エル・クラシコ前夜:ジネディーヌ・ジダンの物語(前編)

Mike DeCourcy

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2016年、ジネディーヌ・ジダンは、サッカー界のみならず、おそらく全チームスポーツ界の中で最も厳しいポジションに足を踏み入れた。レアル・マドリードのファン全員がジダンの急な監督就任に熱狂したわけではなかったが、サッカー界で最も崇拝される選手の一人であった彼の就任に反対するのは、容易なことではなかっただろう。

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レアルの指揮官とはなにか。なにをすべきか。その答えはシンプルだ。獲得できうるトロフィーをすべて勝ち取ること。そしてたとえそれを成し遂げたとしても、まったく批判を受けないで済むというわけにはいかない。まさにそれが、就任から1シーズン半でジダンが経験したことだった。

では、今後は?

任期2度目のフルシーズンを迎えるジダンは、レアル・マドリードの指揮官として、その真の意義を見出そうとしている。

今シーズン初のFCバルセロナとのライバル対決「エル・クラシコ」に向け、ビーイン・スポーツのケビン・イーガンは、地元ファンの多くはジダンの指揮に信頼を寄せているとスポーティングニュースに語った。しかし、全員が同じ意見というわけではない。

「地元の人たちの中には、こう言っていた人もいたよ。『最初の年はラッキーだったんだ。彼には経験もないし、指揮官としてのスキルもない。ヤツがペップ・グアルディオラみたいに戦略家だなんて、とんでもない』」

ジダンは2016年1月、ライバルのFCバルセロナに1ポイント差をつけられた後、ラ・リーガでの優勝を逃して解任されたラファエル・ベニテスの後を継ぎ監督に就任した。ジダンの就任後、レアルはチャンピオンズリーグでアトレティコ・マドリードをPK戦で下し、優勝。さらに2シーズン目となる2016年-17年には、UEFAスーパーカップ、スペイン・スーパーカップ、FIFAクラブワールドカップ、5年ぶりとなるラ・リーガ制覇、2年連続のチャンピオンズリーグ優勝を果たすなど、ジダン監督はチームを多くのトロフィー獲得へと導いた。

一見するとまさに成功と呼ぶにふさわしいキャリアといえるだろう。しかしレアル・マドリードにとってこの結果は、至って平均的なものにすぎないのだ。

チームが上位の成績から落ち込んだ時はどうなるのか? そう、レアル・マドリードが23年間で23人もの監督を迎えているのには理由がある。監督として100試合を達成したのが、1990年以降、ジダンでたった4人目であるということにも、理由があるのだ。その重圧はとてつもなく大きい。10月、ジダンは2017年FIFA最優秀監督賞を受賞。しかしその輝かしい功績からわずか数週間後、彼は報道陣に対し自らの采配について弁明をすることになる。レアルがラ・リーガで4位となり、チャンピオンズリーグでイングランドのトッテナム・ホットスパーFCに敗れ、2位に終わってしまったのだ。

「今季、私は世界最高の監督にはなれなかった。それは受け入れている。とはいえ、世界最低の監督だというわけでもない。良いときでも悪いときでも、私はいつでも真ん中にいるんだ」

後編へ続く)

Mike DeCourcy

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Mike DeCourcy has been the college basketball columnist at The Sporting News since 1995. Starting with newspapers in Pittsburgh, Memphis and Cincinnati, he has written about the game for 35 years and covered 32 Final Fours. He is a member of the United States Basketball Writers Hall of Fame and is a studio analyst at the Big Ten Network and NCAA Tournament Bracket analyst for Fox Sports. He also writes frequently for TSN about soccer and the NFL. Mike was born in Pittsburgh, raised there during the City of Champions decade and graduated from Point Park University.