豪政府がジョコビッチのビザを取消…セルビアとの国家間問題に発展か

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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オーストラリアテニス協会と全豪オープン主催者から医学的免除を得たテニスの男子シングルス世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、同国政府により入国を拒否され、ビザを取り消された。セルビア政府も事態解決に乗り出すなど、国家間の問題に発展しかけている。

ジョコビッチは、1月4日、医学的免除を得てオーストラリア入りすることを自身のSNSで報告。5日にメルボルンに到着したが、空港での入国手続きにおいて、医学的免除の根拠とする適切な証拠が提出できなかったとして、豪国境警備隊(ABF)は、ジョコビッチの入国ビザを取り消したという。

豪テニス協会などの公式リリースによると、ジョコビッチはワクチン接種免除の申請を出し、2つの異なる医療専門委員会による審査を経て、医学的免除を許可されたはずだった。しかし、豪政府は"証拠不十分"として入国を認めなかったようだ。

モリソン首相は自身のTwitterに「ジョコビッチ氏のビザは取り消されました。ルールはルールです。これらのルールを超える人間は誰ひとりいません。私たちの強固な水際政策は、コロナ禍の世界で最も低い死亡率の低いオーストラリアにとって最重要事項であり、引き続き警戒を怠ってはならないのです」と投稿した。

ビザのない者は強制送還か、政府指定の施設で勾留されることになり、ジョコビッチは空港で8時間以上足止めされ、今は新型コロナ陽性者の隔離用ホテルに移送されたようだ。即時に担当弁護士がビザ取消と勾留措置の撤回を求め控訴しており、今後法的な争いになる。少なくとも月曜日に行われる公聴会まで勾留されると欧州スポーツメディア『Eurosport』が伝えた。

ジョコビッチの医学的免除は、厳しいコロナ禍での生活を送ってきたオーストラリア国民から激しい怒りを買い、モリソン首相ら豪政府は国民感情を汲まざるを得なかったという見方もある。モリソン首相のツイートも国民感情の沈静化を狙ったものといえる。

この豪政府の対応にジョコビッチの父スルジャン氏は、「これは息子のための戦いというだけでなく、全世界のための戦いだ」と激怒。さらにセルビアのアレクサンダル・ヴッチ大統領は、「ジョコビッチは嫌がらせの犠牲者であり、セルビア全体が彼を支持している」と述べ、事態の解決に関係各局総出で協力し「国として戦う」と明言するなど、国家間の問題に発展しかけている。

ジョコビッチのほかにも医学的免除を得た2選手が入国審査待ちとなっているという。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。