2023-2024シーズンのNBAは、得点効率が新たな記録となりつつある。ここ6シーズンで5回目だ。12月20日(日本時間21日)時点で、リーグ平均は100ポゼッションあたり114.7得点。昨季の114.1得点を上回っている。6年前(2017-2018シーズン)は、わずか107.8得点だった。
しかし、12チームは昨季と比べ、100ポゼッションあたりの失点が減っている。中でも失点が減っている5チームをまとめた。
100ポゼッションあたりの失点減少幅トップ5
チーム | 2022-23 | 順位 | 2023-24 | 順位 | 差 |
ロケッツ | 118.6 | 29 | 110.4 | 6 | -8.2 |
ウルブズ | 113.1 | 10 | 107.5 | 1 | -5.6 |
マジック | 113.7 | 18 | 110.2 | 4 | -3.5 |
ブレイザーズ | 118.0 | 28 | 114.5 | 15 | -3.5 |
サンダー | 113.2 | 13 | 110.1 | 3 | -3.1 |
※2023年12月20日時点
1.ヒューストン・ロケッツ
100ポゼッションあたり131.9失点だが、それでも守備は素晴らしい変化を遂げた。昨季からの減少幅は8.2と、ここ25シーズンで3位となる数字だ。
守備の良し悪しはトランジションで始まる。ロケッツが改善したのもこの点からだ。2シーズン前のロケッツはトランジションで1試合平均25失点。『Synergy』のデータで、18年間で最多だった(当時)。昨季は27.2失点とさらに上回っている。だが、今季は14.9失点と、1試合あたりのトランジションからの失点がここ6シーズンで最も少ない。
3ポイントショットに関しては、少し運に恵まれたかもしれない。相手の3P成功率がリーグ最低の32.4%なのだ。だが、『Second Spectrum』によると、ロケッツは相手チームの3Pの14%でタイト、あるいは非常にタイトにコンテストしている。昨季は8%だった。
相手チームのペイント内からのフィールドゴール成功率は、さらに大きく低下している。昨季の60.4%(28位)から今季は54.6%(7位)だ。これはトランジションでの改善につながる。
2.ミネソタ・ティンバーウルブズ
昨季もウルブズはオフェンスよりディフェンスがはるかに良かった。そしてウェスタン・カンファレンスのトップに立っている今季も、より向上しているのはディフェンスだ。
ロケッツ同様、ウルブズも対戦相手の3P成功率を大きく低下させている。コンテストした相手の3P成功率の下がり幅は大きくない。だが、ペイント内からのFG成功率(3位)とペイント外からのeFG%(エフェクティブフィールドゴール成功率/2位)の双方でトップ5入りしている唯一のチームだ。
ウルブズはルディ・ゴベア出場時(-5.8)も不在時(-5.4)も、100ポゼッションあたりの平均失点が少なくなっている。
対戦相手のフリースロー率の下がり幅はリーグ2位。ナズ・リードは36分あたりのファウルが2.6回と、昨季の5.1回から減っている。
ウルブズは現在攻撃でトップ10入りしているチーム(9)との対戦が、ボトム10入りしているチーム(8)との対戦より多い。これは、本記事でリストアップされたチームの中で唯一だ。
3.オーランド・マジック
ウルブズ同様、マジックも昨季は守備が良かった。そして彼らはその強みを伸ばし、ディフェンスでリーグのトップ5入りしている。
本記事で取り上げた他の4チームと違い、マジックは対戦相手の3P成功率が上がっている。しかし、対戦相手のショットにおける3P率は、リーグで4番目に高かった42.5%から、リーグで14番目に低い38.5%に減った。下がり幅はリーグ2位だ。そして、下がり幅トップのインディアナ・ペイサーズよりもうまくバスケットを守っている。
マジックは対戦相手のショット機会を抑える点でトップクラスのチームだ。対戦相手のターンオーバー率とディフェンシブリバウンド率の双方でトップ5入りしているのはマジックしかない。
チーム最高の守備選手はジョナサン・アイザックかもしれない。そのアイザックは出場時間が合計259分にとどまっており、出場した19試合すべてでプレイタイムは20分以下だった。アイザック出場時のチームは100ポゼッションあたり102.2失点しかしていない。アイザックはリーグで唯一、36分あたりの平均2スティール&2ブロック超を記録している。
4.ポートランド・トレイルブレイザーズ
最近のブレイザーズは守備が悪化している。だがそれでも、昨季と比べて最も向上した部類に入るチームだ。それは昨季が非常に悪かったことも理由だろう。実際、ブレイザーズは4年連続で守備がボトム5入りしている。
ブレイザーズの守備で良いのは、相手チームに強いるターンオーバーだ。対戦相手のターンオーバー率(100ポゼッションあたり16.0)は2位。昨季の13.6(19位)からリーグ最大の伸び幅だ。
Synergyのデータによると、ゾーンは1試合平均2.3ポゼッション(14位)と昨季の13.6(2位)から減っている。
eFG%(54.3%)は平均(54.8%)に少し劣るが、昨季からは改善されている。ただ、それはすべてペイント外からのショットだ。ペイント内からの対戦相手のショットは、リーグ10位だった昨季の59.1%から上がっており、リーグで最も高い62.2%を許している。
5.オクラホマシティ・サンダー
昨季のサンダーは(統計的に)最も向上したチームだった。特に改善されたのが、前年30位だった攻撃だ。そして今季のサンダーは、リーグ平均を考慮すると、守備でより向上している。
シェイ・ギルジャス・アレクサンダーは1試合平均2.8スティールと、4位だった昨季(1.6)から増やしている。対戦相手のターンオーバー率(100ポゼッションあたり16.3)はリーグトップ。ただこれは、2位だった昨季の数字と同じだ。
対戦相手のeFG%の下がり幅はリーグ3位。アウトサイドからのショットよりもペイント内からのショットで対戦相手の確率を下げさせている。相手のペイント内からのショット率は昨季の50%(13位)から46%(2位)に大きく減らさせた。
これはチェット・ホルムグレンがコートにいてもいなくても変わらない。だが、対戦相手のペイント内からのショット成功率は、彼が不在時(54.4%)と比べて出場時(53.1%)のほうが抑えられている。
攻撃でトップ10入りしているチームとの対戦は、開幕からの25試合で5試合だけだった。
原文:NBA Storylines: Rockets, Timberwolves among 5 most improved defenses(抄訳)
翻訳:坂東実藍