サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿し、リバプールに移籍した遠藤航について持論を展開した。
プレミアの厳しさを味わった遠藤航
遠藤航のリバプールへの電撃移籍は、日本のサッカー界に大きな衝撃をもたらしたが、プレミアリーグでの最初の数週間で、この元シュトゥットガルトのミッドフィールダーは、このリーグの厳しさを痛感することになった。
日本の選手たちの才能に最初に気がついたのは、この私だ。彼らは技術的に優れていて、素晴らしいインテリジェンスを持っている。しかし、最高の選手、あるいは最高のリーグで成功する可能性の高い選手は、サイドバック、ウイング、またはクリエイティブな役割の選手だと思う。彼らは足元の技術に優れ、機転が利く。
遠藤のような守備的な役割を担うセンターバックやセントラルミッドフィルダーは、プレミアリーグのフィジカルを考慮しなければならない。それだけで成功できないこともある。
センターバックとしてプレーした、吉田麻也のような例外もいる。ディフェンスからうまくボールを運び出すのがうまく、サウサンプトンで良いキャリアを送った。
遠藤はブンデスリーガでプレーしていたが、リーグのレベルではプレミアリーグに及ばない。ブンデスリーガのチームがプレミアリーグのチームを打ち負かしているのを、何回見たことがあるだろうか。バイエルン・ミュンヘンくらいではないだろうか。プレミアリーグはペースが速いから、他のチームはやられてしまう。体力的にも厳しい。世界最高の選手がプレミアリーグに集結している。
リバプールの中盤を見ると、ハイプレスでマンツーマンで守る。つまり、行き来の激しいゲームになることを意味する。遠藤はスピードに恵まれていない。ボールを左右に動かすことが多いタイプで、アシストを量産するキラーパスを持っているわけではない。
遠藤にとって素晴らしい移籍だったが…
彼がひどい選手だとは言っていない。とても整然とした選手だ。ただ、プレミアリーグ、特にリバプールは彼のためにならないと思う。もし彼が、深く腰を据えて守り、インターセプトを期待されるチームに行くのなら、チャンスは十分にあったかもしれない。
しかし、バイエルン・ミュンヘンからライアン・フラーフェンベルフを獲得した今、遠藤はチームの構成員の一人にしか思えない。彼にとって素晴らしい移籍であることに変わりはないが、彼はリバプールの5番目か6番目の選択肢だ。彼らはミッドフィルダーを必要としていて、遠藤は、この世界では無料も同然の1900万ドル(約29億円)で獲得できたのだ。
ニューカッスル戦で退場者が出て10人になったとき、ユルゲン・クロップ監督率いるリバプールは、驚くべき逆転劇を見せた。遠藤はその試合で約60分間プレーし、自分でも「タフだった」「もっと良くなる必要がある」と語っていた。
彼が自分自身に責任を持ち、より良くなるためにプレッシャーをかけているのはいいことだ。彼は上達するだろうが、彼がリバプールで一番のセントラルMFになるとは考えにくい。
先週末のアストン・ヴィラ戦では、カーティス・ジョーンズがアレクシス・マックアリスター、ドミニク・ショボスライとともに先発出場し、遠藤は後半からのプレーとなった。トレント・アレクサンダーアーノルドの驚異的なパスレンジは、この試合でも発揮され、彼が守備的MFとしてもプレーできることを見せつけた。
鎌田大地はアーセナルのようなところでも成功する
三笘薫がリーグで旋風を巻き起こし続けているように、イングランドでも日本人選手の成功はあり得るが、その保証はない。
香川真司は遠藤よりもオールラウンドに優れたサッカー選手だったが、当時イングランド最高のチームだったマンチェスター・ユナイテッドで出場機会を得るのに苦労した。彼はウイングか10番を担い、遠藤のように守備における役割はなかった。
セリエAのラツィオでキャリアの次の章をスタートさせた鎌田大地が、イングランドでどんなプレーをするのか見てみたかった。
正直に言うと、アーセナルはカイ・ハヴァーツよりも鎌田を選んだ方が良かっただろう。彼の方がスピードがあり、アシストも多く記録できるし、ボックス内に入ってゴールも決められる。
鎌田はアーセナルのようなところでも成功するだろうが、遠藤のような選手には難しいだろう。リバプールはおそらく、1月とは言わないまでも、シーズン終了後に再びミッドフィールダーの獲得に乗り出すだろう。
翻訳:早坂卓真
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