オーストラリア政府が、テニスの男子シングルス世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)のビザを再び取り消した。6日に続き2度目となり、同国政府のアレックス・ホーク移民相はその理由について「健康と秩序のため」とした。
1月10日、一度はビクトリア州の裁判所が不当として政府よるビザ取り消しの撤回を指示、身柄を解放されたジョコビッチは17日開幕の全豪オープン出場に向けて練習を開始した。13日には組み合わせ抽選が行われ、初戦の相手が同78位の同胞ミオミル・ケツマノビッチに決まっていた。
しかし、撤回命令を受けた直後から豪政府は再びビザの取り消しの可能性を示唆。その間にジョコビッチのビザ申請書類の中の入国前の旅行について「なし」と記載しながら、スペインに渡航していたことが明らかに。ジョコビッチは自身のSNS上で虚偽申告は「代理人の人為的ミス」と釈明に追われる事態となった。
また、PCR検査を受けた翌日17日にはジュニア世代のテニスイベントに参加し、マスクなしで記念撮影に及んだことについては「17日の時点では陽性結果を知らなかった」としたが、18日には陽性を自身で認識しながら仏紙『レキップ』の取材をマスクなしで受けていた。
さらに、医学的免除の根拠とした12月16日のセルビア国内での陽性結果が、22日付の陰性結果よりも後日の26日にデータベースに入力された疑いが浮上。ワクチン接種義務免除の理由とした陽性結果そのものに疑義をかけるメディアも登場した。
豪政府は13日中に出すとしていた最終判断について、ジョコビッチの担当弁護士が提供した追加証拠の精査に時間が掛かっているためとしたが、現地時間の14日午後、再びビザ取り消しを発表した。英国営メディア『BBC』などによると、ジョコビッチは強制送還の上、3年間、オーストラリアビザ取得が禁止される可能性がある。
正式なビザ取り消しまでジョコビッチの身柄は拘束されず、再控訴の準備に入る見込みだが、全豪OPの初戦まであと3日、1日前の16日の最終公聴会ですべてが決まることになるが、残された時間はほとんどない。
セルビア国内でも逆風が吹き始めている。当初支持を表明していたアナ・ブルナビッチ首相は、ジョコビッチが隔離期間を無視したことについて明らかなルール違反として遺憾の意を表し、調査することを示唆。状況によっては母国でも窮地に立たされる可能性がある。
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