【独占コラム】欧州ビッグクラブとの親善試合はJリーグの若手選手にとって人生を変える機会になり得る(ジェイ・ボスロイド)

Jay Bothroyd

【独占コラム】欧州ビッグクラブとの親善試合はJリーグの若手選手にとって人生を変える機会になり得る(ジェイ・ボスロイド) image

サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、2023年夏に予定されているJリーグクラブと欧州ビッグクラブとの親善試合について『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。

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優れた選手が揃う欧州クラブ、試合勘のあるJクラブ

Jリーグのチームたちは、毎年この時期に訪れるヨーロッパの最高級の著名クラブとの親善試合を楽しんでいる。

欧州と日本の双方の観点から、これらの親善試合は良いものだ。一般的には、ヨーロッパのチームのほうが優れた選手とスカッドを擁している。だが、試合勘があるのはJリーグ勢だ。

Jリーグのチームはシーズンの真っ只中にあり、シャープな状態だ。だから、ヨーロッパでのプレイを望むなら、ワールドクラスの選手たちと対戦し、学んで、自分がどこまでたどり着けなければならないかを体感する素晴らしい機会となる。

ヨーロッパ勢からすると、対戦相手にキレがあり、自分たちはまだ試合勘がないため、ボールを早く動かす必要があるだろう。大事なのは走る速さではない。ピッチのあちこちを転がるボールより速くなることは、絶対にないのだ。クオリティの高さからも、彼らはシーズン中以上に素早くボールを動かそうとするのではないだろうか。面白い試合になるはずだ。

横浜F・マリノス対セルティック戦は、まさにそういう面白い試合だった。日本代表の前田大然が古巣を相手にハットトリックを達成したが、試合は6-4でマリノスが制している。

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横浜F・マリノス対マンチェスター・シティ

横浜FMは常にヨーロッパ勢相手でも良い結果を残せるようなチームのひとつだった。近年のJリーグで支配的だった彼らは、昨季三冠を達成したマンチェスター・シティという、まさしく最高のチームとこの週末に対戦する。

シティにとっては、プレシーズン初の試合だ。そして横浜FMのベストプレイヤーたち、特に攻撃陣やサイド、10番タイプ、そしてサイドバックの選手たちは、インテリジェントで、技術的に優れ、機敏だ。そういった相手に対し、シティがすぐに答えを出すのは難しい。

プレシーズンに突入してすぐにケガをするのだけは避けたいため、シティの選手たちはおそらく70%の力で臨むだろう。一方、横浜FMは100%を出すはずだ。フィジカルの調子はそれが可能なほどに整っている。

人生を変えることができるかもしれない

決して簡単にはいかないだろう。日本のチームがシティのようなチームと戦うのは、ワールドカップ決勝のようなものだ。ただ、素晴らしいパフォーマンスを見せれば、それらのクラブから注目される。

ヨーロッパに行って活躍した前田は、現在25歳だ。日本市場で注目される選手の年齢としては、これがぎりぎりとなる。

プレミアリーグのチームが29歳のJリーガーと契約することはないと思う。契約を結ぶとしたら、24歳以下の選手だろう。25歳から29歳の全盛期に差しかかると、プレイスタイル以外に多くを学ぶことはない。若いときはまだ技術的な側面を学び、自分のプレイを磨くことに取り組めるのだ。

25歳未満、理想はもっと若くて20歳に近い年齢の選手たちこそ、こういった試合で素晴らしいパフォーマンスを披露することで、人生を変えることができるかもしれない。

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川崎フロンターレ対バイエルン・ミュンヘン

バイエルン・ミュンヘンはおそらく、ややソフトにこの一戦に臨むだろう。一方で、川崎フロンターレはもう、ヨーロッパのどのチームを相手にしても良い試合ができたであろう以前のようなチームではなくなったと見ている。

彼らは再建を始めるところのようで、それには数年を要するだろう。それがJリーグにおける変化のスピードだ。移籍金が絡んで選手が動くこと、本当の意味で選手を買うことがない。契約するのは、選手が契約満了となり、フリーで獲得できる場合が多いのだ。移籍金が伴う移籍も時にあるものの、頻繁ではない。

バイエルンはかなり楽に戦えるのではないか。4-2のようなスコアで勝つかもしれない。川崎Fには、三笘薫(ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン)が活躍していたころのようなキレはないと思う。

川崎Fのベストプレイヤーたちは、我々の誰もが経験する時の流れを感じる年齢に達しつつある。今の彼らに、以前のレベルにたどり着けるような若手はいない。頭角を現し、確かな立場を築けるような、「次の三笘」がいないのである。

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セレッソ大阪対パリ・サンジェルマン

現在のパリ・サンジェルマン(PSG)の状態から、興味深い一戦だ。PSGは実績あるスター選手に大金を投じるよりも若手を獲得する補強方針の変更を望んでいるとされる。チームをかたちづくり、築いていくことができる選手の獲得を望んでいるのだ。もしも自分がセレッソ大阪の選手なら、いかに彼らの目を引けるかを考えるだろう。

良いプレイをできるかは分からないのだから、誰も『オレがその選手になる』とは言うわけにはいかない。そうやって『良いプレイをしなければいけない』という重圧を自分にかけ、過度に考えすぎたり、過度にやろうとしたりすると、悪い試合になってしまうものだ。試合を自分に引き寄せられれば、自分の最高のサッカーを見せられる。ここでは、勝つことは期待されていない。とにかく楽しむこと。自分のスキルを発揮して、みんなに見てもらうのだ。

PSGは再建段階にあるチームのひとつだ。そのため、国外の若手選手に注目しているかもしれない。PSGのようなクラブにとって、マーケティング面からも常に素晴らしい機会だ。適切な選手を見いだすことができるのであれば、日本での発掘もいとわないだろう。

翻訳:スポーティングニュース日本版編集部


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Jay Bothroyd is a columnist for The Sporting News, offering his expert take on the world of football. Jay enjoyed an illustrious career in England as a striker with the likes of Wolves, Cardiff City and QPR, and spent time with Perugia in Italy. He moved to Asia in 2014, where he enjoyed a goal-filled spell in the J. League with Jubilo Iwata and Hokkaido Consadole Sapporo. He has played for his country at both junior and senior level, making his full international debut for the Three Lions against France in 2010. As well as writing for TSN, Jay is an established TV pundit in the U.K.