NFLシーズン第9週目は波乱に満ちていた。多くの番狂わせがあった。シーズンも中盤に入り、ここまで下位に甘んじていた、いくつかのチームが上位チームを下したのだ。それにより、今週のNFL パワーランキングにも大きな変動が起きた。
まず、元ランキング1位だったカーディナルスが再びその位置に返り咲いた。上位チームの半分が敗れ、最下位チームは試合がなく、それ以外のいくつか下位チームがファンを驚かせた。
想定外の出来事にも必ず理由があるはずだ。第10週目を迎える32チームの、スポーティングニュースが見る状況は以下の通りである。
NFL パワーランキング
1. アリゾナ・カーディナルス、8勝1敗 (前回の順位:2)
カーディナルスは完全なチームであることを証明した。カイラー・マレー(クォーターバック)とディアンドレ・ホプキンス(ワイドレシーバー)を欠いていたにもかかわらず、サンフランシスコ・49ersを一蹴したのだ。コルト・マッコイ(クォーターバック)と攻撃陣はラッシュ攻撃を多用し、守備陣はさらに積極的なプレイでサポートした。クリフ・キングスベリー(ヘッドコーチ)が率いるカーディナルスはNFCカンファレンスを制するに相応しい戦力を備えていることに疑いの余地はないだろう。
2. タンパベイ・バッカニアーズ、6勝2敗 (5)
バッカニアーズは待ちに待ったバイ・ウィークのおかげで、番狂わせの波に巻き込まれずに済んだ。シーズン後半にむけて、チームの負傷者が少なくなる望みも出てきた。同じNFC西地区のニューオーリンズ・セインツに黒星を喫したものの、そのセインツが今週は敗れたため、バッカニアーズは同地区優勝に一歩近づいた。スーパーボウル連覇の目標に向けて、依然として好位置にいる。
3. テネシー・タイタンズ、7勝2敗 (6)
タイタンズはカンザスシティ・チーフスとバッファロー・ビルズを連破した後、日曜夜のプライムタイムでロサンゼルス・ラムズを相手に再び大きな勝利を収めた。守備陣はマイク・ブラベル(ヘッドコーチ)の期待に応える十分な働きをし、デリック・ヘンリー(ランニングバック)を欠いた攻撃陣も別の戦略が効果的であることを証明した。
4. グリーンベイ・パッカーズ、7勝2敗 (1)
パッカーズがカンザスシティで敗れることは予想されていた。アーロン・ロジャース(クォーターバック)が新型コロナウイルスに関するルールにより欠場することが決まっていたからだ。守備陣は健闘したし、攻撃陣もラン攻撃に活路を見出そうとしていた。だが、ロジャースの代わりに先発したジョーダン・ラブ(クォーターバック)は明らかに役者不足であり、あらためてロジャースの存在の大きさが浮き彫りになった。ロジャースが復帰するときが、パッカーズがNFCカンファレンス優勝戦線に戻るときだろう。
5. ボルティモア・レイブンズ、6勝2敗 (9)
レイブンズはバイ・ウィーク明けのミネソタ・バイキングス戦の前半は低調だったが、後半に入ると攻撃陣も守備陣もギアを上げた。ラマー・ジャクソン(クォーターバック)と他の主力選手たちはジョン・ハーボー(ヘッドコーチ)の期待に応えた。ジャクソンがこの試合のように好調であれば、いくつかのミスがあったとしても、このチームを破るのは容易ではない。
6. ロサンゼルス・ラムズ、7勝2敗 (3)
ラムズはここしばらく格下の対戦相手に恵まれてきたせいか、強敵のタイタンズに立ち向かう準備ができていなかったようだ。攻撃陣はまとまりに欠け、マシュー・スタッフォード(クォーターバック)は大試合での失敗を隠しきれなかった。
7. ダラス・カウボーイズ、6勝2敗 (4)
何が起きたのだろうか。カウボーイズはデンバー・ブロンコスを相手にまったく良いところがなく敗れた。ダック・プレスコット(クォーターバック)は不調であったし、守備陣はやられっ放しだった。これでは勝てるわけがない。このままでは次週のアトランタ・ファルコンズ戦も楽観視できない。
8. バッファロー・ビルズ、5勝3敗 (7)
ビルズにも何が起きたのだろうか。敗戦そのものより、ジョシュ・アレン(クォーターバック)が同名のジョシュ・アレン(ジャクソンビル・ジャガーズのディフェンシブエンド)にサックされたことの方が注目を集めた。だが、それ以上に攻撃陣の調子は悪かったうえ、守備陣もいつもの圧倒的な力を発揮できなかった。アレン(クォーターバック)はシーズン中盤に来てスランプのようだ。この状態から早く脱することが必要だ。
9. ロサンゼルス・チャージャーズ、5勝3敗 (13)
