マイアミ・ヒートはNBAファイナル2023第4戦で敗れ、シリーズ1勝3敗と後がなくなった。第4戦の試合後、エリック・スポールストラ・ヘッドコーチは、チームに伝えたメッセージはシンプルなものだったと話している。
スポールストラHCは「選手たちには、今夜は好きなように感じろと言ったよ」と述べた。
「それは構わない。おそらく今夜はあまり眠れないだろう。みんなそうだと思う。我々は非常に競争的なグループだ。すべてをハードにやってきた。今もまたそうでなければいけない」
「とにかく(第5戦に勝って)マイアミに戻ることに集中する。マイアミに戻せば、あっという間に事態は変わり得る。デンバーでの試合は、厳しい一戦になるだろう」
ヒートはこのプレイオフで一貫してアンダードッグという立場にありながら、決して自信を失わなかった。だが、NBAファイナルではまた異なる挑戦に直面している。
数字は、ナゲッツとのロードでの第5戦に向け、ヒートが厳しい状況に立ち向かっていると示しているのだ。
NBAファイナル2023第5戦を前に注目のスタッツ
NBAファイナルにおける1勝3敗
この数字で、ナゲッツのファンは自信を感じるはずだ。NBAファイナルの歴史において、シリーズ3勝1敗としたチームは、過去36回のうち35回で優勝している。敗れたのは1回だけだ。
その1回は、2016年のクリーブランド・キャバリアーズだ。レブロン・ジェームズ擁するキャバリアーズは、レギュラーシーズンで73勝をあげたステフィン・カリーのゴールデンステイト・ウォリアーズに、シリーズ1勝3敗となりながら逆転して優勝した。
ヒートの3ポイントショット
第2戦で108-111と敗れた際、ナゲッツのマイケル・マローンHCは守備での努力や規律に不満を表した。ヒートに3ポイントショット成功率48.6%を許したのは、基本的な攻撃の動きに対してナゲッツがミスを犯したことが大きかった。
だがそれ以降、ナゲッツは守備を引き締めている。それによって、ヒートはより良いかたちでショットを打てなくなった。第3戦と第4戦のヒートは、3P60本中19本成功にとどまっている(31.6%)。
第4戦の試合後、マローンHCは「できるだけ(2ポイントショットを)厳しくさせ、(3Pを)打たせないようにするというのがチームへの大きなメッセージだ」と話した。
ヒートが相手チームより3P成功率で下回るのは、今プレイオフでナゲッツとのシリーズが初めてだ。ヒートがシリーズを続けたければ、この点を変えなければならない。
ラウンド | 平均3P成功-試投 | 3P成功率 | 対戦相手の3P成功率 |
1回戦 | 15.4-34.2 | 45.0% | 37.0% (バックス) |
地区準決勝 | 11.7-38.2 | 30.6% | 29.9% (ニックス) |
地区決勝 | 12.7-29.3 | 43.4% | 30.3 %(セルティックス) |
NBAファイナル | 12.3-33.5 | 36.6% | 37.6% (ナゲッツ) |
「プレイオフ・ジミー」はどこへ?
ジミー・バトラーを抑えているのも、ナゲッツの功績だ。今プレイオフ最初の3シリーズで、バトラーはフィールドゴール成功率48.3%の平均28.5得点を記録した。それがナゲッツとのシリーズでは、FG成功率44.6%の平均21.8得点だ。
第4戦の試合後、ショットの効率について問われると、バトラーは「決めるか決めないかのリーグだ」と一蹴した。適切なプレイをし、ペリメーターのロールプレイヤーを見つけることの重要性も強調している。
バトラーは「みんなのことをものすごく信頼しているんだ」と話した。
「彼らが、これほど勝ってきた理由なんだ。彼らに対する信頼は揺るがない。絶対にね」
バトラーは間違っていない。ケイレブ・マーティン、ダンカン・ロビンソン、マックス・ストゥルース、ゲイブ・ビンセントは、ヒートに大きな勢いをもたらした。彼らがいなければ、ヒートがNBAファイナルまで勝ち進むことはなかっただろう。
だが今は、バトラーがもっとアグレッシブになり、第5戦で足跡を残すことを彼らが必要としている。
ジャマール・マレーの飛躍
NBAファイナルでジャマール・マレーが両軍最多のアシストを記録すると思った人はいただろうか。
ナゲッツが勝利した第4戦での12アシストを含め、マレーはここ4試合連続で10アシスト超を達成している。『ESPN Stats and Info』によると、ファイナル最初の4試合連続で10アシスト超は初の記録だ。
マレーはカッターを見つけ、オープンになっているシューターにキックアウトし、ニコラ・ヨキッチとのピック&ポップを完璧に遂行してきた。
Keeps shining on the biggest stage 🏹
— Denver Nuggets (@nuggets) June 10, 2023
15 PTS
3 REB
12 AST
1 STL
マレーは「自分のスポットをとり、いつプルアップジャンパーを打つか、いつパスを出すか、いつドライブするか、守備を打ち破ろうとするかということだ。試合に影響できたと感じているよ」と話している。
「僕のショットは本当に良くなかった。ショットクロックぎりぎりとか、残り4秒とか、打たなきゃいけないショットが多かったんだ」
「みんなが決めているなら、僕はそれで構わない。みんなが決められるようにするのに、僕がそういうことをしなきゃいけないというなら、それでいいんだ」
ナゲッツの攻撃がどのチームも解けなかった謎となっている大きな理由は、ポストシーズンにおけるマレーの飛躍だ。