ピッチクロックの仕組みと罰則:2023年に導入されるMLBの新ルール解説

Kevin Skiver

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MLBは2023年にいくつかの大きなルール変更に踏み切った。しかし、ピッチクロックほどこのスポーツに劇的な変化をもたらすものはほかにない。

ピッチクロックはMLBが試合時間短縮を目的として導入したルールだ。昨シーズンのMLBは平均試合時間が3時間6分だった。11年連続で3時間を越えている。『Baseball Reference』によると、2011年以前は、3時間を越えたシーズンは2000年の1回しかなかったにもかかわらずである。

ピッチクロックはすでにマイナーリーグでは試験的に導入されている。そして、その試合時間短縮効果は実証済みでもある。『ESPN』によると、マイナーリーグの平均試合時間は2021年には3時間3分だったが、2022年には2時間38分になったのだ。

MLBは2023年に同様の試合時間短縮を期待している。ピッチクロックとは何なのか、どのように試合が変わるのかを以下に解説する。

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2023年MLBシーズンでピッチクロックはどのように使われるのか?

MLBでは、試合状況によって異なる制限時間を設ける。

  • ランナー無し:15秒
  • ランナー有り:20秒
  • 打者交代:30秒

打者はピッチクロックが残り8秒以下になる前に打席に入らなくてはいけない。

捕手は残り9秒以下になる前に、ホームベース後方のボックス内にいなくてはいけない。

そして、投手はピッチクロックが残り0秒になる前に投球動作を開始しなくてはいけない。

ピッチクロックに違反したときの罰則とは?

ピッチクロックの違反に対する罰則はそれほど厳しいものではないが、打者にとっては大きなインパクトになることもある。

投手がピッチクロックの残り時間が0秒になる前に投球モーションを開始しなかった場合、打者には1ボールが与えられる。捕手が残り9秒になる前にボックスに入らなかったときも同様である。

一方、打者が残り時間8秒になるまでに打席に入らなかったときは、逆に1ストライクが宣告されるのだ。

投手と打者に許されるタイムアウトとは?

投手は1人の打者に対して2回まで、牽制球を投げるか、あるいは投球板(プレート)から足を外すことで、ピッチクロックを元に戻すことができる。

投手が新しいボールを要求する際はピッチクロックが残り8秒になる前に行わなくてはいけない。またその要求を繰り返した場合は罰則を受けることもある。

打者がタイムアウトを要求することも1打席中1回に制限される。

ピッチクロックでどれだけ試合時間が短縮される?

もちろん、MLBファンはこの質問への解答をこれからのシーズンを通して知ることになるわけだが、マイナーリーグからはすでに信頼性のあるヒントが出されている。

マイナーリーグでは2021年に3時間3分だった平均試合時間が2022年には25分短縮され、2時間38分になったのだ。

MLBはそれに近い試合時間短縮を2023年に期待している。ここのところしばらく、平均試合時間が3時間を越えるようになっているからだ。

審判はピッチクロックを操作できるのか?

審判には必要に応じてピッチクロックを操作する権限がある。

選手の負傷は制限時間を延長するための明白な理由になる。たとえば、打者が死球を受けたときや捕手にファウルボールが直撃したときのことだ。

野手が守備位置から大きく離れたプレイを余儀なくされたときも、制限時間が延長されることもある。

最終的には、常識的な判断によって、制限時間の延長は行われる。

関連記事:MLBが2023年に導入するルール改定:ピッチクロック、守備シフト禁止、ベース拡大

投手の奇妙なモーションは許されるのか?

MLBでは投手が独特のフォームで投球することは依然として許容範囲のなかにあるとしている。しかし、それにも制限がある。

たとえば、ヒューストン・アストロズのルイス・ガルシアは持ち前の『rock the baby』ワインドアップ(ロック・ザ・ベイビー/赤ちゃんを抱っこするようなゆりかご投法)ができなくなる。その動作は、どこから投球モーションが始まったのかが不明確だからだ。

しかし、ニューヨーク・ヤンキースのネスター・コーテズが上げた足をブラブラさせることは許される。その動作はすでに投球モーションを開始した後だからだ。

このルールは、ピッチクロックが残りゼロ秒になる前にボールがホームプレートに到達しなくてはならないわけではなく、その前に投手が投球モーションを開始しなくてはならないということだ。

原文: MLB pitch clock rules for 2023, explained: How it works, penalties for a violation and more to know
翻訳:角谷剛

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Kevin Skiver

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Kevin Skiver has been a content producer at Sporting News since 2021. He previously worked at CBS Sports as a trending topics writer, and now writes various pieces on MLB, the NFL, the NBA, and college sports. He enjoys hiking and eating, not necessarily in that order.