トム・ブレイディ対パトリック・マホームズ…スーパーボウル史上かつてないQB対決が実現

Mike DeCourcy

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トム・ブレイディとパトリック・マホームズの2人がスーパーボウル55に文字通り駆け上がってきた。それぞれのカンファレンス・チャンピオンシップ・ゲームで挙げた両者のパッシングヤードは合計で605ヤードだ。この2人の対決が実現することは偶然ではない。

タンパベイ・バッカニアーズ対カンザスシティ・チーフスの一戦は史上最高のクォーターバック(以下QB)と現在リーグ最高のQB同士の対決でもあるのだ。

スーパーボウルの歴史のなかで、このようなQB対決はかつてなかった。そう、55回を数えるスーパーボウルで前例がないのだ。

もちろん、これまでにも見応えがあるQB対決はいくつかあった。テリー・ブラッドショー対ロジャー・ストーバックは1975年と1978年のシーズン最後を飾った。ジョー・モンタナ対ダン・マリーノは1984年シーズン、ジョン・エルウェイ対ブレット・ファーヴは1997年シーズン、ペイトン・マニング対ドリュー・ブリーズは2009年、そしてブレイディ対ラッセル・ウィルソンは2014年シーズンを締めくくった。

2020年シーズンの最終戦が他のすべてと決定的に異なるのは、年老いた史上最高選手と彼を超える可能性があると見られている選手がともに現れることだ。

それにもっとも近かったのは1989年のモンタナ対エルウェイだろう。そのとき、モンタナは既にスーパーボウルのタイトルを3回獲得しており、年齢は33歳だった。エルウェイは29歳で、スーパーボウルには3回目の出場ながら、1度も勝利したことはなかった。エルウェイが壁を破ることは予想に高くなかったし、実際にそれは起きなかった。モンタナのサンフランシスコ・49ersはいとも簡単に55-10で大勝したのだ。

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ブレイディはスーパーボウルの優勝リングを6回獲得している。そのすべてはニューイングランド・ペイトリオッツ時代に獲たものだ。2001年シーズンがその最初であり、2018年シーズンがもっとも新しい。NFL史上のどの選手よりも多くのタッチダウン・パスを投げ、プロボウルに14回選出され、MVPを3回受賞し、10回目のスーパーボウル出場を果たした。グリーンベイ・パッカーズとの試合では、ブレイディは3個のインターセプトを喫し、バッカニアーズのランもあまり活用されないか調子が悪いかを行ったり来たりしたが、それでもブレイディは280ヤードを積み上げ、3つのタッチダウンを記録。バッカニアーズが31-26の勝利をもぎ取った。

そして、もしブレイディを超えることができる選手がいるとしたら、それはマホームズであろう。24歳でのスーパーボウル初制覇はブレイディと同じだ。そしてマホームズは2年連続でスーパーボウル出場を決め、史上もっとも若くスーパーボウル連覇を果たしたQBになるチャンスを手に入れた。バッファロー・ビルズ戦では、マホームズは325ヤードを投げ、3つのタッチダウンを奪い、ターンオーバーを1度も許さず、チーフズはパントを1回しかする必要が無かった。

スポーティング・ニュースのNFL専門記者ヴィニー・アイアーは、これはまるでマイケル・ジョーダンとレブロン・ジェームズとの対決が2000年代の中頃にNBAファイナルで実現したようなものだと例えた。

チャンピオンシップ・ゲームの試合後、マホームズは報道陣に対して、NBAの例をさらに持ち出してこう言った。 「コービー(ブライアント)は競技者として史上最高とも言える精神力の持ち主の1人だった。彼はただ試合に勝つだけではなく、いつも優勝することを狙っていた。僕はそれから多くを学んだ。毎日努力して、現状に満足しないことをね。この仕事はまだ終わっていない。シーズンに入る頃、僕たちはスーパーボウルに出場することを話してはいなかった。僕たちはスーパーボウルでまた勝つことを話していたのさ」

先発QBとして3年のキャリアしかないマホームズだが、その3回ともカンファレンス・チャンピオンシップに出場した。どのシーズンでも10勝以上を挙げている。1シーズン平均のパッシングヤードは4,622ヤード、タッチダウン数は38個だ。そしてその3年でインターセプトは合計で23個しか与えていない。

ブレイディがペイトリオッツの先発QBになってからの最初の3シーズンで、ブレイディはカンファレンス・チャンピオンシップに2回出場し、そのどちらでも勝利を収めた。ブレイディの1シーズン平均は3,409ヤードと23タッチダウンではあったが、その頃のNFLは今のようにパスを多用する時代ではなかった。例えば、ブレイディは2002シーズンに28個のタッチダウンでリーグ・トップであったが、今シーズンのアーロン・ロジャースは48個である。

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チーフスのセイフティ、タイラン・マシューはNFLネットワークに「これは大試合だし、大きな挑戦でもある。我々は史上最高のQBの1人と対戦するわけだからね」と述べた。

ブレイディが2001年シーズンに初めてのスーパーボウル優勝を果たしたとき、マホームズは6歳だった。マホームズの父であるパット氏はその頃はまだ現役のメジャーリーグ投手だった。パット氏はブレイディよりわずかに7歳年上であるにすぎない。

ブレイディの選手寿命の長さとマホームズの早熟性と、そのどちらをより驚異的と見るかは個人の見方によって異なるだろう。中高年世代は同年齢の選手が未だに快挙を成し遂げることに驚くかもしれない。2000年以降に生まれた世代はマホームズが経験を積まずに到達してみせた高みを、より偉大なこととして見上げるかもしれない。

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カンファレンス・チャンピオンシップの試合後、ブレイディは報道陣に「これはゴールではあるけれど、同時にこのリーグは毎週続くものなのです。私たちはレギュラーシーズンで7勝5敗でした。それほど良い気分でもありませんでした。私たちはリズムを取り戻す必要があると感じていて、その後の4試合は連続して良い試合ができました。ここまで来たら、あとはボーナスですね」と言った。

「フットボールは究極のチームスポーツなのです。勝つためには選手全員が必要だし、選手全員に役割があります。私はこのチーム全体をとても誇りに思い、その一部でいられることをただ嬉しく思っています」

ブレイディがそのなかでも最大の1部であることは間違いない。そしてマホームズも同様である。どちらがより大きいのか、ブレイディかマホームズか。2週間後に出るその答えは、あるいは20年後のものとは違うかもしれない。ひとつ確かなことは、どちらか1人が優勝リングをまた手にするということだ。

(翻訳:角谷剛)

Mike DeCourcy

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Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.