チャージャーズはジャスティン・ハーバート(クォーターバック)を中心にした攻撃力が再び強力になってきた。守備ライン陣第2列に故障者を多く出したが、フィラデルフィア・イーグルス戦ではラン攻撃に対する守備もテコ入れに成功していた。ブランドン・ステイリー(ヘッドコーチ)にとっては貴重な勝利となり、AFC西地区の1位を再び視野に入れた。
10. カンザスシティ・チーフス、5勝4敗 (11)
チーフスは基本に立ち戻り、ターンオーバーやペナルティを少なくすることに集中した。パトリック・マホームズ(クォーターバック)は本調子ではなく、いつもの破壊的な攻撃力は影を潜めたが、それでもその戦略は功を奏した。こうした粘り強い勝利は守備陣の士気を高めるために必要だった。近いうちに強力な攻撃陣が戻ってくることを知っているからだ。
10. ラスベガス・レイダース、5勝3敗 (8)
レイダースはバイ・ウィーク明けの試合で良いスタートを切ったが、デレック・カー(クォーターバック)と攻撃陣が集中力に欠けているように見えた。11月に入ると、パスの失敗はより致命的になってくる。来週日曜夜のチーフス戦では、その弱点が露呈してしまうかもしれない。
12. ピッツバーグ・スティーラーズ、5勝3敗 (12)
スティーラーズにとって、月曜夜の試合は勝たなくてはいけない大一番だった。AFCカンファレンスのプレーオフ進出を狙うレイブンズとクリーブランド・ブラウンズに付いていく必要があるからだ。ナジー・ハリス(ランニングバック)を中心としたラン攻撃が今後ますます重要な要素になるだろう。
13. ニューオーリンズ・セインツ、5勝3敗 (10)
セインツはトレバー・シエミアンとテイサム・ヒルの両クォーターバックを使い、強力な攻撃を見せた。だが、バッカニアーズ戦の勝利で見せた守備力がアトランタ・ファルコンズ相手には崩れてしまった。シーズン後半戦でワイルドカード枠を争うが、これからも好不調の波は続きそうだ。
14. クリーブランド・ブラウンズ、5勝4敗 (16)
ブラウンズは2021年シーズンに期待された姿になってきた。ニック・チャブ(ランニングバック)のラン攻撃とベイカー・メイフィールド(クォーターバック)のパス攻撃が機能し始め、守備陣も試合開始から終了まで安定してきた。シーズン後半戦に向けて、チーム状態は上々だ。
15. シンシナティ・ベンガルズ、5勝4敗 (11)
ベンガルズは先週ニューヨーク・ジェッツに不覚を取り、今週のブラウンズ戦でも挽回できなかった。チームの状態は下降を続けており、ジョー・バロウ(クォーターバック)にとっては苦しいシーズン後半戦になる。
16. ニューイングランド・ペイトリオッツ、5勝4敗 (15)
ペイトリオッツは絶望視されていたAFCプレーオフ進出が視野に入ってきた。ラン攻撃陣と守備陣は試合を重ねるごとに自信を深めている。マック・ジョーンズ(クォーターバック)も毎週のように調子を少しずつ上げてきている。
17. デンバー・ブロンコス、5勝4敗 (21)
ブロンコスの2021年シーズンは終わったかと思われたが、このところ調子を上げてきた。ボン・ミラー(ラインバッカ―)がラムズに移籍した後も、ダラス・カウボーイズ戦では圧倒的な守備力を見せた。ビック・ファンジオ(ヘッドコーチ)の首が一時的につながっただけなのか、あるいはシーズン後半戦で飛躍するのか、今後の展開が楽しみなチームである。
18. アトランタ・ファルコンズ、4勝4敗 (23)
ファルコンズのアーサー・スミス(ヘッドコーチ)はマット・ライアン(クォーターバック)の使い方に一貫性がない。口うるさい指導者であると周囲に知らしめてしまっている。しかし型にはまった攻撃に全員が機能した時、セインツの守備陣を惑わせることに成功した。
19. インディアナポリス・コルツ、4勝5敗 (22)
コルツはシーズン序盤に強敵相手の苦しい試合が続いたが、勝率5割が見えるところまで挽回してきた。それでもタイタンズ相手に2連敗したことは大きな痛手だ。カーソン・ウェンツ(クォーターバック)は戦略を練り直す必要がある。AFCカンファレンス内で多くのチームが上位にあり、ワイルドカード争いに絡むのは容易ではない。
20. ミネソタ・バイキングス、3勝5敗 (19)
バイキングスは接戦に弱い。唯一の例外は敵地で行われたカロライナ・パンサーズ戦くらいだ。問題は攻撃陣、守備陣、スペシャルチームの戦力をタイミングよく結集できていないことにある。これはコーチ陣とクォーターバックの責任が問われる部分である。
