MLB歴代日本人選手ベスト10:大谷翔平、イチロー、野茂英雄…史上最高は誰だ?

Ryan Fagan

Sporting News Japan Staff

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2023年シーズン開幕を含めて、これまでに延べ71人の日本人選手がMLB選手となったが、なかでも歴代ベスト10の選手はいったい誰なのか? 『スポーティングニュース』がランキングする。

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MLB史上に輝く歴代日本人選手トップ10は誰?

2023年MLBシーズンもあらゆる場所で日本人選手が活躍している姿を目にすることができる。この春に行われたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではさらに多くのNPB選手が近い将来にMLBへやってくることも明らかになった。そこで、ある疑問が私たちの頭に浮かんでくる。MLBの歴史上、最高の日本出身選手は誰なのだろうか?

もちろん、誰もがイチロー鈴木を知っているだろう。野茂英雄、ダルビッシュ有、松井秀喜という名前も野球ファンの間では有名だ。それ以外にも、日本から北米にやってきて、印象を残した選手のリストは長大なものになる。ある選手は1~2シーズンだけであるし、別のある選手は10年以上のキャリアを送った。

今回スポーティングニュースは日本出身のMLB史上最高の選手トップ10を選んでみた。圏外だが忘れられない伝説を残した何人かの選手についても記載した。

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10. 佐々木主浩(MLB在籍:2000~2003年)

  • 特筆すべきキャリア成績:129セーブ、防御率3.14、 9イニング平均9.8奪三振、3.7 bWAR
  • 最高のシーズン:2002年。37セーブ、防御率2.52、FIP 2.93、 9イニング平均10.8奪三振

佐々木はMLBに来る前の3年間、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)の絶対的クローザーとして、139回1/3を投げて、防御率0.97、102セーブ、211奪三振、被安打はわずかに76本という圧倒的な成績を残した。シアトル・マリナーズで佐々木が残した成績はそれに比べると見劣りするが、そもそもの期待値が高すぎたと言えるだろう。それでも佐々木が即戦力でMLBでも屈指のクローザーになったことは間違いない。

2000年にはアメリカン・リーグ新人王を受賞し、2001年と2002年にはオールスターに選出された。とくに2001年のマリナーズはシーズン116勝を挙げ、佐々木は45セーブ、防御率3.24の成績だった。2003年は故障者リストでシーズンを過ごし、個人的な理由もあって、2004年シーズンから日本へ戻った。

9. 岩隈久志(MLB在籍:2012~2017年)

  • 特筆すべきキャリア成績:16.9 bWAR, 投球イニング883回2/3、714奪三振、9イニング平均与四死球数1.9個
  • 最高のシーズン:2013年。サイヤング賞投票3位、先発登板33試合、防御率2.66、FIP 3.44、7.0 bWAR
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興味深い事実から始めよう。岩隈は2010年シーズン終了後にポスティングでのMLB移籍を目指し、オークランド・アスレチックスが交渉権を獲得した。しかし岩隈は掲示された4年1525万ドルの条件を拒否し、日本に残留することを選んだ。2011年シーズンは故障者リスト入りするなどで不本意な成績に終わり、シーズン終了後にアメリカ行きを再び目指したときは、前年に拒否したものよりはるかに低い条件でマリナーズと契約を結ぶことを余儀なくされた。

それでもマリナーズは岩隈には合っていたようだ。新人シーズンは先発で16試合、リリーフでは14試合に登板し、防御率3.16 とまずまずの成績を残した。翌年にはMLBでも指折りの投手に成長し、2014年はますますコントロールに磨きがかかった。そのシーズンの奪三振数154個に対し、与えた四死球はわずかに21個だったのだ。2017年に肩を故障し、36歳でメジャーリーガーとしてのキャリアを終えた。

8. 田中将大(MLB在籍:2014~2020年)

