NBAプレイオフにおける決勝ブザービーターショットの歴史

Kyle Irving

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ボストン・セルティックスは2023年のイースタン・カンファレンス・ファイナルで歴史をつくるかもしれない。そのセルティックスをシーズン継続に導いたデリック・ホワイトは、歴史に名を残した。

マイアミ・ヒートとの第6戦で、ホワイトは逆転決勝ブザービーターショットを決めている。負ければ敗退というエリミネーションゲームで、決めなければ敗退確定という場面での逆転決勝ブザービーターショットは、NBAプレイオフの歴史で2人目だった。

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ホワイト以外にそのショットを決めたのは、マイケル・ジョーダンだ。1989年のクリーブランド・キャバリアーズとのイースタン・カンファレンス・ファーストラウンド第5戦で見せた「ザ・ショット」である。

この2つのショット以外にも、NBAプレイオフの歴史で決勝ブザービーターショットは過去に49回あった。

最も多くを決めているのは、5回のレブロン・ジェームズだ。

2位はジョーダンの3回。さらにデイミアン・リラード、ポール・ピアース、ジョジョ・ホワイトが2回で続く。

これまでの決勝ブザービーターショットを振り返ってみよう。

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NBAプレイオフでの決勝ブザービーターショット

(『Basketball-Reference』参照)

デリック・ホワイト(2023年東地区決勝第6戦:セルティックス対ヒート)

ホワイトのプットバックでセルティックスはヒートとのシリーズを第7戦に持ち込んだ。

ジェイソン・テイタム(2022年東地区1回戦第1戦:セルティックス対ネッツ)

テイタムのスピンしながらのレイアップで、セルティックはネッツとの初戦に勝利。このシリーズをスウィープ(4勝0敗)で制した。

アンソニー・デイビス(2020年西地区決勝第2戦:レイカーズ対ナゲッツ)

デイビスの決勝3ポイントショットでレイカーズはナゲッツとのシリーズを2勝0敗とリード。その後、レイカーズはシリーズを制し、2020年のNBA王者となった。

OG・アヌノビー(2020年東地区準決勝第3戦:ラプターズ対セルティックス)

アヌノビーの決勝3Pで第3戦を制したラプターズは、セルティックスとのシリーズを第7戦まで持ち込んだが、最後は敗れている。

ジミー・バトラー(2020年東地区準決勝第2戦:ヒート対バックス)

バックスとの第2戦の最後にバトラーはファウルを受け、2本ともフリースローを沈めてチームを勝利に導いた。ヒートはこのシリーズを第5戦で制している。

ルカ・ドンチッチ(2020年西地区1回戦第4戦:マーベリックス対クリッパーズ)

自身初のプレイオフとなったクリッパーズとのシリーズ第4戦で、ドンチッチは決勝3Pを沈めた。だが、マーベリックスは第7戦でこのシリーズを落としている。

カワイ・レナード(2019年東地区準決勝第7戦:ラプターズ対76ers)

有名なレナードのリングを4回叩いて決まったショットだ。これで勝ち上がったラプターズは、球団史上初の優勝を果たした。

デイミアン・リラード(2019年西地区1回戦第5戦:ブレイザーズ対サンダー)

リラードはハーフコートからの信じられないショットでブレイザーズをシリーズ勝利に導き、サンダーを敗退させた。

レブロン・ジェームズ(2018年東地区準決勝第3戦:キャバリアーズ対ラプターズ)

ラプターズ戦でジェームズが見せたのフローターショットは、トロントをもじって「レブロント」と呼ばれた時代を完璧に表している。

レブロン・ジェームズ(2018年東地区1回戦第5戦:キャバリアーズ対ペイサーズ)

ペイサーズとの1回戦で苦しんだジェームズとキャバリアーズだが、第5戦でジェームズが決勝3Pを沈めて勝利。このシリーズを第7戦で制した。

ジョー・ジョンソン(2017年西地区1回戦第1戦:ジャズ対クリッパーズ)

ジョンソンのフローターで初戦を制したジャズは、第7戦でクリッパーズとのシリーズに勝利した。

レブロン・ジェームズ(2015年東地区準決勝第4戦:キャバリアーズ対ブルズ)

ブルズにシリーズ1勝3敗とされかけたキャバリアーズだったが、ジェームズの決勝3Pで2勝2敗のタイとすることに成功。第6戦でシリーズを制した。

ポール・ピアース(2015年東地区準決勝第3戦:ウィザーズ対ホークス)

「オレが試合を決めると宣言した」というピアースの象徴的なバンクショットだ。このショットで勝利したウィザーズは、第6戦でホークスを沈めている。

デリック・ローズ(2015年東地区準決勝第3戦:ブルズ対キャバリアーズ)