21. シアトル・シーホークス、3勝5敗 (17)
シーホークスは試合がなかった。ラッセル・ウィルソン(クォーターバック)が指の故障から復帰できるかどうかがバイ・ウィーク明けのパッカーズ戦でカギとなる。パッカーズもロジャース(クォーターバック)が復帰すると思われるので、かなり厳しい戦いが予想される。ウィルソンが復帰できなければ、シーホークスの連続プレーオフ進出記録も途切れることになるだろう。
22. カロライナ・パンサーズ、4勝5敗 (20)
パンサーズは本来ならプレーオフ進出が狙えるチームだ。クリスチャン・マカフリー(ランニングバック)と守備陣が本来の力を発揮すれば、ではあるが。しかし、サム・ダーノルド(クォーターバック)の調子は悪く、勝機を見出せない場面が多い。
23. サンフランシスコ・49ers、3勝5敗 (18)
49ersにジョージ・キトル(タイトエンド)が戻ってきた。攻撃陣にとっては大きな助けになったが、他の多くのことが上手く行かなかった。ジミー・ガロポロ(クォーターバック)のプレイはまあまあだったが、守備陣に元気がなかった。
24. シカゴ・ベアーズ、3勝6敗 (24)
ベアーズは月曜夜に敵地ピッツバーグで行われたスティーラーズで惜敗した。新人のジャスティン・フィールズ(クォーターバック)が試合前半であまり機能しなかった。マット・ナギー(ヘッドコーチ)はシーズン後半戦も苦しい指揮を強いられる。
25. ニューヨーク・ジャイアンツ、3勝6敗 (27)
ジャイアンツがまたも本拠地で大物食いを演じた。セインツ戦での番狂わせに続いて、レイダースにも勝利したのだ。ダニエル・ジョーンズ(クォーターバック)は堅実なプレイを見せ、守備陣も安定していた。ジョー・ジャッジとコーチ陣の評価を下すのはまだ早い。
26. フィラデルフィア・イーグルス、3勝6敗 (25)
イーグルスはチャージャーズ戦に攻撃陣があと一歩及ばなかった。ボタンの掛け違いから攻撃陣と守備陣に乱れが生じているが、本来なら戦力には不足はないチームだ。ジェイレン・ハーツ(クォーターバック)は批判を免れているには十分なパフォーマンスを見せている。
27. ジャクソンビル・ジャガーズ、2勝6敗 (29)
ジャガーズはアーバン・マイヤー(ヘッドコーチ)の指揮下で最大の勝利を収めた。ロンドンではなく、本拠地の試合であったことも大きい。ジョシュ・アレン(ディフェンシブエンド)と守備陣がビルズのジョシュ・アレン(クォーターバック)と攻撃陣を圧倒した。
28. ニューヨーク・ジェッツ、2勝6敗 (26)
ジェッツは控えのクォーターバックであるジョシュ・ジョンソンを先発させ、後半にマイク・ホワイトへ交代させる大胆な作戦が功を奏した。だが、守備陣が試合全体を通して機能せず、コルツに敗れた。1年目のロバート・サラー(ヘッドコーチ)はこれからも厳しいシーズンが続くが、少しずつ光明が見え始めた。
29. ワシントン・フットボール・チーム、2勝6敗 (28)
ワシントンはバイ・ウィークで試合がなく、シーズン後半戦に臨む前に休養を取ることができた。昨年に続く地区優勝の望みはもうないが、ロン・リベラ(ヘッドコーチ)は続投に向けて、ライアン・フィッツパトリック(クォーターバック)に多くの期待を寄せる。
30. マイアミ・ドルフィンズ、2勝7敗 (30)
ドルフィンズは派手なプレイを見せなかったものの、ジャコビー・ブリセット(クォーターバック)を再び先発に起用し、本拠地で貴重な2勝目を挙げた。守備陣はブライアン・フローレス(ヘッドコーチ)の意図によく応えていた。少しずつではあるが、2020年シーズンの姿に戻ってきているように見える。
31. ヒューストン・テキサンズ、1勝8敗 (31)
テキサンズはタイロッド・テイラー(クォーターバック)を先発に戻したが、ドルフィンズを相手に攻撃力は改善しなかった。テイラーは不要な場面でボールを長く持ちすぎてサックされることが多かった。守備陣は今シーズン最高の働きを見せた。
32. デトロイト・ライオンズ、0勝8敗 (32)
ライオンズはバイ・ウィークで試合がなく、勝利を収めた下位チームの仲間入りをするチャンスを逃した。唯一の未勝利チームという不名誉な状態を続けてしまうのだろうか。続く2試合はいずれも敵地でスティーラーズとブラウンズに挑むことになる。
(翻訳:角谷剛)▶アメフト観るならDAZNで。1か月間無料トライアルを今すぐ始めよう