オフにひざと手の手術をした影響で夏にワークアウトができなかったこともあり、ラッセル・ウェストブルックのコンディションは万全から程遠い。しかし、NBAジャパンゲームズの第1戦に比べると、第2戦は持ち味を発揮するシーンが格段に増えた。
第1クォーター9分25秒に左ウィングから3ポイントショットを決めるなど、前半はアウトサイドからのシュート感覚を取り戻そうという意識が強かったのかもしれない。14分49秒のプレイタイムで打ったシュートの8本中7本が3ポイントと、最大の武器であるドライブからフィニッシュを試みるシーンは少なかった。
「彼は夏の間プレイしていなかったし、今が戻ってばかりという状態。試合を重ねるごとによくなるはずだし、彼が求めるレベルに到達するにはあと2週間ほどかかるかもしれない。でも、後半はかなりいいプレイをしていると思った」。
マイク・ダントーニ・ヘッドコーチがこう振り返ったように、後半のウェストブルックは時に強引と思えるくらい、アグレッシブなプレイが増えた。第3クォーター残り2.9秒にパトリック・マコーをあっさり抜き去り、ヘルプに来たマルク・ガソルにもスタンリー・ジョンソンにも対応させないまま、一気にレイアップへと持ち込んだシーンは、その象徴と言えるものだった。
ウェストブルックは第4クォーター序盤にもドライブから3ポイントプレイとなるレイアップを2度決め、9分1秒でベンチに下がるまで22点を記録。この日はアシストが4つと第1戦よりも2つ少なかった一方で、シュートを打った数はジェームズ・ハーデンよりも多い17本だったことからも、よりアグレッシブにプレイしていたことがわかる。
お役御免となる前の残り9分22秒、テレンス・デイビスにバスケットカウントとなるレイアップを決められると、ルーキーへのメッセージとばかりにやり返して得点。直後にトラッシュトークが原因でテクニカルファウルを取られるあたりは、プレシーズンゲームであっても負けず嫌いで熱いウェストブルックらしいところだった。さいたまスーパーアリーナに駆つけたファンは、MVP受賞者のプレイを十分堪能できたことだろう。
新しいチームメイトとプレイすることで気に入った点について聞かれたウェストブルックは、「勝ちたいという思いの強い連中が揃っていることだ。我々はチームの状況を把握しようとしているところだ。ジェームズと自分のコンディションをもっと上げるなど、やらなければならないことがたくさんある。それを開幕まで継続しなければならないけど、我々は正しい方向に進んでいる」と語る。
NBAタイトル獲得を目指す戦いを前に、ジャパンゲームズは手応えを感じる遠征となったに違いない。