ローズの決勝3Pでブルズはシリーズを2勝1敗とリードした。これでついにジェームズとキャバリアーズを乗り越えるかと思われたが、ブルズは最終的に第6戦でキャバリアーズに敗れている。

ジェリッド・ベイレス(2015年東地区1回戦第4戦:バックス対ブルズ)

正直に言えば、この得点はベイレス以上にパスを出したジャレッド・ダドリーが称賛されるにふさわしい。この決勝ブザービーターショットでバックスは敗退を回避した。だが、最後は第6戦でブルズに沈められている。

デイミアン・リラード(2014年西地区1回戦第6戦:ブレイザーズ対ロケッツ)

「リラード・タイム」の始まりのようだ。ロードでの冷静な決勝ブザービーターショットは、ジェームズ・ハーデンを擁するロケッツをオフシーズン送りにした。

ビンス・カーター(2014年西地区1回戦第3戦:マーベリックス対スパーズ)

カーターの決勝3Pでマーベリックスはスパーズとのシリーズを2勝1敗とリードした。だが、最後は第7戦でスパーズに屈している。

レブロン・ジェームズ(2013年東地区決勝第1戦:ヒート対ペイサーズ)

ジェームズがやすやすと決めた決勝レイアップで、ヒートはカンファレンス・ファイナル初戦を制し、第7戦でペイサーズとのシリーズに勝った。

メッタ・ワールドピース(2010年西地区決勝第5戦:レイカーズ対サンズ)

シリーズ2勝2敗のタイスコアという状況で、レイカーズはコービー・ブライアントのショットが外れた。だが、ワールドピースがオフェンシブリバウンドを拾ってプットバック。第5戦に勝ったレイカーズは第6戦でシリーズを制し、さらに2010年のNBAファイナルも勝って優勝した。

ポール・ピアース(2010年東地区1回戦第3戦:セルティックス対ヒート)

ミッドレンジからのピアースのプルアップジャンパーが決勝点に。セルティックスは第5戦でヒートとのシリーズを制した。

レブロン・ジェームズ(2009年:東地区決勝第2戦:キャバリアーズ対マジック)

ジェームズのキャリアにおけるシグネチャーショットのひとつであり、彼にとってプレイオフで初めての決勝ブザービーターショットだ。だが、キャバリアーズは第6戦でこのシリーズを落としている。

グレン・デイビス(2009年東地区準決勝第4戦:セルティックス対マジック)

「ビッグベイビー」の愛称で知られるデイビスが、予想外のヒーローとなった。ミッドレンジから自信満々に放った一発が決勝ブザービーターショットに。セルティックスがシリーズを2勝2敗のタイにしたが、第7戦でシリーズを落とした。

コービー・ブライアント(2006年西地区1回戦第4戦:レイカーズ対サンズ)

信じようが信じまいが、これがプレイオフにおけるブライアントの唯一の決勝ブザービーターショットだ。インバウンズパスからスマッシュ・パーカーがスティールし、速攻からブライアントのレイアップでレイカーズが勝利した。これでシリーズ3勝1敗としたレイカーズだったが、それからサンズに3連敗してシリーズを落としている。

ケビン・マーティン(2006年西地区1回戦第3戦:キングス対スパーズ)

マイク・ビビーのスティールからマーティンが速攻で決勝レイアップ。キングスはシリーズ0勝3敗となるのを回避した。だが、最後はスパーズに第6戦で敗れている。

ギルバート・アリーナス(2005年東地区1回戦第5戦:ウィザーズ対ブルズ)

アリーナスがブルズの2選手を前にミッドレンジから難しいプルアップジャンパーを沈め、ウィザーズを3勝2敗に導いた。ウィザーズは第6戦でシリーズを制している。

デレック・フィッシャー(2004年西地区準決勝第5戦:レイカーズ対スパーズ)

フィッシャーの有名な残り0.4秒での決勝点だ。奇跡的なショットでレイカーズはシリーズを3勝2敗とリードし、第6戦でスパーズに勝利した。

ステフォン・マーブリー(2003年西地区1回戦第1戦:サンズ対スパーズ)

オーバータイムで2点のビハインドを背負っていたサンズだが、ティム・ダンカンのフリースローが外れると、マーブリーがリバウンドを拾って速攻。そのままボールを運ぶと、走りながらの3Pを沈めてチームを勝利に導いた。だが、サンズは第6戦でスパーズとのシリーズを落としている。

ロバート・オーリー(2002年西地区決勝第4戦:レイカーズ対キングス)

