北島康介さんら競泳元日本代表選手が閉館する『日本水泳界の聖地』に惜別

牧野豊 Yutaka Makino

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左から末永、寺川、中村、宮下、山口、田中(敬称略)

2004年アテネ、2008年北京とオリンピック2大会連続で男子100m、200m平泳ぎ2冠を達成した北島康介さんが3月18日、東京・辰巳国際水泳場で行われた東京都マスターズ大会男子50m平泳ぎ(短水路25m)に出場した。

現役最後のレースとなった2016年日本選手権(リオ五輪代表選考会)以来となる7年ぶりのレースでは、スマートフォンを片手に数多の大会出場者が見守る中、29秒00で組1着に。「元気に泳いでいる北島康介を、もう一度見せることができてよかった」と振り返った。

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水泳界の聖地へ北島康介氏ら元日本代表選手らが感謝

今回の北島さんの大会出場は、「水泳界の聖地」への感謝の意を示すものでもあった。東京・辰巳国際水泳場は1993年8月の開館以来、ジュニアからトップレベルの選考会も含め、数多くの大会が行われてきた日本水泳界を象徴する場所。特に東京都出身の北島さんにとっては、ジュニアアリンピック(年齢別全国大会)や日本選手権、200m平泳ぎの世界新記録樹立(2008年)など特別な思い出はもちろん、中高校時代の都大会、都の選抜チームの合宿等で足繁く通うなど、自身の水泳人生の喜び、悲しみ、苦しみ全てが投影された場所でもあった。

同所は、東京五輪に合わせて東京アクアティクスセンターが新設されたことを受け、3月いっぱいで閉館、アイスリンクとして改装される。その流れの中、北島さんが会長を務める東京都水泳協会の呼びかけで、金藤理絵さん(16年リオ五輪女子200m平泳ぎ金メダル)はじめ、中村礼子さん(04年アテネ、08年北京五輪女子200m背泳ぎ銅メダル)、寺川綾さん(12年ロンドン五輪女子100m背泳ぎ銅メダル)、末永雄太さん(08年北京五輪男子平泳ぎ代表)、男子200m平泳ぎ前世界記録保持者の山口観弘さん(2013年世界選手権男子平泳ぎ代表)をはじめ、かつての日本代表選手たちが今大会に集結。レベルに関係なく水泳を楽しむマスターズスイマーから温かい声援を受けながら、共に笑顔で、「聖地」での最後の泳ぎを楽しんだ。

「聖地がなくなるのは寂しいですが、東京アクアティクスセンターで、また新しい歴史を、若い選手たちが作ってくれることを本当に願っています」と北島さん。今後、スイマーとしてのマスターズ大会出場については「無理です」と完全否定したものの、日本の水泳界を盛り上げる活動には引き続き尽力していく。

元日本代表選手たちの辰巳への惜別の声

寺川綾さん(2012年ロンドン五輪女子100m背泳ぎ銅メダリスト)

「いきなりの参加で、マスターズの皆さんには申し訳ない気持ちだったのですが、皆さん快く受け入れてくださり、すごく幸せな気持ちになりました。こうして思い出の多い辰巳で、現役引退(2013年)以来、またここで、最後に思い出の詰まった辰巳で、自分を育ててくれたプールに、みんなで入れる機会をいただけてよかったです」

中村礼子さん(2004年アテネ五輪、2008年北京五輪女子200m背泳ぎ銅メダリスト)

「2008年の北京五輪以来の大会でした。実はこの大会に出る前に、寺川さん、明日出場予定の柴田亜衣さん(04年アテネ五輪女子800m自由形金メダリスト)と少しだけ練習したのですが、やはり難しかったですね。辰巳では本当に小さい頃からずっと泳いできて、最後にここで泳ぐ機会をいただいてよかったです」

田中雅美さん(2000年シドニー五輪女子メドレーリレー銅メダリスト)

「今日は2004年のアテネ五輪以来のレース。泳ぐ感覚はどうなるかわからなかったですが、やっぱりここは、泳ぐ感覚は世界一好きなプールだなと思いました。一番の思い出は、2000年の日本選手権で全7レース全てで日本新記録を出したことです。自分の現役時代の生涯ベストでしたし、先日、北島君と久しぶりに話した時に、『あんなことはないよ』と覚えていてくれていることもすごくうれしかったです」

宮下純一(2008年北京五輪男子メドレーリレー銅メダリスト)

「自分たちの水泳全てが詰まった場所のラストは、プールサイドではなくプールの中を泳いで噛み締めたいと思い参加しました。自分が初めて辰巳に来たのは1994年のジュニアオリンピックの時で、以来29年間、いろんな思い出があるなか、一番の思い出は、08年の日本選手権で北京五輪の代表(100m背泳ぎ)を決めたレースです」

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牧野豊 Yutaka Makino

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東京・神田生まれの神田育ち。上智大学卒。1993年から約30年間、スポーツ専門出版社で雑誌・書籍・ウェブ媒体の取材・原稿執筆・編集全般に携わる。その間、バスケットボール(NBA含む)、アメフト(NFL含む)のムック、水泳競技、陸上競技の月刊定期誌の編集長を歴任。各競技の国内主要大会をはじめ、アジア大会、世界選手権、オリンピック等、国際大会の現地取材を経験。