故障抱えた大坂なおみが全仏OP初戦敗退、ウィンブルドンも欠場か

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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現地時間5月23日、テニスの4大大会のひとつ『全仏オープン』(フランス/パリ、クレイコート)の女子シングルス1回戦が行われ、世界ランキング38位の大坂なおみが、同28位で第27シードのアマンダ・アニシモバ(米国)にストレートで敗れ、1月の全豪オープンに続いて連敗を喫した。6月末のウインブルドン選手権については欠場の可能性を示唆した。

昨年の全仏OPでは、大坂は1回戦出場前に選手に義務付けられた記者会見への参加拒否を宣言。実際に参加しなかったことで、主催者から厳しい批難の言葉と罰金を課された。その後、混乱を避けるように2回戦を棄権した大坂は、記者会見拒否は自身のメンタルヘルスを守るためだったことや、数年間うつ病に苦しんでいることも明かした。この告白は、テニス界だけでなくスポーツ界でも議論を呼んだ。

そんな因縁の大会に戻ってきた大坂だが、4月下旬のマドリード・オープンで左足アキレス腱を痛め、BNLイタリア国際を欠場。ぶっつけ本番で通算6度目の全仏OPに臨んだ。

1回戦は、1月の全豪OPの3回戦で負けた相手でもあるアニシモバだったが、リターナーとして機動力とパワープレイを軸にしたスタイルに加えて、同大会でも最高でベスト4を経験。クレイコートを得意とする選手だ。クレイが苦手な大坂にとっては、1回戦では避けたい相手といえた。

第1セットでは粘りをみせた場面もあったが、ダブルフォルトで自滅した大坂は、ブレークを奪われて5-7で逃げ切られてしまう。第2セットでも調子があがらない大坂は、じっくり攻められない。第7ゲームでもダブルフォルトを冒し、隙きのないアニシモバに好機を許し、4-6で決着。ストレート負けを喫した。

ゲーム中からベストコンディションとはいえない動きだった大坂は、試合後、左足首(左アキレス腱)の痛みが残っていたことを明かした。痛み止めを飲んで臨んだが、「第2セットまでは痛みを感じなくて、第1セットは問題がなかった」とWTA公式サイトは伝えている。

2度目の対戦だったアニシモバの戦略を読み切れず、強烈なリターンを受け、対応に迷いがでてしまったことも明かした。とくに前回対戦時に「サーブが重要だった」という反省点から、攻めに焦った結果、ダブルフォルトを冒してしまったようだ。クレイコートへの挑戦を前向きに語っていた今季だが、故障によって結果として2試合しかできなかったことに無念さを口にしていた。

また、ロシアのウクライナ軍事侵攻による、ロシアと同盟国ベラルーシ選手の大会除外と、その影響により男女ともにランキングポイント付与がなくなった『ウィンブルドン選手権』(6月27日開幕、英国ロンドン)について、「グラス(芝)コートの経験を積みたい」という意向はありつつも、ポイントがつかないことから出場しない可能性があることを正直に話した。

男子シングルス世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)は、ポイントなしでも出場するこだわりをみせているが、今年1月31日付けのランキングで85位にまで転落した大坂は、年末のトップ10復帰を目指しており、ウィンブルドン不参加の可能性について話した際も、ランキング上昇をモチベーションにしていることを明言した。ハードコート以外のサーフェスに意気込みをみせていた大坂だが、左足首の回復具合も含め、今季のシーズン戦略に変更を余儀なくされそうだ。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。