ウィンブルドン選手権がメドベージェフらロシア選手に"踏み絵"要求か…プーチン不支持なら受け入れ

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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テニス4大大会のひとつであるウィンブルドン選手権の開催国である英国政府と主催者が、現男子シングルス世界1位のダニール・メドベージェフらロシア選手に対し、同国のウラジミール・プーチン大統領支持者ではないことを証明しなければ、同大会に出場を認めない方針にあることを複数の欧米メディアが伝えた。

2月24日のロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始以来、ロシアおよび同盟国のベラルーシの選手・チームに対する排除キャンペーンがスポーツ界全体に及んでいるなか、テニス界は中立的な立場での大会参加を容認する数少ないスポーツコミュニティといえた。

しかし、ウィンブルドン選手権(6月27日〜7月10日)については、開催地の英国政府が、男子シングルス世界ランキング1位のダニール・メドベージェフらロシア選手に対して、"踏み絵"ともいえる条件をクリアしなければ、出場を認めない方向で主催者のオールイングランドローンテニスクラブと調整しているという。

同政府の文化・メディア・スポーツ省のナイジェル・ハドルストン大臣は、中立的立場での参加を認める一方で、「どのような対応が必要かについて、さまざまな競技団体とも話し合っているが、"ロシアの旗を掲げる人物"への出場許可は絶対すべきではない」と明言したと英紙『Express』は伝えた。

具体的には、ロシアによるウクライナ軍事侵攻への反対意志、そして反プーチン大統領の姿勢を指している。体操界ではロシア選手が、ロシア軍の勝利を意味する"Z"を胸につけて表彰台にあがったほか、北京冬季五輪3冠のクロスカントリースキー選手はソ連時代のユニフォームを着た姿をSNSに投稿するなど、平然とプロパガンダを体現するプーチン支持者も現れている。

オリンピックスポーツとして色濃いほどロシアの国策に組み込まれていることから、アマチュアベースの競技者にプーチン支持を表明するケースが見受けられる傾向にある。それに対して、個人のアスリートとして世界で戦う側面の強いテニス界においては可能性は低いものの、ウィンブルドンでは、より踏み込んだ対応として、"踏み絵"を導入するようだ。

ハドルストン大臣は、「彼らがウラジーミル・プーチンの支持者ではないことをある程度、保証する必要があると思います。それらの方針に沿って彼らが保証を得るためには、どのような要件が必要かを検討している状況です」と話した。

この"踏み絵"を通過しなくてはならないロシア人選手は、男子はトップ50のなかではメドベージェフのほか、アンドレイ・ルブレフ、アスラン・カラツェフ、カレン・カチャノフ、女子のトップ50では、アナスタシア・パブリチェンコワ、ベロニカ・クデルメトワ、ダリア・カサトキナ、リウデミラ・サマソノワが該当する。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。