大谷翔平とアクーニャJr.が7月にしてMVP受賞確実な理由

Ryan Fagan

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シーズン後半戦が7月14日(日本時間15日)に始まる。2023年シーズンの最終ストーリーが歴史に書かれるまでには、これから多くの展開を待たなくてはいけない。

ひとつだけ(ふたつとも言えるが)、現時点でもうすでに決まってしまったように見えるものがある。メジャーリーグのニュースを普段からチェックしている人なら、そう聞いてもたぶん驚かないだろう。ナショナル・リーグもアメリカン・リーグも、最優秀選手賞(MVP)レースには他を寄せ付けない大本命候補がいる。ロナルド・アクーニャ・ジュニアがナショナル・リーグ、そして大谷翔平がアメリカン・リーグだ。

ブックメーカー『BetMGM』では、大谷はアメリカン・リーグMVPのオッズが-750である。2位のコーリー・シーガーは+1600だ。アクーニャはナショナル・リーグMVPのオッズが-350であり、2位のムーキー・ベッツは+600だ。スポーツベッティングに興味が薄い人に説明すると、これらは巨大で、圧倒的で、そして途方もなく懸絶した差なのだ。

紀元前、ダビデがゴリアテと戦う前の予想のようなものだ。

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この2人はシーズン後半に調子を上げる必要はない。それどころか、これからシーズンを休んでも、これまでの素晴らしいパフォーマンスだけでMVPは確実なのである。2010年にアメリカン・リーグMVPを受賞したジョシュ・ハミルトンのシーズン成績は、本塁打33本、100打点、8.7 bWAR 、 170 OPS+だった。ハミルトンは9月4日以降たった3試合しか出場しなかったにもかかわらず、第1位投票の28票中22票を獲得した。

今年のアクーニャと大谷にも同じようなシナリオがあってもおかしくない。

アクーニャは故障による欠場が多かった2シーズンを送った後、今シーズン開幕は万全の状態で迎えた。そして野球界全体でも屈指の実力者であることを証明してきた。

アクーニャはナショナル・リーグでトップの盗塁数(41個)とOPS(.990)を挙げている。かなり珍しい組み合わせだ。得点数(79)、OPS+ (162)、合計塁数(209)、そして5.0 bWARでもリーグトップである。打率は.331、そして出塁率は.408だ。このままのペースを保てば、シーズン成績は144得点、2塁打46本、本塁打38本、盗塁数75個、そして9.1 bWARという、とてつもない数字になる。

今シーズンのアクーニャについて最も特筆するべきことは四球と三振の割合かもしれない。2023年より前、アクーニャのキャリア通算四球数は261個で、三振数は582個だった。ところが今シーズン、両者の割合はほぼ1対1にまで改善されている。四球数44個で、三振数49個だ。

「アクーニャが素晴らしい選手だってことはずっと前から知っていたけどね。今年は毎日試合に出続けて、数字を積み上げている。信じられない数字をね。偉大なシーズンになるだろうし、偉大な選手だ」とロサンゼルス・ドジャースのウィル・スミス捕手はそう言った。そしてスミスは少し口ごもり、そして笑みを浮かべて、次のように言った。

「ぼくらが彼とは1年に6試合しか対戦しないことをラッキーだと思うよ」

そして大谷については、もはや表現する言葉が見つからない。オールスター戦が行われたシアトルでは、地元マリナーズのファンが声を揃えて「シアトルへ来てくれ」の大合唱を大谷へ送った。まるでマリナーズの人気選手に向けられる声援と同じようなボリュームと熱意が感じられた。大谷はそれに気づいた。

「これまでに経験したことがありませんでした」と大谷は試合後に通訳を介してそう言った。

アメリカン・リーグの監督を務めたダスティン・ベイカーは野球界で長いキャリアを持つ超ベテランだ。そのベイカー監督は7月10日(同11日)のホームラン・ダービーが始まる前、次のように語った。「大谷はこれまで私が野球界で見てきたなかで最も信じ難いアスリートだ。偉大な選手は何人か見てきた。しかし、あれだけ速く走って、160キロ以上のボールを投げて、あれだけ打つことを同時にこなす選手は見たことがない」

大谷はメジャーリーグ全体でトップの本塁打(32本)、三塁打(6本)、OPS+ (180)、そして長打率(.663)を挙げている。4.0 bWARは指名打者(DH)としてはトップであり、それより高い数値を挙げている野手はワンダー・フランコ(4.3)とルイス・ロバート・ジュニア(4.1)の2人しかいない。しかし、投手としてのbWARを足すと、大谷の数値は6.5となり、まさに他を圧している。

本当の質問とはこうだ。もしロサンゼルス・エンゼルスが大谷を8月1日の期限までにトレードに出すことを決めて(そうするべき多くの理由がある)、そして移籍先のチームがナショナル・リーグだった場合、大谷はそれでもアメリカン・リーグMVPに選出されるだろうか。

おかしな問いにも聞こえるが、けっしてそうではない。2000年シーズン以来、アメリカン・リーグとナショナル・リーグ合わせて、bWARの数値が7.3 以下の選手がMVPを受賞したことは13回もあるのだ。トレード期限までまだ2週間ある。大谷なら間違いなく到達可能な数値だ。2021年、ブライス・ハーパーは141試合に出場し、5.9 bWARの成績でナショナル・リーグMVPを受賞した。

大谷はそれほどまでに素晴らしい成績を挙げているのだ。上のシナリオは現実には起こらないかもしれないが、それが決して不可能ではないという事実が今シーズンの大谷を物語っている。

原文: Shohei Ohtani and Ronald Acuña Jr. leave little doubt about this season's MVP awards — and it's only July
翻訳:角谷剛

Ryan Fagan

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.