各階級にエリートファイターが存在する今のボクシング界にあって、パウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングへの関心は高まっている。
ここでは、井上尚弥がTJドヘニーを下し、4団体統一王座防衛を果たした段階で、本誌スポーティングニュース(TSN)のグローバルボクシングパネルが選出するPFPトップファイター12人を紹介する。【2024年9月3日付版】
⬛井上、圧巻の4団体統一王座防衛、それでも順位に変動はなし
9月3日(火)、井上尚弥は有明アリーナで行われたTJ・ドヘニーとの一戦で元チャンピオンを7回TKOで下し、世界スーパーバンタム級の4団体統一王座防衛に成功した。オフィシャルタイムは7回16秒、ドヘニーは自ら歩くことができず、スタッフに両肩を支えられながらリングを後にした。
井上(28勝0敗、25KOs)にとっては、『ザ・モンスター』の姿を見せる前に試合が終わってしまう形となった。第1ラウンドから強烈なボディを打ち続ける井上に対し、サウスポーのドヘニーも第3ラウンドにはいいコンビネーションパンチを見せたものの、それも長くは続かず、試合はチャンピオンのペースで続いていった。
第4ラウンドから第6ラウンドにかけて、井上は攻撃のギアを上げる。ドヘニーのボディへ狙いを定め、コンスタントに強烈なショットを放っていくと、第6ラウンド終了間際には挑戦者の体は悲鳴をあげ始めていた。足をひきづるようにしてコーナーへ戻るドヘニーの姿は、試合終了が間近に迫っていることを物語っていた。
そして迎えた第7ラウンド、攻撃の手を緩めない井上に対し、ドヘニーは苦痛に満ちた表情を見せ、腰から臀部を指差す。試合続行は不可能な状況と判断したレフェリーはここで井上のTKO勝利を宣告した。
この勝利によって、井上はキャリア28連勝、タイトルマッチに関しては23連勝を達成、PFPランキングでは引き続き2位の座をキープした。
ここでは、スポーティングニュース(The Sporting News=TSN)が選出する現在のPFPランキングのトップ12を紹介する。本誌ボクシンググローバルパネル(編集者・ライター)による評価・選定となる。
⬛TSN選出パウンド・フォー・パウンド ランキング
順位 | 選手名 | 戦績 | 前回からの変動 (2024/9/3付) |
1 | オレクサンドル・ウシク | 22-0 (14 KOs) | - |
2 | 井上尚弥 | 28-0 (25 KOs) | - |
3 | テレンス・クロフォード | 41-0 (31 KOs) | - |
4 | カネロ・アルバレス | 61-2-2 (39 KOs) | - |
5 | ジェシー・ロドリゲス | 20-0 (13 KOs) | - |
6 | ディミトリー・ビボル | 23-0 (12 KOs) | - |
7 | アルトゥール・ベテルビエフ | 20-0 (20 KOs) | - |
8 | テオフィモ・ロペス | 21-1 (13 KOs) | - |
9 | ジャーボンテイ・デービス | 30-0 (29 KOs) | - |
10 | エロール・スペンスJr. | 28-1 (22 KOs) | - |
11 | シャクール・スティーブンソン | 22-0 (10 KOs) | - |
12 | 中谷潤人 | 27-0 (20 KOs) | - |
⬛最新PFPトップ・ファイター:オレクサンドル・ウシク
タイソン・フューリー(英国)からもぎ取った勝利で、ウシクはそのボクシングキャリアを完成させたと言えるだろう。
2012年のロンドン五輪で(ヘビー級)金メダルに輝いた俊敏かつ頭脳明晰なサウスポーは、プロの世界でも成功を積み重ね、PFPのスーパースターとして理想型を築き上げてきた。
現在37歳、クルーザー級時代にイベンダー・ホリフィールド(アメリカ)以来30年ぶりとなるアンディスピューテッド・チャンピオンとなったウシクは、ヘビー級で史上初となる4団体統一の偉業を成し遂げた。フューリー戦でも身長で約15cm、リーチで約18cm、現愛のヘビー級ではサイズ的に大きなハンディキャップを抱えながらも、ウシクは自らがヘビー級の真の王者であることを証明してみせた。
ウシクのキャリアを象徴する勝利としては、今回のフューリー戦のほか、マイリス・ブリエディス(ラトビア)、ムラト・ガシエフ(ロシア)、アンソニー・ジョシュア(イギリス)、そしてタイソン・フューリーといった対戦相手が挙げられる。
※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。翻訳・編集: 石山修二、神宮泰暁(スポーティングニュース日本版)
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