を逃すという屈辱は、あと1勝の厳しさ身に染みたわけで、高額年俸選手のあと1本、あと1勝があれば、に行き着く。
楽天の浅村栄斗(ひでと=5億円)も数字は悪くなかったが、失速の悔しさは人一倍だろう。今季は134安打、27本塁打、86打点と前年を上回り、値段に見合う成績といえた。
村上にあおられた岡本
その名前から時代劇を見ているようだったのが巨人の岡本和真(かずま=3億円)とヤクルト村上宗隆(むねたか=2億2000万円)のホームラン争い。途中から村上が対戦投手を手当たり次第に叩いて量産。独走のまま決着した。
村上は3割1分8厘、56本塁打、134打点と打ちまくり、史上最年少22歳で三冠王を獲得した。ファンとメディアからは「村神様」との異名もついた。
一方、岡本は30本塁打、82打点と主力の成績は挙げた。結果的には村上の長打力にあおられ、持ち前のパワーは湿ったままだった。両選手は昨年、39本塁打でタイトルを分け合ったが、今年は後輩にばっさりやられた格好だった。
どうした大瀬良、大野
セ・リーグの5、6位に沈んだ広島と中日。両軍ともエースが全くよろしくなかった。
広島の大瀬良大地(だいち=1億8000万円)は8勝9敗、防御率4.72とまるで話にならなかった。シーズンが終わると監督が辞めて行った。
最下位の責任をひどく感じているだろう、大野雄大(ゆうだい=3億円)は。8勝8敗とエースとはいえない成績が残った。防御率2.46からみると打線の援護がお粗末だったことが分かるけれども、そこを踏ん張らなければいけない年俸である。
名前は大きいけれども、終わってみれば“名前負け”といっていい。
ニコニコ顔の“丸・増”
巨人の丸佳浩(よしひろ=4億5000万円)は143安打、27本塁打、65打点をマーク。元気のなかった打線でもっとも安定していた。昨年より数字を上乗せし、来シーズンの主軸の座を守った。
昨年のパ・リーグ最下位だった西武を3位に押し上げ、クライマックスシリーズに出場させた一人に増田達至(たつし=3億円)がいた。リーグ2位の31セーブに防御率2.45を挙げたからである。昨年は8セーブ、防御率4.99だから予想外のカムバックといっていい。
“グッドジョブ丸・増”だった。
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