大谷、ダルビッシュらも参戦表明…WBCへ臨む史上最強の侍ジャパン

菅谷齊

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いよいよワールドベースボールクラシック(WBC)が3月に開幕する。2023年の日本はドリームチームの形容がぴったりである。サッカーW杯の興奮が再現するだろう。

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大谷、ダルビッシュ、鈴木が参戦

「WBCに出場します」

大谷翔平(エンゼルス)がインスタグラムで表明したのは11月17日のことだった。これでファンが大喜びすると、さらにダルビッシュ有(アストロズ)が名乗りを上げた。

「(栗山英樹監督から)WBCに出なさい、と言われたので出場します」と。続いて鈴木誠也(カブス)も「出ます」—。

2022年の成績は、大谷が投手で15勝、投手で34本塁打、ダルビッシュは16勝、鈴木は14本塁打だったが、打率2割6分台を残した。

注目の3大メジャーリーガーが日本チームに参加することが決まったのである。このインパクトは計り知れなく大きかった。

日本は1次予選リーグのプールBに所属し、韓国、オーストラリア、中国、チェコと2次進出を争う。3月9日から東京で行われる試合のチケット販売は、大リーガー三銃士の参戦で絶好調だという。

史上最強の侍ジャパン

俄然盛り上がったWBCである。日本チームのメンバーは間違いなく史上最強となるだろう。

候補に挙がっている主な選手は、投手陣が完全試合の佐々木朗希(ロッテ)、ノーヒットノーランの今永昇太(DeNA)、新人王の大勢(巨人)、日本一に貢献した宮城大弥(オリックス)、エースにのし上がった戸郷翔征(巨人)に、2年連続4冠王の山本由伸(オリックス)。ソフトバンクからメッツ入りの千賀滉大も。

捕手はFAの目玉だった強打の森友哉(オリックス)に「甲斐キャノン」の甲斐拓也(ソフトバンク)ら。

内野手は56本塁打を放ち史上最年少三冠王の村上宗隆(ヤクルト)をはじめ、トリプルスリーの実績を持つ山田哲人(ヤクルト)に村上と本塁打王を争った岡本和真(巨人)、勝負強さで不動の4番を打つ牧秀悟(DeNA)ら。

外野手はFAで高額契約を勝ち取った近藤健介(ソフトバンク)、近本光司(阪神)の安打製造機2名に加え、好守走の三拍子そろった塩見泰隆(ヤクルト)ら。これに吉田正尚(レッドソックス)が加わる可能性が高い。

出場選手が投手、打者としてプレーできる、いわゆる“大谷ルール”の採用が決まり、大谷の投打両方での活躍に期待がかかる。栗山監督は「(大谷には)投げてほしい」と明言している。

先発完投投手が並び、攻撃陣も「クリーンアップ・トリオはじゃんけんで決めてもいい」といった声が出るほどの実力者ぞろい。まさにドリームチームである。

目標は賞金より“世界一”

WBCが始まったのは2006年のことだった。この第1回大会で日本は王貞治監督を据え、見事優勝している。続く2009年の第2回大会も原辰徳監督で連覇を果たした。

その後の2013年第3回大会(山本浩二監督)と2017年第4回大会(小久保裕紀監督)は優勝を逃した。それだけに2023年は世界一奪回が目標となる。

この世界大会はメジャーリーグ(MLB)の発案で実現した。主催はMLBとメジャーリーグ選手会(WBCI)で、狙いは「MLB拡大」「野球マーケットの拡張」。メジャーリーグ発展は世界の野球国に成長をもたらす、ということである。日本は大会開催の話を持ち掛けられたとき、実は難色を示した。利益配分に問題あり、ということからだった。選手会が不参加を表明している。

収益配分は、参加各国のスポンサー、ロイヤリティーなどはWBCに集められ、そこから出場国へ配分される。配分が明らかになった時点では、組織運営53%、賞金47%。組織配分はMLB67.5%、MLB選手会17.5%で、日本は7%だったが、2009年にMLB関係66%、日本13%となった。

優勝賞金は日本が勝った第1回は78万ドル、第2回が270万ドルといわれる。高給取りがそろう日本チームは、その賞金よりも世界一のタイトルが最大目標だろう。

メジャー球団にとっての品評会としての背景も

決勝リーグは米国で行われる。MLBの狙いはここにある。各国の優秀選手をスカウトする“品評会”だと言っていい。過去に日本選手を品定めして獲得している。

第1回大会は大会後のメジャー行きが最も多かった。西武の松坂大輔はレッドソックスに入り、第2回大会にはそこから参加した。巨人の上原浩治、阪神の藤川球児、ソフトバンクの和田毅らの投手陣、打者ではヤクルト岩村明憲、ロッテ西岡剛、ソフトバンク川崎宗則、中日の福留孝介、ヤクルト青木宣親らがのちにメジャーリーグ入りした。

第2回出場では日本ハムのダルビッシュ、楽天の岩隈久志に加え、第3回にも出た楽天の田中将大らが海を渡った。青木はこの大会のあとにメジャー入りしている。第3回はロッテの澤村拓一だった。

第4回はDeNAの筒香嘉智、西武の秋山翔吾、広島の鈴木がいる。このオフ、メッツ入りが決まったソフトバンクの千賀もいた。

オリックスからマリナーズに入ったイチローは、そこから第1回大会に参加し、優勝の立役者となった。巨人からヤンキースに移籍した松井秀喜のプレーは見ることができなかった。

WBCのプレーでメジャーリーグ入りした選手が日本にいたらレベルの高い試合が毎日のように見られただろう。「ドリームチーム」の侍ジャパンはスター選手が海外へと流出する可能性を高めてしまうかもしれない。

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菅谷齊

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菅谷齊(すがや・ひとし)1943年、東京・港区生まれ、法大卒。共同通信で巨人、阪神、大リーグなどを担当。1984年ロサンゼルス五輪特派員。スポーツデータ部長、編集委員。野球殿堂選考代表幹事を務め三井ゴールデングラブ賞設立に尽力。大沢啓二理事長時代の社団・法人野球振興会(プロ野球OBクラブ)事務局長。ビジネススクールのマスコミ講師などを歴任。法政二高が甲子園夏春連覇した時の野球部員。同期に元巨人の柴田勲、後輩に日本人初の大リーガー村上雅則ら。現在は共同通信社友、日本記者クラブ会員、東京プロ野球記者OBクラブ会長。著書「日本プロ野球の歴史」(大修館、B5版、410ページ)が2023年度ミズノスポーツライター優秀賞を受賞。