現地時間8月16日、大坂なおみは、全米オープンの前哨戦のひとつであるウエスタン&サザンオープン(シンシナティマスターズ)大会前のオンライン公式記者会見に出席。同会見中、地元紙の記者の質問に答えを窮し、涙する場面があった。全仏オープンで会見を拒否したことからWTAツアーとしては約3カ月ぶりの記者会見だった。
会見に臨んだ大坂は、東京五輪の感想や、五輪期間中にメンタル面で複数の試合を棄権した体操女子のシモーネ・バイルス(米国)についてなど時折、笑みをこぼしながら、意見を述べた。
ところが大会の地元紙『Cincinnati Enquirer(シンシナティ・エンクワイヤラー)』の記者から、記者会見でメディアの前に出ることを拒否しながら、大坂自身のSNSでの発信でメディアに登場し大きな利益を得ていることについてのバランスを問われると、大坂は答えに窮し、しばらくして「私もその答えを探しています」と答えると、涙を拭う仕草をみせた。
Naomi Osaka bursts into tears and exits podium while addressing how she has felt since withdrawing from French Open. pic.twitter.com/xBn8XRF8FB
— The Shadow League (@ShadowLeague) August 16, 2021
司会者が約5分間の休憩を入れて再開したあと、大坂は地震で被害を受けた父の故郷であるハイチへの大会賞金の全額寄付について、「ハイチのために自分の賞金を支援団体に渡すというモチベーションのためにもこのトーナメント(ウエスタン&サザンOP)で優勝したい」と真摯に答えている。その後は笑みも戻り、日本語の質問などにも応じた。
ただ、記者会見後、大坂の代理人スチュアート・デュギッド氏は、同記者の質問に抗議する声明を出している。
Naomi Osaka's agent Stuart Duguid:
— Ben Rothenberg (@BenRothenberg) August 16, 2021
"The bully at the Cincinnati Enquirer is the epitome of why player / media relations are so fraught right now. Everyone on that Zoom will agree that his tone was all wrong and his sole purpose was to intimidate. Really appalling behavior."(1/2)
Duguid (2/2):
— Ben Rothenberg (@BenRothenberg) August 16, 2021
"And this insinuation that Naomi owes her off court success to the media is a myth – don’t be so self-indulgent."
「シンシナティ・エンクワイアラーの"いじめっ子"は、選手とメディアの関係が不穏な状況にある理由の縮図です。会見を見ていた誰もが彼の口調がすべて間違っていて、唯一の目的が(大坂を)威嚇することにあったと同意するでしょう。本当にぞっとするような行動です」「彼女のコート外での成功はメディアによるものだというのは神話です。あまりにも横暴すぎる」
1300人の死者が出たハイチ地震の質問で感情的になったという一部報道もあったが、”いじめっ子”こと地元紙記者による「大坂自身のメディアに対するバランス関係」についての質問がキッカケだ。その地元紙記者ポール・ドハティ氏の質問は、淡々とした口調による"耳の痛い質問"という類のものだった。
会見後に公開された同氏の記事(英語)では、大坂の「私はテニス選手なので、多くの人が私に興味を持っています。そういう意味では、私は多くの人とはかなり違うと思いますし、ツイートしたりすることでたくさんのニュース記事を作られたりします。いくつかのグランドスラムで優勝し、多くの記者会見をするようになったから(自身が注目されているの)だと知っていますが、この2つ(SNSによる露出と会見での露出)のバランスを取る方法はよくわからないです。私もあなたと同じように考えています」という言葉を引用。
これに対し、ドハティ氏は思慮深いと感想を述べつつ、「34年間のスポーツ記者として得た答えとは異なる」と主張。「彼女は人間的で、それを(周囲に)見せても構いません」と肯定するような箇所もあるが、どこかレトリックで皮肉めいた印象のある記事となっている。
大坂自身は真摯に答えていたことを踏まえると、代理人の"いじめっ子(The bully)"という言葉がひとり歩きしている面も否めないが、スポーツ選手とメディアの関係が難しい時代にあるという新たな一例となった。
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