男子テニスビッグスリーの一角、ロジャー・フェデラーが引退を正式発表「身体が限界に」

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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男子テニス元世界ランキング1位で、4大大会優勝20回のロジャー・フェデラー(スイス)が9月15日、自身のSNSアカウント上で現役引退を正式に表明した。9月23日~25日の欧州vs米国対抗戦「レイバーカップ」(ロンドン)が最後の大会になるという。

フェデラーは、自身のTwitterに4枚の書簡の画像と、字幕付きの音声を公開し、引退を決意したことを明かした。

「これまで友人たちや対戦相手、多くのファンに恵まれたテニス競技者人生だった」と振り返ったフェデラーだが、ここ数年けがによる欠場と復帰を繰り返していた。2016年の手術を行なった左膝、2020年には右膝も手術を施すなど、年々悪化の一途を辿っていたが、「過去3年間はけがや手術が私の挑戦になっていた」と記したように、特に右膝の症状が改善せず、6月と8月にも手術を行なっていた。

復帰を目指し、懸命に取り組んできたが、「もう身体が限界」に達したという。24年間で約1500試合をプレイしてきた41歳の元王者は、今が現役競技者としてコートから離れるときだと引退の覚悟を決めたという。

ジュニア時代から突出した才能をみせたフェデラーは、2003年のウィンブルドン選手権で4大大会(グランドスラム)初優勝を遂げると2009年にはキャリア(生涯)グランドスラムを達成。この間に4年間世界ランキング1位を死守した。4大大会優勝は通算20回に達し、同年代のラファエル・ナダル(スペイン)、後年台頭するノバク・ジョコビッチ(セルビア)とともに男子テニス界の"Big 3"(ビッグスリー)として称賛された。

24年間、40か国を渡り歩いた競技生活を支えてくれた家族やスポンサー、そしてファンに感謝したフェデラー自身、できる限りテニスがしたいという意向を持っているものの、ロンドンでのレイバーカップ(9月23日~25日)がATP大会引退試合になる可能性が高いようだ。

フェデラーと同様に限界に近い身体で戦い続けているナダルは、「友人、そしてライバルである親愛なるロジャー、ぼくにとってもスポーツ界にとっても悲しくて寂しい日だよ。コートの内外で多くの素晴らしい瞬間を過ごし、その年月を共にしたことは喜びでもあり、名誉でもあり、またそれは私の特権でした」とねぎらった。

「この先も一緒に何かを分かち合う瞬間があるでしょう。まだともにできることはいくらでもあるはずだ」

そう綴ったナダルは最後に「ロンドン(レイバーカップ)で会いましょう」と記し、コートでの再会を誓った。ナダルは今年のレイバーカップでフェデラーとダブルスを組むことを希望していた。

男子車いすテニスの4大大会とパラリンピック制覇の「生涯グランドスラム」達成者である国枝慎吾も、2019年「UNIQLO Life Wear Day Tokyo」のなかでフェデラーと「ニューミックスダブルス」を組んだ当時の画像をTwitterに投稿している。

国枝は「フェデラー選手がいたから、こんなにもテニスが好きになった」と画像に添え、感謝した。かつてフェデラーは、日本のマスコミから世界的な日本人テニス選手が生まれないことを問われた際、「日本には国枝がいるじゃないか」と発言するなど、国枝に一目を置き、その後も当人同士での交流があったことが知られている。

フェデラーの引退表明を受けて業界関係者や世界中のファンたちが、喪失感とねぎらいの言葉を送っている。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。