NBAがサクラメント・キングスとのウェスタン・カンファレンス・プレイオフ・ファーストラウンド第3戦でゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンに出場停止処分を科したことは、ウォリアーズにとって大きな懸念となる。
シリーズがウォリアーズの0勝2敗となり、これから必ず見聞きすることがある。0勝3敗から逆転してシリーズを制したチームはNBAの歴史に存在しないということだ。
ウォリアーズにとって朗報なのは、ホームでの彼らがよりずっと優れたチームであり、これからの2試合はホームで戦うということ。一方でバッドニュースは、グリーンが基本的なスタッツを一見した以上にあまりに貴重な存在だということだ。
そしてさらに心配なのは、そんなグリーンの不在をいかに埋めるのか、まったく明確でないということだろう。以下がその理由だ。
ドレイモンド・グリーン出場停止がウォリアーズの攻撃に及ぼす影響
グリーンの攻撃に関するスタッツは平凡だ。
このシリーズで平均得点は6得点しかなく、フィールドゴール成功率は36.4%とひどい数字にとどまっている。だが、彼はパスやスクリーンで多大なる価値をもたらしているのだ。平均アシストはチーム最多の8アシストとなっている。
ウォリアーズがステフィン・カリーを中心に回っているのは当然だ。グリーンはポストからのパスが素晴らしく、ウォリアーズにカリーがいる時の最高の攻撃を解き放たせる。高い位置でのピック&ロールだ。相手チームは2人でカリーを守ろうとするが、グリーンが非常にうまく放出弁となり、その戦略を保つのを難しくさせるのである。
グリーン不在となれば、ケボン・ルーニーがその役割を担う機会が増える。だが、ルーニーはまったくグリーンのようなパサーやプレイメーカーではない。キングスはカリーに対する重圧を強めることができるはずだ。そうなれば、ピック&ロールにおいてカリーにとってはより難しくなる。
今シリーズではこれまで、カリーだけ(時にアンドリュー・ウィギンズ)が、ウォリアーズでボールを持った際のショットクリエイターとして信頼できると証明されてきた。クレイ・トンプソン、そして特にジョーダン・プールが、多くを生み出せていないからだ。グリーンがいなくなり、彼のパスでつくり出されるイージーなショットがなくなれば、カリーのプレイメークの負担はさらに増すこととなる。
ドレイモンド・グリーン出場停止がウォリアーズの守備に及ぼす影響
本当にウォリアーズがグリーン不在を感じるのは守備面だ。彼はいまだエリートレベルのディフェンダーである。
『Basketball-Reference』によると、レギュラーシーズンのウォリアーズは、グリーンがコートにいる時のほうが、100ポゼッションあたり7.3失点少なかった。キングスとの今シリーズの2試合では、それが19.3失点となっている。これは、リーグ最高守備と最低守備の差の約2倍となる数字だ。
第2戦の終盤に向け、グリーンをセンター、ギャリー・ペイトン二世をパワーフォワードとし、スモールラインナップにして、何かをつかんだかのようだった。ドマンタス・サボニスを踏んでグリーンが退場となるまで、ウォリアーズはキングスのリードを縮めていたのだ。グリーン退場により、ウォリアーズはこのシリーズで苦しんでいたルーニーを戻さなければならなかった。グリーンがいなくなり、ルーニーが入って、点差は4点から試合終了時に8点まで広がっている。
ルーニーがウォリアーズにとって良い選手であることは確かだ。だがシンプルに、彼にとって良いシリーズでないということだ。
ルーニーはボールスクリーンで引かなければならず、ペイントへの道を空けている。そこをディアロン・フォックスにソフトタッチのフローターやミッドレンジからのショットで突かれた。フォックスには2試合平均31得点、7アシストを記録されており、守備でルーニーはターゲットとされている。ウォリアーズは様々なタイプのカバーをこなす力を必要とするが、ルーニーはグリーンのレベルでそれをこなすことができない。
ルーニーの後ろに控えるバックアップたちも非常に弱い。ジャマイケル・グリーンはアンダーサイズのセンターとしてもっとプレイしなければいけないだろう。今季の彼は生産的ではなかった。さらに悪いことに、今シリーズのキングスはセンターのアレックス・レンを起用したビッグなラインナップにし、複数の選手がオフェンシブリバウンドを拾おうとするのに成功している。グリーン不在でキングスはそのアドバンテージをさらに生かし続けるだろう。
ドレイモンド・グリーン不在時のウォリアーズの成績
歴史も、グリーン不在でウォリアーズは苦しむだろうと示している。レギュラーシーズンでグリーンが欠場したのは9試合だが、この時のチーム成績は3勝6敗だ。ただ、敗れた6試合はカリーも欠場しており、スティーブ・カー・ヘッドコーチが複数のスターターを休ませている。
間違いなく確かなのは、ウォリアーズ王朝においてグリーンとカリーのコンビネーションは非常に重要だったということだ。今季のレギュラーシーズンではそれがより顕著だった。『PBP Stats』によると、両選手は一緒に出場した1438分間で相手チームを263得点も上回っている。逆にグリーン不在でカリーがプレイした498分間は、ウォリアーズが相手チームに6得点上回られた。
グリーンの出場停止処分は、2016年のNBAファイナルでレブロン・ジェームズを蹴った時を思い起こさせる。この時、第5戦でグリーンは出場停止となり、ウォリアーズは敗れた。
今季のウォリアーズはホームで33勝8敗とリーグ3位の成績を残している。彼らはホームのアドバンテージでグリーン不在を乗り越えられるように願わなければならない。スタッツで見ても、映像を見ても、彼がいないのは彼らにとって良くないことだからだ。
原文:Can Warriors survive Draymond Green's suspension? Key stats show why Game 3 vs. Kings spells trouble(抄訳)