2023年のプロ野球は「面白い予感」がする。WBCの盛り上がりを土台に楽しいシーズンとなるだろう。おすすめの見どころは…。(契約は推定)
“アレ”vs“グータッチ”
岡田彰布が阪神に復帰したことで原辰徳監督の巨人との“伝統の一戦”が久しぶりに大きな話題になるのは間違いない。昨年のドラフト会議で目玉の浅野翔吾(高松商)を1位指名で東西合戦を演じ、原凱歌が号砲となった。
その後、オフは岡田の“アレ”(優勝)が話題を集めた。戦力編成も「佐藤輝明、大山悠輔の打順固定」や「二遊間の固定」など明確にした。それが評価されて早くも「優勝候補一番手」になっている。「優勝経験はあるし、頭がいい」とOBたちの期待は計り知れなく大きい。
対する原はおとなしかった。いつものFA選手獲得では目立った動きをせず、外国人選手の補強に集中した。フォスター・グリフィン投手やルイス・ブリンソン外野手らメジャー経験者に期待をかけ復活を目指す。ヒーローを迎えるときの“グータッチ”の回数が目安である。
連覇vs奪回
日本一オリックスの昨年は劇的だった。とりわけ公式戦はマジックナンバーが一度も点灯しない苦戦だったが、最終戦で逆転優勝という球史に残る結果を残した。主軸の吉田正尚がMLBのボストン・レッドソックスへ行ったものの、FAで西武から森友哉を4年20億円で獲得して安打製造機の穴を埋めることに成功した。連覇達成の形は整った。
「ペナント奪回」をオーナーから厳命されたのがソフトバンク。絶対有利にありながらオリックスにひっくり返された昨年の屈辱をどう晴らすか。日本ハムからFAの近藤健介を7年50億円ともいわれる超高額条件で獲得したのはその表れだった。近藤は当初、オリックス入りが有力視されていたのを、ソフトバンクが奪回の執念からさらったといえる。さらにロベルト・オスナ(ロッテ)ジョー・ガンケル(阪神)に加え、昨年レンジャースの有原航平と実績のある投手を手に入れ、投手陣の補強に大金を投じた。
個性豊かな新監督のさい配
新たな監督は4人。岡田をはじめ、広島の新井貴浩、西武の松井稼頭央、ロッテの吉井理人。いずれもファン受けするキャラクターである。岡田を除く3人はとは…。
新井はとにかく明るい。これまでの広島監督はおとなしい印象が強かった。身長190cm、体重100kgと大型で、フランチャイズ球場が小さく見える。現役時代は広島、阪神で優勝経験があり、打っては2203安打、319本塁打の名球会メンバーである。久々に燃える赤ヘルが見られるかもしれない。
まさに天才肌。松井は攻守走に優れ、日本では優勝経験があり、メジャーでもセンスの良さを示した。日米で2705安打、545盗塁。名球会メンバーである。さい配でそのセンスがどう生かされるか。堅実でいながら意表を突くさい配に期待が膨らむ。
吉井は地に足が付いている印象である。なにしろ筑波大大学院でスポーツ健康システムなどを学び、それが投手コーチとして成果を出した。昨年の初め、完全試合を達成した佐々木朗希を育てるなど、選手からの信頼は厚い。投手出身だからしぶとい戦法を見せることだろう。
“FA予告”の島内と山川
FA選手が高額契約で移籍したからなのだろう、早々と今季終了後にFA宣言を予告するような大物選手がいる。
楽天の島内宏明は契約更改の席で、FAの意思を伝えた。昨年のパ・リーグ最多の161安打と36二塁打をマークしながら現状維持の1億2000万円+出来高でサイン。最大の魅力は勝負強さが。32歳という年齢から考えると高額移籍のチャンスだし、オフの注目となるだろう。
もう一人いる。西武の山川穂高、昨年の本塁打王である。球団は4年契約を提示したが、それを断って単年の2億7000万円で契約。明らかにFA宣言を見据えている。現在31歳のホームランアーチスト。大リーグからのオファーを含め、ものすごい値が付くのは間違いない。
対照的なヤクルトと日本ハム
セ・リーグでもっとも「勝つ喜び」を知っているのがヤクルト。それは「年俸が最高に上がる」からである。今季はリーグ3連覇を目指すのだが、昨年のような「独走は難しい」というのが専門家の見立てである。三冠王の村上宗隆は「マークが厳しくなるのは必至。本塁打数(昨年56本)は減るだろう」と予測されている。さらにクローザーのマクガフがメジャーに行き退団。この穴は大きい。ヤンキース時代に松井秀喜と同僚だったA・J・コールを獲得してカバーする。
一方、もっとも「勝つ味を忘れた」のが日本ハム。昨年は初めから最下位を独走し、今年もキャンプ前から「連続最下位は確実」と評価されるほど。パフォーマンスの新庄剛志監督に新球場と話題は引き続きあるのだが、戦力を見ると上昇は厳しいというわけである。近藤が抜けて打線の威力は半減するだろう。首位打者の松本剛、清宮幸太郎らを中心に若いメンバーがどこまで頑張るか。
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