終わらないジョコビッチ狂想曲、全仏OP出場に望み?

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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オーストラリア政府の国外退去命令により全豪オープン出場を逃し、さらには全グランドスラム大会出場が危ぶまれているノバク・ジョコビッチ(セルビア)について、全仏オープン出場の望みがでてきたと欧州メディアが報じた。

全豪OP出場のために医学的免除を得てオーストラリア入りしたものの、豪政府によって証拠不十分とされ、2度のビザ取消訴訟をもって国外退去となったジョコビッチ。その後、5月の全仏オープン(フランス)、6月末のウィンブルドン選手権(英国)、8月末の全米オープン(米国)の各開催国においてもワクチン未接種者の入国に厳しい対応を取る方針が示されたことで、今季の全てのグランドスラム大会から締め出される可能性が出ていた。

セルビアに戻った怒りのジョコビッチ陣営は、オーストラリア政府を相手取り、全豪OPで優勝で得るはずだった賞金を含めた巨額の賠償請求を計画しているという報道も伝えられた。

こうした一連の騒動における自身の言動への世間の反動もあり、ジョコビッチは期せずして天下の大罪人のような扱われ方をされるようになったが、捨てる神あれば拾う神ありだ。ジョコビッチにとって朗報といえるニュースが届いた。

イタリア紙『La Gazetta』フランス特派員の記事によると、フランス政府の認めるワクチンパスポートである「衛生パス=pass sanitaire)」は6か月以内のコロナ回復者にも与えられるため、12月16日に陽性となり、22日に陰性となって回復した、とされるジョコビッチはそれに該当する可能性があると伝えた。在フランス大使館の公式ページの説明をみると、「過去11日前から6ヶ月前の間に、RT-PCR検査または抗原検査に基づき新型コロナウイルスに感染していたことを示す証明書」があればワクチンパスポートが発行されるようだ。

全豪OP開幕前、エマニュエル・マクロン仏大統領はジョコビッチ騒動に触れた際、ワクチン接種がベースラインだとして厳しい対応を取ることを示唆していた。このため、ジョコビッチの全仏OP出場に黄色信号が灯ったが、一転してワクチンパスポートが福音になるというのだ。

全仏OPは5月22日に開幕し、6月5日に閉幕するため、6月末までのワクチンパスポートでプレーが可能になる見込みだ。オーストラリアで逃したグランドスラム優勝通算21回をフランスで実現することも期待できる。20回のタイ記録で並ぶラファエル・ナダル(スペイン)が全豪OPで先に実現した場合は後追いになるが、少なくとも通算21回に並ぶことはできるかもしれない。

もっとも、ジョコビッチの昨年末のあまりにも迂闊な行動歴の憶測から、昨年12月に陽性から陰性となった検査自体に疑義を唱える声もある。最近でもチェコのワクチン未接種の50代女性歌手が「回復証明」を得るために、故意にコロナウイルスに感染し死亡するというニュースもあった。今後、フランス入りに際しても二転三転する可能性はあり、ジョコビッチ狂想曲に終わりはないようだ。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。