NBAコミッショナーのアダム・シルバーが6月6日(日本時間7日)、毎年恒例のNBAファイナルの会見で様々な質問に応じ、女子リーグに関するトピックスにも言及した。これらのイベントでは初のことだ。
マサチューセッツ州ボストンのTDガーデンで行われたNBAファイナル2024第1戦を前にした会見で、シルバーが言及した話題の概要は以下のとおりだ。
対戦相手のケイトリン・クラークの扱い
WNBAシーズンはまだ始まって日が浅い。シルバーは、特に大きな注目を集めている新しい選手が試練にさらされることは、バスケットボールの世界ではよくあることだと指摘した。
クラークがフロアに倒された対戦相手のフレイグラントファウルについて、シルバーは「彼女は自分で自分を大切にできると思います。タフな選手です」と話している。
「もちろん、ケイトリンがリーグで適切かつフェアに扱われるのを見たいと思っています」
また、シルバーは黒人のWNBA選手がクラークに対して特にフィジカルなプレイをしていることや、クラークが大きく注目されていることへの批判など、人種の問題が絡んでいることについても避けることをしなかった。
シルバーは「歴史的にスポーツは人々が直接こういった問題を話すためのプラットフォームでした」と述べている。
「我々はそこから隠れるべきではないと考えます。選手たちはこういう問題に喜んで取り組んでいると思います。洗練された人たちです」
『ESPN』の司会パット・マカフィーがクラークについて下品な発言をしたことについて問われると、シルバーは生放送の中での一度きりの発言として扱い、マカフィーが彼女に謝罪したことに触れている。
テレビ放映権交渉
NBAが引き続き交渉している2025-2026シーズンからのテレビ放映権について、コミッショナーから新しい発表はなかった。競合しているのは、『Disney/ABC』、『Amazon』、『NBC』、そして『Warner Bros. Discovery』の4社だ。
シルバーは交渉のプロセスが「信じられないほど複雑」だとし、「最終的に我々が提携するパートナーや、時代にも適応するための彼らの能力に、賭けるようなものです」と話した。
「引き続きメディアに投資し、グローバルになろうとする彼らの意欲も同様です」
『Inside the NBA』
アーニー・ジョンソンが司会を務め、元選手のチャールズ・バークリーやシャキール・オニール、ケニー・スミスが出演する『TNT』の番組は、リーグと『Turner Sports』(現『Warner Bros. Discovery』)の長期にわたる関係の土台となっている。来春のWarner Bros. Discoveryとの契約終了は、番組の終わりを意味するかもしれない。
コミッショナーは「Turner Sportsのみなさんには、これほど長引いていることをお詫びします。彼らが仕事にまい進していることは承知しています」と述べた。
「彼らのアイデンティティー、彼らのファミリーのアイデンティティーの大きな一部であり、この不確実さは誰も望むものではありません。これらの交渉をはっきりさせ、できるだけ早く結論を出すことがリーグ事務局の務めだと思います」
Gリーグ・イグナイト終了
Gリーグは4年にわたり、NBAチームの傘下ではないイグナイトを運営してきた。ロスターを構成するのは大学経験のない選手たちだった。だが、イグナイトは今季で終了となる。
大学バスケでも名前やイメージを高められるようになった今、「プロの道」を選手に提供する必要性は減った。シルバーは「正直、トップクラスの大学プログラムと競争するのは理にかなわないと感じるところに達したのです」と話している。
リーグ拡張
チーム拡張の可能性に関する質問なしに、シルバーの会見はあり得ないだろう。ただ、今回のシルバーの発言は、シアトルやラスベガス、メキシコシティ、その他のまだ知られていない場所の人々を興奮させることも、落胆させることもないはずだ。
タイムラインはずっと、1に労使協定、2に放映権、3に拡張だった。現在のNBAは第2段階の完了に近づいているところだ。
シルバーは「拡張に向かうことで、新たなチームを加える準備が整ったと発表するわけではありません」と話した。
「そこに焦点を当てるNBAガバナーたちの委員会が開かれていくという意味です」
ビル・ウォルトン
UCLAやNBAでのバスケットボールでの活躍や、放送業界でのキャリアや独特の個性でも知られた殿堂入りの元センターは、5月27日(同28日)にがんのために71歳で亡くなった。ウォルトンは1977年にポートランド・トレイルブレイザーズ、1986年にボストン・セルティックスで、2回の優勝を達成している。セルティックスはこの日、妻や4人の息子たちを招いていた。
NBAファイナル第1戦で、両チームの選手たちはウォームアップの際、ウォルトンと彼が愛したロックバンド「Grateful Dead」にちなんだタイダイカラーで「WALTON」と書かれたシャツを着用した。
シルバーはNBAキャリアを通じて育んできた友情に言及している。
シルバーは「2004年に中国で初めて試合した時のことを覚えています。彼と万里の長城に行きました」と話した。
「彼はかなりの冒険家でした。ビルほどNBAのアンバサダーにふさわしい人は考えられません。彼は一人ひとりと話すことを楽しんでいました」
原文:Commissioner Adam Silver talks Caitlin Clark, TV rights deals and expansion(抄訳)
翻訳:坂東実藍
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