豪政府、13日中にジョコビッチのビザ再取消に関して最終判断 新たな疑惑も浮上

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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オーストラリア政府は、テニス男子シングルス世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に対して再びビザ取消を行うかについての最終決定を現地時間1月13日中にくだす。ジョコビッチ自身はビザ申請書類の虚偽申告を釈明したものの、新たな疑惑が浮上した。

ジョコビッチは、5日にオーストラリア入りし、入国前の14日内に海外旅行をしたかというビザ申請書類の質問に「していない」と回答していた。しかし、昨年末から1月3日にかけてスペインに渡航し、テニス練習施設で練習を行っていたことが『マルカ』など地元メディアの報道や一般市民のSNSでの報告があがり、虚偽であることがわかった。オーストラリア入り前にはドバイを経由したという。

これを受け、ジョコビッチは自身のInstagramに釈明のメッセージを投稿。豪入国前の旅行についての虚偽申告はあくまで自身の代理人による"管理上の人為的ミス"だとした。

さらに12月16日にPCR検査で陽性であることがわかった翌日にジュニア世代のイベントにマスクなしで参加したことについても、ジョコビッチ本人が陽性を知らされていなかったゆえの人為的ミスであると主張している。セルビアのジョコビッチの母は「息子は(自身の陽性を)知らなかった」と擁護した。

12月14日にセルビアのベオグラードで行われたバスケットボール大会の観客に感染者が多くでた中、マスクをはずして観戦していたジョコビッチも例にもれず感染したことになるが、無症状であったため、17日のテニスイベントまで陽性通知を受けていなかったという。

ジョコビッチ自身が陽性を認識したとされる18日には仏スポーツ紙『レキップ』のインタビューを受けており、これについては「断るのが申し訳なかった」からとしたものの、マスクなしでの対応で、記者も陽性の事実は知らされていなかったという。

また、12月22日に陰性になったとする"提出された証明書"についても改ざんされたものではないかとする英紙『ガーディアン』などの報道があった。ドイツ紙『スピーゲル』はリバースエンジニアリング(ハッカー)集団『zeroforschung』の解析リポートをもとに、ジョコビッチのPCR検査結果のデジタルバージョンの確認用IDが、16日の陽性結果のID(7371999)よりも、22日の陰性結果のIDが若い数値(7320919)であると伝えた。

このIDの数字は、検査順分積算されて通常下がる(若くなる)ことはないという。つまり22日の陰性結果は、16日の陽性結果よりも前に発行されたものである疑惑が浮上した。

内部データのタイムスタンプについても解析され、同集団は16日の検査結果は26日に入力されたものだとしている。同集団の報告をもとに取材した『スピーゲル』によると、ジョコビッチとセルビア保健当局に質問したところ回答がなかったという。ジョコビッチとコーチ陣はメルボルンのロッド・レーバー・アリーナで練習を開始している。

一方、ビクトリア州裁判所によってビザ取消の撤回を指示されたオーストラリア政府だが、再びビザ取消を行う可能性があることを表明している。その最終決定が遅れているのは、ジョコビッチの担当弁護士が提示した追加証拠書類の精査のためだとアレックス・ホーク移民大臣は話した。

ホーク大臣は13日中には最終決定をくだすことを示唆しており、全豪オープン開幕4日前に"ひとまずの"決着がつくことにはなりそうだ。

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。