パリ大会に向けメドベージェフと練習するジョコビッチ…全豪OPについては回答拒否

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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プロテニス男子シングルス世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)が、パリ・マスターズ(11月1〜7日)に向け、因縁の相手ダニール・メドベージェフ(ロシア)と練習するなど、全米オープン以来となる実戦復帰に向けて動き出している。ワクチン義務化問題で揺れる全豪OPについては正式発表があるまで回答しないと表明した。

1969年のロッド・レーバー(オーストラリア)以来の男子年間グランドスラム達成を目指して出場した全米オープン決勝でメドベージェフに敗れ、しばし休養期間に入っていたジョコビッチが、屋内ハードコートの大会となるパリ・マスターズで実戦復帰する。

すでにフランス入りしているジョコビッチは、ニースのムーラトグロウ・テニスアカデミーで、友人でもあるメドベージェフと練習するなど、自身のSNSで再始動の模様を伝えている。

東京五輪、全米OPでの敗戦ショックから、そのまま今季終了の可能性もあったジョコビッチだが、パリ大会後のツアー最終戦ATPファイナルズ(イタリア・トリノ、11月14〜21日)にも出場し、"年間最終世界ランク1位"を狙う。現在、ジョコビッチが10,340ポイント、メドベージェフが9,540ポイントで競り合っており、その差は800ポイント差。

メドベージェフの成績次第でも条件が変わってくるが、ジョコビッチとしては最終戦前にパリ・マスターズ優勝の1000ポイントで引き離したいところだろう。ファイナルズでは全勝優勝で1500ポイント獲得が可能だ。ジョコビッチは90年代から00年代初期に活躍したレジェンド、ピート・サンプラス(米国)の年間最終1位通算6シーズンの記録に並んでおり、通算7シーズンで単独1位に立つことができる。

「これまでの経験から、敗戦は成長のチャンスだと思うようにしてきた。全米OP決勝での敗北は、ある意味、自分にとって最悪の、あるいは最高のタイミングで訪れたと感じている」というコメントがATP公式サイトで紹介された。目下の目標である"年間最終世界ランク1位"達成に集中している。

ただ、新型コロナウイルスのワクチン接種義務化問題で揺れている来年1月の全豪OPについては、「オーストラリアテニス協会から公式の発表や声明が出ない限り、仮定の話はできない」として言及することを拒否したとスポーツ専門メディア『EUROSPORT』などが伝えた。

WTA選手協議会のメールのリークや、オーストラリア連邦政府関係者の発言から、ワクチン未接種者も完全な陰性証明の上、2週間の隔離で全豪OPに出場できるという見通しがたったものの、未だに正式な発表がなく、全豪OPという枠をこえて社会的な分断が生まれているのも確かだ。

「スポーツだけでなく社会全体で、ワクチン接種を受けていない人とワクチン接種を受けた人の間には、多くの分断がある。それは本当に恐ろしいことだ」と述べ、結果的にメディアの圧力的な報道が差別を生み出していることについて憤りを示している。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。