【インタビュー】ジョー・マズーラHCが振り返るセルティックス優勝と新シーズンの目標

Steve Aschburner, NBA.com

坂東実藍 Miran Bando

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昨シーズンは、ボストン・セルティックスがラリー・オブライエン・トロフィーを獲得するという大きな目標を達成するのに貢献することが重要だった。次は、シンプルに、再びそれを達成することだ。

2024-2025シーズン、セルティックスの選手やコーチたちは、2017年と2018年のゴールデンステイト・ウォリアーズ以来となる連覇を目指す。

新たにオリンピックの金メダリストとなったジェイソン・テイタム、ドリュー・ホリデー、デリック・ホワイトの3人、そして昨季NBAファイナルMVPを受賞したジェイレン・ブラウン、ベテランビッグマンのアル・ホーフォード、リハビリ中のクリスタプス・ポルジンギスという主力とともに、まもなくその挑戦を追い求めるのが、36歳の指揮官だ。

先週シカゴで開催されたNBAコーチ協会の会議に際し、セルティックスのジョー・マズーラ・ヘッドコーチが、『NBA.com』のインタビューに応じてくれた。


――優勝で人生がどのように変わった?

本当に変わっていない。それが、世界における自分の居場所を理解する鍵だと思う。常に改善できることがあり、悪化することもある。結局は自分のファミリーとセルティックスに対する責任があるというだけだ。とにかく向上のためにできることに努めるのみだよ。

当然、周囲は変わっただろう。周囲の人々やその人たちの見方だ。でも、それは重要じゃない。自分にとって最も大事なことを続けるのが挑戦であり、目標だよ。

――最近、チームが「これからは目標を背負う」という質問をされ、「額と目の間にあってほしい」と答えていた。また、「タイトルを守る」というフレーズがアグレッシブではないとして問題視していた。

そのとおりだ。目標が背中にあったら、相手を見ることができない。どこから攻められるか分からない。対峙していれば、どこにいるか分かる。

だが、目標は毎年勝つことだ。だから「連覇」という考えは無効だよ。すべてのチームが勝利と言う同じ目標を持っているからだ。大事なのはその勝利に至るプロセス。できるだけ最高のシーズンにすることを目指さずに毎年臨んでいたら、自分たちは何者なんだ? だから、状況によらず、我々の目標は昨年と同じ。勝利のプロセスにこだわり、毎日向上することだ。

――いわゆる追う側から追われる側になるという点では、リーグ最高記録の64勝18敗を達成した昨季もそうだったのでは?

私がいる世界は二者択一じゃない。「追う側と追われる側」と言われるが、私は「どちらも」なんだと思う。(スポーツにおいては)毎年、常に追う側であるべきだし、同時に追われる側でもあるべきだ。年ごとに状況が変わるわけじゃない。環境は変わる。各チームが向上する。だからそういった変化を精査し、理解しなければならない。そしてそれから、自分たちの改善、個々の成長について、もっと精査しなければいけないんだ。

――しかし、勝つ前と同じようにハングリーでいられるものだろうか?

それは選択だと思う。

――選手が正しい心構えであるかどうかをどうチェックしている?

選手の性格次第だ。我々のグループには、一緒に勝つことを望む選手たちがいると思う。プロセスはそれを保証するわけじゃない。黒星とか、連敗とか、ちょっと謙虚になるような瞬間は常にあるんだ。とにかくそういうことがある。短期間のことにとらわれてはいけない。良いプレイをしても負けることだってあれば、勝ってもプレイが悪いということもある。一日一日だ。細部にどう取り組んでいくかのプロセスだよ。

――優勝は想像していたような良いものだったか?

それは20年後に答えるよ。

――スタッフにとって球団通算18回目の優勝はどういう意味があった?

選手たちや街にとってはもっとだね。みんなが毎日犠牲を払い、家族との時間や自分の生活をあきらめるのを見ているんだ。彼らのミッションを見ることができて良かった。ボストンの街とのつながりや、その一員となれたのは楽しかったよ。それに家族も同じように犠牲を払っている。それだけ多くを注いでいる人たちが一緒に分かち合っているのを見られてうれしかった。

――今季もチームは見事な継続性だが、夏にひとり加わった。ロニー・ウォーカー四世だ。彼は何をもたらせるだろうか?

彼は長くリーグにいる。多くの試合を戦ってきた。だから経験を積んでいる。得点能力があり、守備面で試合に影響を及ぼせる。結局のところ、何者かは大事じゃない。とにかく加わった選手がハードワークし、細部に注意を払うことを望む。自分らしく、チームのためにできる最高の役割をこなしてほしい。

――スティーブ・カーは、11月6日(日本時間7日)にゴールデンステイト・ウォリアーズがTDガーデンで試合をする際、ボストンのファンから批判されるだろうと言っていた。パリオリンピックの2試合でカーHCがテイタムを外したことは物議を醸した。

あれが物議というなら…JT(テイタム)は夏に何があっても最高のモチベーションで戻ってくると思う。今はすべてが短絡的だ。でも彼はリーグに7年もいる。たくさんのことを成し遂げてきた。まだまだこれからだ。良い時も悪い時もある。彼はそれを分かっているよ。何があっても、仕事への姿勢や習慣、心構えは変わらない。

――ポルジンギスの手術からの復帰について言えることは?

まだタイムテーブルはない。でも、進歩している。チェックポイントはすべてクリアしているよ。復帰のためにハードワークしている。戦列にいられるよう、とても誇り高く最善を尽くしているよ。(ファイナル)第5戦で戻ってきて、我々に活気を与えてくれたのを見ただろう。

――そのダラス・マーベリックスを下した第5戦で16分間出場したのは、気持ちがすべてだったのか?

あらゆることが少しずつだったと思う。彼はチームメイトとして素晴らしい。ハートだよ。彼には精神的なタフネスがあり、成長することを誇っている。チームとして我々が成功するチャンスだった。彼はその一員でありたかったんだ。

原文:The Q&A: Joe Mazzulla reflects on Celtics' title run, repeat hopes and more(抄訳)
翻訳:坂東実藍

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。