第2戦のヒートの守備戦略はナゲッツのヨキッチをスコアラーにしたのか?|NBAファイナル2023

Kyle Irving

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NBAファイナル2023は第1戦でデンバー・ナゲッツが快勝し、見る者にスウィープ(4勝0敗)の可能性も感じさせた。だが、第2戦はマイアミ・ヒートがロードでナゲッツに勝利している。

ナゲッツがホームで負けたのは、今プレイオフで初めてだ。しかも、第2戦でナゲッツはニコラ・ヨキッチがプレイオフで3回目となる40得点を達成している。

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試合後に話題となったのが、ヒートのエリック・スポールストラ・ヘッドコーチの会見で、『ESPN』のラモナ・シェルバーン記者がヨキッチに対する守備戦略について尋ねた時のことだ。

シェルバーン記者は「単純化しすぎかもしれないが、ヨキッチの試合の掌握ぶりから、彼と対戦するチームは、ヨキッチをスコアラーにするか、パサーにするかが注目される。今夜のヨキッチは4アシストにとどまった」と話した。

すると、スポールストラHCは「バカげているね。そんなことを言うのは素人目線だ」と述べている。

「彼は素晴らしい選手なんだ。2回にわたって、2シーズンで、世界最高の選手になったんだよ。『彼をスコアラーにしよう』なんて言えるはずがない。彼らのプレイはそうじゃないんだ。彼らには様々なアクションがあるんだよ。我々は自分たちがやることに集中しなければいけない。彼が相手だと、本当に多くを懸命にやることが求められる。我々は彼を全面的にリスペクトしているんだ」

第2戦のヒートは、ヨキッチをスコアラーにする守備戦略だったのか。

第2戦のヒートのニコラ・ヨキッチに対する守備戦略

第1戦のヨキッチはフィールドゴール12本試投、フリースロー12本試投で27得点をあげた。初のFG試投は第1クォーター残り3.3秒。自身初のNBAファイナルで、アグレッシブに得点を狙う姿勢ではなく、第1Qだけで6アシストを記録した。第2戦は試合を通じて4アシストだ。

第1戦でヨキッチはプレイオフにおける自身2番目の記録となる14アシストをマークし、パサーとしてチームの31得点を生み出した。つまりチームの58得点に関与したことになる。

だが、第2戦はまったく違う展開となった。ヨキッチはFG28本試投で41得点を記録している。今季のレギュラーシーズンでヨキッチがこれほどFGを放ったことはない。FG28本超は4回目だが、いずれもプレイオフになってからだ。

ヒートはナゲッツのほかの選手たちに得点されるのを止めることに集中したようだ。ヨキッチにとって今プレイオフ自己最少となる4アシストから、ナゲッツに9得点しか許していない。ヨキッチに41得点をあげられたが、アシストからのチームの得点も含めれば、敗れた第1戦(58)より第2戦(50)は少なく抑えている。

スポールストラHCは、「ヨキッチをスコアラーにする」という戦略の一環という見方を否定した。しかし、今プレイオフにおけるヨキッチが大量得点をあげた試合でのナゲッツの戦績は、そういう見方もあるのではないかと示している。

『スポーティングニュース』のJordan Greer記者が伝えたように、ヨキッチが最も得点をあげた3試合で、ナゲッツは0勝3敗だ。ヨキッチが30得点超をあげると、ナゲッツは4勝4敗だが、30得点未満だとチームは9勝0敗を記録している。

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これは、ヒートがヨキッチにリムまでの花道をつくっているということではない。得点を狙うヨキッチにフィジカルな守備を仕掛けている。だが、ポストでミスマッチになっても、ほとんどダブルチームをしなかった。それよりもヘルプにいく選手たちがとどまり、すぐ自分たちのマークに戻ることで、ヨキッチがオープンなシューターやカッターを見つけるのを妨げたのだ。

第2戦の最後のヨキッチの得点が好例だろう。ヒートは重要な局面で、ジャマール・マレーやマイケル・ポーターJr.、ブルース・ブラウンをペリメーターでオープンにするより、ヨキッチにゲイブ・ビンセントとの1on1からレイアップを決めさせることをよしとしたのである。

第1戦のヒートはそういった状況の多くでダブルチームを仕掛け、ヨキッチのプレイメーク能力を輝かせてしまい、ワイドオープンのチームメイトたちに素晴らしいかたちでのショットを許した。

ヒートは毒を飲んででも、ヨキッチの得点に対処するほうが良いと決めたのかもしれない。ヨキッチがプレイオフ自身有数の得点をあげた試合でナゲッツが及ばなかったのは、ただの偶然かもしれない。

いずれにしても、古い格言に従えば、ロードのチームが勝ったことで、NBAファイナル2023は正式に始まったということになるのだろう。

原文:Did the Heat turn Nikola Jokic into a scorer? Inside Miami's Game 2 defensive strategy vs. Nuggets star(抄訳)

Kyle Irving

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You read that wrong – not Kyrie Irving. From Boston, graduated from the University of New Hampshire. Sixth season as a content producer for NBA.com's Global editions. Covering the NBA Draft has become his annual "dream come true" moment on the job. Irving has a soft spot for pass-first point guards, with Rajon Rondo and Steve Nash being two of his favorite players of all time.