14度目の全仏OP制覇で4大大会通算優勝22回に更新したナダル、ウィンブルドン出場は治療結果次第に

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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テニスの『全仏オープン』(フランス・パリ、クレイコート、グランドスラム)男子シングルス決勝を制し、4大大会通算優勝数を「22」に更新した世界ランキング4位のラファエル・ナダル(スペイン)が、6月27日開幕のウィンブルドン選手権について出場を念頭においているものの、慢性的な疾患を抱える左脚の高周波治療の成果次第になると話した。

今季の全仏OP、ナダルは順調に勝利を重ね、準々決勝で長年ライバルである世界ランク1位・第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)との死闘を制し、準決勝では同3位で第3シードのアレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)と対戦。約90分にも及んだ第1セットを先取し、第2セットも激闘となるも、第12ゲームで転倒したズベレフの途中棄権により、決勝切符を手にした(試合翌日、ズベレフは右脚の靭帯断裂という診断結果を公表)。

通算14度目の決勝進出となったナダルは、初対戦となる第8シードのキャスパー・ルード(ノルウェー)を迎えたが、第1セットで2度のダブルフォルトでピンチになるも、すぐに復調して圧勝する。第2セットは先行されながらもすぐに取り返し、怒涛の5ゲーム連取で勝ち切ると、その勢いのまま第3セットを1本も取らせずに完勝。決勝進出すれば100%優勝という記録を守り、14度目の全仏OP制覇を決めた。ゲームスコアは6-3、6-3、6-0だった。

2年ぶりの優勝により、4大大会通算優勝記録を「22」に伸ばし、昨年まで20で並んでいたジョコビッチ、ロジャー・フェデラー(スイス)をまたひとつ引き離した。4大大会マッチ戦績は305勝41敗(勝率88%)、うち全仏OPは112勝3敗(勝率97%)となった。

クレイコートにおける無類の強さを改めて証明したナダルは、決勝直後のオンコートインタビューで、「36歳の今、私がここにいることが信じられない。自身のキャリアのなかで最も重要なコート(ローラン・ギャロス)で、こうして戦い抜いた。それは私にとっては多くのことを意味しますから」と感慨深げだった。そして、「今後、何が起こるかわからないけれど、私はこれからも戦い続けていきます」と宣言した。チームや家族、観客や世界中のファンに向けて感謝を述べ、大会関係者にも最大の賛辞をおくった。

記者会見では、慢性的な痛みを抱えるミュラーワイス症候群(足の付け根の骨に影響を与える変性状態)を抱える左脚について、毎試合、神経を麻痺させる注射を射ってプレイしていたことを明かしている。脚の感覚もなくなるため別の負傷のリスクもあったが、痛みが消え、プレイに集中できたという。

次の4大大会となるウィンブルドン選手権(6月27日開幕)について、「最優先の逃したくない大会」と断言したが、「準備ができたら出場する。それだけです。誰もウィンブルドンを欠場したくないと思う。私はウィンブルドンが大好きだから」と話した。

この準備というのは、英『BBC』によると、高周波で神経を焼いて痛みをしずめる治療のことだという。もしこれがうまくいかない場合は、ウィンブルドン出場は辞退することになるようだ。ナダル自身、今回の全仏OPのように毎試合麻酔薬を射つことはしたくないという。

「麻酔の注射でプレイは可能でしょうが、それはしたくない。再びその状況に身を置きたくないんだ。それは私の人生哲学にそぐわない」

高周波治療がうまくいかない場合、「復帰するのには長い時間がかかるであろう大手術を受け入れる準備ができているか、自問自答しないといけない」と話し、再び長期離脱のになる可能性も示唆した。

「治療がどのように機能するのか、とにかく見てみましょう」というナダル自身の言葉の通り、治療の結果を見守るしかないようだ。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

神宮泰暁 Yasuaki Shingu Photo

日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。