  • 特筆すべきキャリア成績:17.5 bWAR、991奪三振、防御率3.74、FIP 3.91
  • 最高のシーズン:2014年。 先発登板20試合、防御率2.77、FIP 3.04、9イニング平均9.3奪三振、三振・与四死球比率6.71、3.1 bWAR
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田中は日本でシーズン防御率1.27を1度のみならず2度までも達成した。そのため、MLB移籍前には大きな話題をさらった。ニューヨーク・ヤンキースと7年総額1億5500万ドルの契約を結んだが、最初の2試合を防御率2.51とまずまずのスタートを切ったものの、その後に肘の故障で離脱を余儀なくされた。9月には復帰し、2試合に先発登板した。

2020年シーズンまで、ヤンキースの先発ローテーションの一角を守った。オールスターに2回選出され、2016年はアメリカン・リーグのサイヤング賞投票で7位に入っている。

7. 上原浩治(MLB在籍:2009~2017年)

  • 特筆すべきキャリア成績:13.5 bWAR, 95セーブ、9イニング平均10.7奪三振
  • 最高のシーズン:2013年。 防御率1.09、FIP 1.61、21セーブ、101奪三振、投球イニング数74回1/3 
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上原は輝かしいキャリアを持っていたが、そのなかでも2013年シーズンは特別だ。ボストン・レッドソックスでの最初のシーズンであり、そのときの上原は38歳になろうとしていた。その前年はテキサス・レンジャーズでの出場が限定的であったため、期待はあまり大きなものではなかった。しかし、上原の活躍はそれをはるかに上回った。

シーズン全体の成績は上の通りであるが、とくにシーズン終盤3か月に限ると、40回1/3を投げて、防御率0.22、被安打12本、与四死球2個、奪三振数52個という凄まじいものだった。ポストシーズンでは16試合中13試合に登板し、7セーブ、1勝、防御率0.66を記録した。セントルイス・カージナルスと対決したワールドシリーズでは第4~6戦でクローザーを務め、レッドソックスの優勝に大きく貢献した。

6. 黒田博樹(MLB在籍:2008~2014年)

  • 特筆すべきキャリア成績:21.6 bWAR、防御率3.45、FIP 3.61、投球イニング数1319回
  • 最高のシーズン:特定不可能。理由は後述。
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これほど安定したキャリアは他に類がない。黒田がMLBデビューをはたしたのは33歳のときだ。その後の7年間をロサンゼルス・ドジャースとニューヨーク・ヤンキースで過ごした。7シーズンのうち6度、31試合以上に先発登板した。例外は2009年の20試合先発登板(リリーフ登板1試合)だけだ。

最高のシーズン防御率は3.07で、最悪のシーズンでも3.76 だった。FIP(Fielding Independent Pitching/三振、与四死球、被本塁打を基にした指標。数値が低いほうが良い)についても同様で、最高は3.26で、最悪は3.86である。四死球の数が少なく、打者の弱点をついて、打てせてアウトを取るスタイルを貫いた。そして常に先発ローテーションを守り続けた。見落とされがちな選手だが、素晴らしいMLBキャリアの持ち主だ。

5. 松井秀喜(MLB在籍:2003~2012年)

  • 特筆すべきキャリア成績:175本塁打、 760打点、 118 OPS+、打率.282、出塁率.360、長打率.462、 21.2 bWAR
  • 最高のシーズン:2004年。162試合出場、31本塁打、108打点、.912 OPS、5.0 bWAR

松井はニューヨーク・ヤンキースにやって来るなり、期待された通り、瞬く間にチームの主力選手となった。最初の5シーズンのうち4度、100打点以上を記録したのだ。例外は100試合以上を故障者リスト入りした2006年だけだ。しかし、松井の最も忘れがたい記憶は最後にヤンキースのユニフォームを着てプレイしたシリーズだろう。

2009年のワールドシリーズの松井はほとんど無敵だった。6試合で打率.615、本塁打3本、8打点の大爆発で、ヤンキースを優勝に導いた。それは驚くべきことではなかった。松井は大舞台になるほど力を発揮する選手だったからだ。ポストシーズンに限ると、キャリア通算で56試合に出場し、打率.312、 .933 OPS、本塁打10本、39打点の成績を残した。

4. 野茂英雄(MLB在籍:1995~2008年)

