ヒーロー復帰はヒートとロビンソンにどう影響する?|NBAファイナル2023

Stephen Noh

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タイラー・ヒーローの復帰が近づいていることは、マイアミ・ヒートを巡る興味深い疑問につながる。

ミルウォーキー・バックスとのプレイオフ・ファーストラウンド第1戦で、利き手の2本の指を骨折したヒーローだが、今ではチーム練習に完全に参加している。『TNT』のジャレッド・グリーンバーグ記者によれば、6月7日(日本時間8日)に行われるデンバー・ナゲッツとのNBAファイナル第3戦で復帰するという。

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レギュラーシーズンのヒーローはチームで最も重要な選手のひとりだったが、彼がいなくてもヒートは良い戦いを見せてきた。ポストシーズンで構築してきたケミストリーを失うことなく、再びヒーローをチームに組み込んでいけるのだろうか。

ヒートはどうやってヒーロー離脱を乗り越えた?

レギュラーシーズンのヒーローは出場時間がチーム最多。最後に試合を通じてプレイしたプレイイン・トーナメントのシカゴ・ブルズ戦では、ジミー・バトラーに次ぐ39分間の出場だった。

以降、ヒートはヒーローが出場していた時間に、ゲイブ・ビンセント、ケイレブ・マーティン、そしてダンカン・ロビンソンを起用してきた。

選手

プレイイン・トーナメント

セルティックス戦第6戦

ビンセント 27分 41分
マーティン 27分 40分
ロビンソン 0分 20分

ビンセントとマーティンは素晴らしいプレイを見せ、それぞれタフな守備を打ち破り、プレイオフで3ポイントショット41本成功(44%)を記録している。だが驚きは、ロビンソンが再び活躍したことだ。

ローテーションに復帰して活躍のダンカン・ロビンソン

ロビンソンのシーズンは浮き沈み、特に後者が多かった。シーズン後半戦の大半は完全にローテーションから外れ、プレイイン・トーナメントではまったくプレイせず。ヒーローの負傷がなければ、プレイオフを通じ、ロビンソンは健康であっても出番がない存在であり続けた可能性が高い。

通算3P成功率39.9%のロビンソンが、非常に才能のあるシューターであることはもちろんだ。だが、レギュラーシーズンではその数字が32.8%に落ちた。長距離ショットでスランプなら、彼を起用するのは厳しい。守備でのマイナスが大きいからだ。

しかし、ロビンソンはそのスランプから堂々と抜け出したと言える。プレイオフでの3P成功率は44.0%。ナゲッツとの第2戦では第4クォーターに10得点をあげ、試合に勝つ上での違いとなった。そして2-3のゾーンディフェンスで彼を隠すことで、ヒートは守備でも対処できたのだ。

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ヒーロー復帰でヒートはロビンソンをどう起用?

ロビンソンとヒートは長所(得点力)と弱点(守備)がかぶっている。ヒートが両選手を起用することはできるのだろうか。レギュラーシーズンではナゲッツ戦の短時間を含めて200分間試した。

その時間帯の数字は、大方の予想どおりだ。『PBP Stats』によると、オフェンシブレーティングは118.8だが、ディフェンシブレーティングは119.3とさらに悪い。

ナゲッツとの対戦でも同じだ。ヒーローとロビンソンはうまく得点をあげ、ヒートはゾーンディフェンスでふたりとも隠そうとした。だが、守備で標的とされ、ヒートはその時間帯に上回られることになったのだ。エリック・スポールストラ・ヘッドコーチは、ほとんどの機会でどちらかだけがコートに立つようにしてきた。

もしもヒートが良いスタートを切れば、ヒーローの出場時間を抑えたまま、ロビンソンを使い続けるのが妥当と思われる。苦しんだ場合は、何とかしようとヒーローの出番を増やすかもしれない。

最終的には、彼らふたりをできるだけコートに立たせ、守備の欠点に対処することが、ヒートが勝つチャンスとなるかもしれない。ただ、ヒートにはニコラ・ヨキッチを守る良い選択肢がないので、いくつかの試合で勝つには、ナゲッツの攻撃力に負けないようにしなければならないだろう。

復帰のタイラー・ヒーローがもたらせること

ヒートが良くなったのはヒーローが離脱したからではない。それよりも、チームの全員がそれぞれのプレイを向上させたから、ヒートは良くなったのである。

健康な時のヒーローはヒートの役に立っていた。復帰すれば大きな価値をもたらすことができる。過酷なプレイオフやプレイイン・トーナメントを通じて大きな負担を背負ってきたバトラーに多少の息をつかせるべく、ヒートにはプレイメークできる選手が必要だ。

ヒーローはボールを持ってプレイをつくる力がある。レギュラーシーズンのナゲッツ戦でも、26得点、10リバウンド、5アシストを記録し、長時間にわたって攻撃を担った。ダブルチームされるとターンオーバーをする傾向にあるが、パサーとして成長している。彼の動きからのショットやプルアップジャンパーはナゲッツを苦しめた。

ヒーローが復帰すれば、ヒートには取り組むべき問題が生じる。だが、それはうれしい悩みだ。ヒートにはアップセットを演じるためにあらゆる助けが必要となる。そしてヒーローは、ヒートにチャンスを与えるだろう。

原文:What Tyler Herro's return means for Duncan Robinson & the rest of the Heat in the NBA Finals?(抄訳)

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Stephen Noh

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Stephen Noh started writing about the NBA as one of the first members of The Athletic in 2016. He covered the Chicago Bulls, both through big outlets and independent newsletters, for six years before joining The Sporting News in 2022. Stephen is also an avid poker player and wrote for PokerNews while covering the World Series of Poker from 2006-2008.