大坂なおみが全仏オープン2023に出場しない理由。妊娠を発表した元世界1位はいつコートに戻ってくる?

Ben Miller

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5月28日から開幕する全仏オープンだが、今年のローラン・ギャロスのクレーコートに元世界ランキング1位の大坂なおみは現れない。

大坂が2023年の全仏OPに出場しない理由と、2021年大会でのボイコット騒動を含め、大坂の周辺事情について探っていく。

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元世界ランキング1位の大坂なおみは、現在でもコート内外で高い存在感を放っている。グランドスラム優勝からメンタルヘルス問題に至るまで、この日本人スターの名は常にヘッドラインから遠ざかることがなかった。

大坂は全仏OPではほかのグランドスラム(四大)大会ほどの成功を収めていない。この大会において、3回戦より先に進んだことがないのだ。デビュー以来、クレー(赤土)コートは苦手とされてきた。それでも全体での戦績は悪くはない。出場した12試合のうち7勝を挙げている。

スポーティングニュースでは、この25歳のスタープレイヤーがなぜ2023年の全仏OPに出場しないのかを探ってみた。

大坂なおみは今年の全仏OPに出場しない

今回で127回目を数える全仏OPは、現地時間5月28日に開幕する。しかし、大坂がパリ郊外のローラン・ギャロス(全仏OP開催地)で7度目となる出場をはたすことはない。

大坂は、2022年大会ではダークホース的な存在だと思われていたが、1回戦で第27シードのアマンダ・アニシモバ(米国)に敗れた。

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Iga Swiatek and Naomi Osaka
Getty Images

大坂はなぜ2021年の全仏OPで途中棄権したのか

大坂と全仏OPと言えば、やはり2021年の一連の騒動は避けて通れないだろう。

2021年大会の第2シード選手としてローラン・ギャロスへ赴く前、大坂は選手が出席を義務づけられている記者会見に参加しないと発表した。1回戦に勝利したあとで、大坂は予告した通りに試合後の記者会見に現れなかった。

全仏オープン主催者らは大坂に1万5000ドル(約165万円)の罰金を科し、メディアへの協力義務を放棄し続けた場合はさらなる罰則があると警告した。

メディアやファンを巻き込み、騒動が大きくなるなか、大坂は翌日に大会を棄権することを発表した。その際に大坂がうつ病を告白。トップアスリートとして公にメンタルヘルスの問題について言及したことが、選手、評論家、そしてスポンサーたちの間で大きな反響を生んだ。

大坂の最近のパフォーマンス

2022年8月、全米OPの1回戦でダニエル・コリンズ(米国)にストレート負けを喫して以来、大坂は公式戦に出場していない。

スポンサーやファンの間では大坂はいまでも世界で最も話題になるアスリートのひとりであるが、2021年の全豪OPで優勝して以来、一度もグランドスラムで3回戦より先に進んだことがない。

欠場期間が長引いたこともあり、大坂の世界ランキングは2023年5月中旬には395位にまで落ちている。

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大坂がテニス選手のキャリアで成し遂げてきた偉業

25歳の大坂は元世界ランキング1位であり、グランドスラム大会を4度優勝している。

2018-19年と2020-21年の2回、大坂は全米オープン優勝に続いて翌年の全豪オープンを制した。

興味深いことに、それ以外のグランドスラム大会出場は17度に及ぶが、一度も4回戦より先に進んだことがない。

WTA(世界女子テニス協会)のメジャー大会で挙げた7回の優勝のうち、グランドスラム大会が4回ある。それ以外は大阪(2019年)、北京(2019年)、そしてインディアン・ウェルズ(2018年)である。

大坂がこれまで勝ち取った賞金は2000万ドル(約27億7000万円)を超える。

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大坂のコート外での業績

大坂はキャリアを通じて常にヘッドラインを飾ってきたなかで、アスリートとしてのメンタルヘルス問題告発者としても知られている。

前述通り、2021年の全仏OPで試合後の記者会見を欠席したことで大会運営者から罰金を受けると、大坂は大会から棄権し、メンタルヘルスの問題をその理由として言及した。

後日、事情を明かした大坂は2018年の全米OP以降、長らくうつ状態に悩まされていたことを公表した。以前から試合後の記者会見で突然涙を流すなどの情緒不安定な面もあり、全仏OPの会見欠席も自身のメンタルを守るための苦肉の策だった。

少なからず批判の声もあったが、一方でその数か月後に、東京オリンピックで金メダル候補として期待されていた体操米国代表のシモーネ・バイルズがメンタルヘルスを理由に棄権するなど、同様のケースが続いたこともあり、アスリートの心と体の問題についての理解が進むキッカケにもなった。

2022年の全豪OPでアニシモバに敗れたあと、大坂は「コートのなかでもっと楽しもうとした」ことを語り、自信のメンタルヘルスが改善していることを喜んでいるとも述べた。

また、大坂は社会問題にも関わり続けている。とくに自身のルーツ(父がハイチ人)にもつながる黒人差別問題に対する「ブラック・ライブズ・マター」(BLM運動)に賛同した。

2020年のウエスタン・アンド・サザン・オープンでは、米国警官によるジェイコブ・ブレーク銃撃事件への意識を高めるために大会を棄権すると発表した。WTAは大坂の呼びかけに応え、その日の全試合を延長した。

同じ年の全米オープンでは、大坂は毎試合、人種差別による事件で犠牲になった被害者の名前(ブリオナ・テイラー、イライジャ・マクレーン、アマド・アーベリー、トレイボン・マーティン、ジョージ・フロイド、フィランド・カスティーリャ、タミル・ライス)を記したマスクを着用した。

これらの言動からアスリート界のBLMオピニオンリーダーとして存在感を高めた。

大坂は妊娠公表に際し、何を語ったか

大坂はボーイフレンドのラッパー、コーデーとの間に子どもを妊娠していることをソーシャルメディアで発表し、「ここ数年は色々な意味で極めて困難でもあり、また楽しくもありました」と表現した。

「ここ数か月、競技から遠のいたことは、人生を捧げたこのゲームに新たな愛と感謝をも たらしてくれました。 人生は非常に短いと認識し、当たり前と思わずに毎日が新たな挑戦と喜びです。 将来に向けて沢山楽しみなことがあります」

大坂なおみの次の試合:いつ復帰するのか

大坂は胎児のエコー写真を添えて、「コートに戻る日が待ち遠しいです」とファンに伝えた。

「2023年は私にとって色々勉強する年となります。来年明けから皆さんに会えることを期待しています。 2024年の全豪オープンには出場しますので。永遠に愛しています」と大坂は続けた。

大坂が2024年の全豪OPに出場するとすれば、1月15日か16日の1回戦が復帰戦となる。

全豪OPは大坂の勝率が最も高いグランドスラム大会である。これまでの全24試合中19試合に勝利し、2019年と2021年のシングルス・トーナメントで優勝している。

原文:Why is Naomi Osaka not playing French Open 2023? When pregnant star will return to court
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本語版編集部

※本記事は英語記事を翻訳し、日本向けの情報を加えた編集記事となる。

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Ben Miller has been writing about sport for 25 years, following all levels of football as well as boxing, MMA, athletics and tennis. He’s seen five promotions, three relegations, one World Cup winner and home games in at least three different stadiums as a result of his lifelong devotion to Brighton & Hove Albion. His main aim each week is to cover at least one game or event that does not require a last-minute rewrite.