WTAが中国での大会当面中止…彭帥さん問題への懸念で

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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WTA(女子テニス協会)は、現地時間12月1日、中国での大会の当面中止を発表した。同国出身のダブルス元世界1位選手・彭帥さんが政府高官からの性的被害を告白後に安否が一時不明となった問題で、その後の中国側の対応への懸念からスティーブ・サイモンWTA会長兼CEOが同国での大会中止を示唆していたが、それが現実のものとなった。

11月2日に張高麗前副首相との不倫関係と性的被害を告発した彭帥さんは、一時消息不明となるが、11月後半から中国政府に近い人物やメディアによって本人のメッセージや最新の状況が伝えられた。しかし、WTAのサイモン会長はいずれの情報も「検閲や規制を受けていない、本人の意思によるものである信ぴょう性が薄い」として懸念を発し続けてきた。

11月21日には、IOC(国際オリンピック委員会)のトーマス・バッハ会長が、オンラインビデオ電話で彭帥さんと会話し、彼女から北京の自宅で過ごしている」という回答を貰ったと公表していた。しかし、サイモン会長は、「彼女が自由で安全で、検閲、強制、脅迫の対象になっていないことへ証明としては疑問が残る」という声明を出していた。

サイモン会長は、彭帥さんの安全と自由が保証されているとはいえない状況が続く場合、WTAとして中国市場からの撤退も有り得るとも発言していたが、「中国側は信頼できる方法で対処していない」と判断し、当面の間、中国でのWTA統括の大会を見合わせる決定をくだした。

「この問題は決して受け入れられないし、この先も受け入れられることもありません。でなければWTAが設立された理念である"女性の平等"は、計り知れない挫折に苦しむことになるでしょう。WTA理事会の全面的な支援を受けて、香港を含む中国でのすべてのWTAトーナメントの即時停止を発表します」

さらに声明では、世界の声が中国側の対応を変えることを願う言葉が続いた。

「世界中の指導者たちが、経済的影響に関係なく、彭さんとすべての女性のために正義が行われるように、声をあげ続けてくれることを願っています」

トッププロが出場するレベルの大会では、「WTA250 深圳オープン(中国広東省深圳)」が1月開催大会として知られ、今季はコロナ禍で中止となった同大会が2季連続で行われない可能性がある。また、複数のWTA1000グレードの大会のみならず、ツアー最終戦の「WTAファイナルズ」にいたっては2022年から2030年までの中国開催の大型契約を結んでおり、こちらにも影響がありそうだ。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。