  • 特筆すべきキャリア成績:21.8 bWAR, 123勝、防御率4.24、1918奪三振、投球イニング数1976回1/3 
  • 最高のシーズン:1995年。ナショナル・リーグ新人王、13勝6敗、防御率2.54 、投球イニング数191回1/3 、235奪三振、被安打数124本

野茂の登場はセンセーショナルだった。ロサンゼルス・ドジャースでのデビュー戦で5回無失点被安打1本に相手打線を抑え、4度目の先発登板ではピッツバーグ・パイレーツ打線から14三振を奪い、そして9度目の先発登板ではまたしてもパイレーツから16三振を奪ったのだ。全米中に野茂の特徴的なトルネード投法(両腕を高く伸ばし、背中を打者に向けるまで体を捩じる)を真似する野球少年が続出した。野球の素晴らしさをまさに体現した存在だったのだ。

ドジャースにおける最初の2シーズン、1995年と1996年にナショナル・リーグのサイヤング賞投票で4位に入った。それ以上の数字を挙げることは以後なかったが、それでも多くの人が考えるより野茂は息の長い活躍をした。1999年から2003年にかけて(30歳から34歳までの間)、すべてのシーズンで投球イニング数は176回以上であったし、2.3以上のbWARを積み上げたのだ。

3. ダルビッシュ有(MLB在籍:2012年~現在)

  • 特筆すべきキャリア成績(日本時間5月25日時点):98勝、1845奪三振数、防御率3.51、 9イニング平均10.8奪三振、31.3 bWAR
  • 最高のシーズン:2013年。アメリカン・リーグのサイヤング賞投票2位、防御率2.83、FIP 3.28、9イニング平均6.2被安打、9イニング平均11.9奪三振、277奪三振
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GettyImages

25歳のダルビッシュが2012年にテキサス・レンジャーズでメジャーリーグ選手としてのキャリアを開始したとき、日本ではすでに伝説的な存在だった。北海道日本ハムファイターズでの7シーズンで、投球イニング数1268回1/3、防御率1.99、1250奪三振の成績を残していたのだ。驚くべきことに、ダルビッシュはMLB打者たちからはさらに多くの三振を奪っている。2013年の奪三振数は277個で、アメリカン・リーグのトップだった。日本人投手としては最高位となるサイヤング賞投票2位に入ってもいる。次点はやはり日本出身でマリナーズに在籍していた岩隈久志だった。岩隈は32歳で、MLB2年目だった。

ダルビッシュのMLB成績は素晴らしい。MLB史上で投球イニング数が1500回以上を達成した投手のうち、ダルビッシュが記録している9イニング平均10.8奪三振を超えるのはクリス・セール(11.1個)だけだ。マックス・シャーザー(10.7個)とランディ・ジョンソン(10.6個)より上なのだ。そして36歳になった今でも、ダルビッシュに衰えは見えない。

2. 大谷翔平(MLB在籍:2018年~現在)

  • 特筆すべきキャリア成績(日本時間5月25日時点):27.5 bWAR(合計)、(打者成績)139本塁打、139 OPS+、72盗塁、(投手成績) 防御率2.97、 9イニング平均11.5奪三振、521奪三振
  • 最高のシーズン:2021年。(打者成績)46本塁打、26盗塁、 157 OPS+、4.9 bWAR、(投手成績)防御率3.18、 9イニング平均10.8奪三振、4.1 bWAR
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(Getty Images)

大谷がキャリアを終える頃にはMLB史上最高選手になっているかもしれないが、それまでには長い道のりがまだ残っている。あといくつかの最優秀選手賞(MVP)トロフィー(あるいはサイヤング賞)、そして最低でも1回のワールドシリーズ制覇が必要となる。大谷は良いスタートを切った。我々がかつて見たことがない驚異的なシーズンをすでに2度実現している。しかし、現時点においては、まだイチローの域には達していない。イチローは真の伝説であり、大谷は伝説を築き上げている最中なのだ。