「ビッグショットボブ」と呼ばれたのには理由がある。ブライアントもシャキール・オニールも、決めればタイスコアというショットを決められなかったが、ルースボールがオーリーの手に渡る。ワイドオープンの3Pを沈め、レイカーズは第4戦を制した。その後、レイカーズは第7戦でシリーズを制し、さらにこのシーズンのNBAで優勝している。

マイケル・ジョーダン(1997年NBAファイナル第1戦:ブルズ対ジャズ)

ジョーダンの決勝ブザービーターショットでブルズはジャズとの初戦に勝ち、第6戦でシリーズを制した。

ジョン・ストックトン(1997年西地区決勝第6戦:ジャズ対ロケッツ)

ストックトンの決勝3Pで、ジャズはこのシーズンのNBAファイナル進出を決めた。

エディー・ジョンソン(1997年西地区決勝第4戦:ロケッツ対ジャズ)

ジョンソンの決勝3Pで、ロケッツはジャズとのカンファレンス・ファイナルを2勝2敗とした。だが、前述のストックトンの決勝ブザービーターショットで、ロケッツは第6戦でシリーズ敗退に終わっている。

リック・スミッツ(1995年東地区決勝第4戦:ペイサーズ対マジック)

ペニー・ハーダウェイに大きな3Pを決められたペイサーズだが、スミッツの決勝ブザービーターショットでお返し。だが、この試合は勝ったペイサーズだが、第7戦でシリーズを落としている。

トニー・クーコッチ(1994年東地区準決勝第3戦:ブルズ対ニックス)

ジョーダンがいなくても、問題ない。クーコッチの決勝ブザービーターショットで、ブルズはシリーズ0勝3敗となる事態を免れた。ただ、ニックスとのシリーズは第7戦で敗れている。

マイケル・ジョーダン(1993年東地区準決勝第4戦:ブルズ対キャバリアーズ)

「ザ・ショット バージョン2」だ。決勝ブザービーターショットでキャバリアーズを下した「ザ・ショット」から4年後、ジョーダンはまたもキャバリアーズを相手にやってのけた。ブルズはキャバリアーズをスウィープし、この年のNBA優勝を果たしている。

マイケル・ジョーダン(1989年東地区1回戦第5戦:ブルズ対キャバリアーズ)

「ザ・ショット」だ。

2023年の東地区決勝第6戦でホワイトが決めるまで、これがNBAプレイオフの歴史で唯一のエリミネーションゲームにおける逆転決勝ブザービーターショットだった。

NBAプレイオフにおけるそのほかの決勝ブザービーターショットは以下のとおりだ。

  • デリック・マッキー(1989年西地区1回戦第4戦:スーパーソニックス対ロケッツ)
  • ラルフ・サンプソン(1986年西地区決勝第5戦:ロケッツ対レイカーズ)
  • ダドリー・ブラッドリー(1986年東地区1回戦第1戦:ブレッツ対76ers)
  • デニス・ジョンソン(1985年NBAファイナル第4戦:セルティックス対レイカーズ)
  • ガス・ウィリアムズ(1984年西地区1回戦第2戦:スーパーソニックス対マーベリックス)
  • シドニー・モンクリーフ(1982年東地区準決勝第3戦:バックス対76ers)
  • ラリー・ライト(1979年NBAファイナル第1戦:ブレッツ対スーパーソニックス)
  • ジョジョ・ホワイト(1977年東地区準決勝第1戦:セルティックス対76ers)
  • ジム・クリーモンズ(1976年東地区準決勝第5戦:キャバリアーズ対ブレッツ)
  • ジョジョ・ホワイト(1974年東地区準決勝第6戦:セルティックス対ブレーブス)
  • ジム・マクミラン(1974年東地区準決勝第4戦:ブレーブス対セルティックス)
  • エルビン・ヘイズ(1969年西地区準決勝第4戦:サンディエゴ・ロケッツ対ホークス)
  • エルジン・ベイラー(1964年西地区準決勝第3戦:レイカーズ対セントルイス・ホークス)
  • ジェリー・ウェスト(1963年NBAファイナル第3戦:レイカーズ対セルティックス)
  • トム・ヘインソーン(1960年東地区決勝第6戦:セルティックス対フィラデルフィア・ウォリアーズ)
  • クリフ・ヘイガン(1957年NBAファイナル第6戦:セントルイス・ホークス対セルティックス)

原文:From Derrick White to Michael Jordan: Every game-winning buzzer-beater in NBA Playoffs history(抄訳)

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Kyle Irving

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You read that wrong – not Kyrie Irving. From Boston, graduated from the University of New Hampshire. Sixth season as a content producer for NBA.com's Global editions. Covering the NBA Draft has become his annual "dream come true" moment on the job. Irving has a soft spot for pass-first point guards, with Rajon Rondo and Steve Nash being two of his favorite players of all time.