米国が北京五輪外交的ボイコットを今週にも正式発表へ

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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12月6日、米国の複数メディアは、ジョー・バイデン米国大統領が、2022年2月開幕の北京オリンピックへの外交的ボイコットを今週中にも正式に発表すると報じた。選手は派遣されるが、米政府関係者の派遣をしないことになる。

中国のウイグルやチベットにおける人権問題への懸念に加え、政府元高官との不倫や性的被害を告発した中国の国際的テニス選手・彭帥さんの安否について米政府が確認と証明をするように伝えたが、空振りに終わっていたことが決定打となったようだ。

11月の時点から外交的ボイコットが示唆されていたが、WTA(女子テニス協会)や人権団体などの批判や追求に対し、中国は彭帥さん本人から発信させることなく、政府筋に極めて近い人物やメディアが発信し続け、さらにこの問題に無関係のIOC(国際オリンピック委員会)との2度のビデオ電話会談を通じて「安全だ」と主張したことなどが火に油を注いだ。

中国外務省は、「外交上の問題ではない」と否定したが、かえって反発を生む事態となっていた。

こうした動きを受け、WTAのスティーブ・サイモン会長兼CEOが大型契約を結んでいた中国市場から一時撤退を発表すると、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)ら世界のトッププレーヤーのみならず、世界的なセレブたちもその決断を支持した。それを支持したATP(男子プロテニス協会)は中国市場撤退は保留したものの、世間の注目は大きくなった。

北京冬季五輪開幕まで、わずか2か月前に中国の人権問題がクローズアップされるなか、米国を主とした外交的ボイコットの波が形成され始めた。

現地時間12月5日、米メディア『CNN』などでは、ホワイトハウス関係者が「私たちが懸念している分野があります。人権侵害です」とはっきり明言したことに加え、複数の情報源からの話として、米政府が外交ボイコットが今週中にも正式発表すると伝えた。

「外交的ボイコット」により、米国の代表選手とその関係者は派遣するものの、米国当局関係者は2月の開会式などのイベントに参加しないことになる。欧米メディアは、ウイグルやチベット自治区での人権弾圧に加え、彭帥さん問題がダメ押しになったと伝えている。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。