2021年と2022年は甲乙つけがたいが、「衝撃度」の観点から我々は2021年を最高のシーズンに選んだ。数字は2022年の方がやや優っているかもしれないが、大谷の2021年シーズンはまさに前代未聞だったのだ(スポーティングニュースは全スポーツ史上最高のシーズンに選んだ)。そして2023年の大谷は(とくに投手として)、最高のシーズンを塗り替えるような気がしてならない。

1. イチロー/鈴木一朗(MLB在籍:2001~2019年)

  • 特筆すべきキャリア成績:59.9 bWAR、3089安打、509盗塁、打率.311、出塁率.355、長打率.402
  • 最高のシーズン:2001年。アメリカン・リーグMVP、新人王、打率.350、56盗塁、242安打、127得点
Ichiro Suzuki

数字だけを見るならば、イチローの「最高の」シーズンは2004年かもしれない。打率(.372)、出塁率(.414)、bWAR (9.2)はどのシーズンよりも高い。しかし野球とスポーツ全体に与えた衝撃度を考慮に入れると、イチローのMLBデビュー年ほどのシーズンに匹敵するものは数少ない。アメリカン・リーグのMVPと新人王を獲得し、マリナーズは116勝を挙げ、ケン・グリフィーJr.とアレックス・ロドリゲスの時代を完全に終わらせたのだ。

大谷翔平のこれまでの短いキャリアは驚異的ではあるが、それでもイチローはこのリストでトップにある。メジャーリーグに移籍してから36歳になるまで、最初の10シーズン連続で200本以上の安打を打った。そのなかにはMLBシーズン最多記録を更新した2004年の262本も含まれる。MLBデビューをはたしたときはすでに27歳になっていて、日本で1278本の安打を記録していたにもかかわらず、MLB史上でも数少ない通算3000本安打の達成者になった。世界中を見渡してみても、イチローほどの影響を野球界にもたらした選手のリストは非常に短いものになる。

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トップ10圏外の色褪せぬ伝説たち

松坂大輔(MLB在籍:2007~2014年)

ボストン・レッドソックスでの最初の2シーズンはまさにスター選手だった。2008年には18勝3敗、防御率2.90の成績を残した。しかし、故障が多く、期待されたほどのキャリア成績ではなかった。

井口資仁(MLB在籍:2005~2008年)

シカゴ・ホワイトソックスでMLBキャリアを始め、最初の2シーズンは安定した成績を残した。この返球シーンは忘れられない。

前田健太(MLB在籍:2016年~現在)

トップ10に選出されるべき選手かもしれない。ミネソタ・ツインズの先発投手として、現役続行中である。

田口壮(MLB在籍:2002~2009年)

セントルイス・カージナルスのファンの間ではいまだに人気が高い選手である。

松井稼頭央(MLB在籍:2004~2010年)

2004年開幕戦でメジャーデビューをはたし、第1打席で初本塁打を放った。しかし、期待されたようなスター選手にはなれなかった。

村上雅則(MLB在籍:1964~1965年)

日本から来てメジャーリーグでプレイした最初の選手である。22歳で日本に戻る前、この左腕投手はサンフランシスコ・ジャイアンツで投球イニング数89回1/3、防御率3.43の成績を残した。

岩村明憲(MLB在籍:2007~2010年)

二塁手として2008年にタンパベイ・レイズのワールドシリーズ進出に大きな役割をはたした。

伊良部秀輝(MLB在籍:1997~2000年)

忘れがたいキャリアの持ち主だが、そこには不幸なものも含まれる。

※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を基に日本向けの編集を加えた記事となります。翻訳:角谷剛、編集:スポーティングニュース日本版編集部。

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Ryan Fagan, the national MLB writer for The Sporting News, has been a Baseball Hall of Fame voter since 2016. He also dabbles in college hoops and other sports. And, yeah, he has way too many junk wax baseball cards.

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日本を拠点に国内外の様々なスポーツの最新ニュースや役に立つ情報を発信しているスポーティングニュース日本版のスタッフアカウント。本家であるスポーティングニュース米国版の姉妹版のひとつとして2017年8月に創刊された日本版の編集部員が取材・執筆しています。