【ジェイ・ボスロイド独占コラム】古巣・札幌の現状を憂う「とても心配している」

Jay Bothroyd

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サッカー元イングランド代表のフォワード(FW)で、Jリーグのジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌でもプレーしたジェイ・ボスロイド氏が、2023年シーズン第3節を控えるJリーグについて『スポーティングニュース』に独占コラムを寄稿した。

試合終盤のPKの蹴り直しで物議を醸した第2節の川崎フロンターレ対鹿島アントラーズの一戦や、古巣・札幌の現状について、歯に衣着せぬ持論を展開している。


【動画】ジェイ・ボスロイド氏が語る古巣・札幌の問題点

 

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「王者の横浜F・マリノスを倒すのは難しそう」

Jリーグの新シーズンが始まって2週間しか経っていないが、すでに、王者の横浜F・マリノスを倒すのは難しそうに見える

ケヴィン・マスカット監督は、とてもうまくチームをまとめ上げた。彼はハイプレスを好む監督だ。イングランドで選手としてプレーしていたときの彼がそうであったように、選手たちにもアグレッシブなプレーを求める。

マリノスはエネルギッシュにプレーする。ポゼッションを失わないだけでなく、素早く突破できる能力は、他のチームには真似できないものだ。いいプレーができていないときでも、スピードのあるアタッカーと、得点を決められるフィニッシャーがいる。アンデルソン・ロペスは、得点王を争える選手だ。

ヤン・マテウスは、2-0で勝利した浦和レッズ戦で得点を挙げた。マリノスのスカウト陣が優秀なことを証明する好例だ。チームの中に、ブラジル人5選手の小さなコミュニティーがある。話し相手がいて、居心地もいいはずだ。

ジュビロ磐田と北海道コンサドーレ札幌では、イングランド人が私一人だったので苦労した。(チームメートよりも)イングランド人の通訳との方が親しくなったくらいだ。一人でチームに加入すると、適応するのは難しいものだ。マテウスがマリノスに加入したときに、他のブラジル人選手がいたことは救いになっただろう。

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「失敗したPKは、今まで見た中でも最低のものだった」

第2節のビッグニュースは、川崎フロンターレが鹿島アントラーズを2-1で下した試合の終盤に起こった出来事だ。終了間際に川崎が同点に追いつき、退場者が出て、PK失敗があり、PKのやり直しがあった。短い間にたくさんのことが起こったのだ!

失敗したPKは、今まで見た中でも最低のものだった。キーパーはボールが来る前に、すでに地面に倒れていた。私は家長昭博を高く評価しているが、あのPKは彼のような高い技術を持つ選手が蹴るようなものではない。ひどいPKだったが、やり直しのPKを自らもう一度蹴った勇気は認めたい。

私はPKを蹴るときに特別なテクニックを使ったりしなかった。蹴る方向がキーパーにバレないように、助走は短めにとった。キーパーが触れてもゴールが決まるように、シュートに力を込めて角を狙った。

方向はキーパーから見て左に蹴るのが好きだった。サイドネットか上の角に突き刺すように蹴るのだ。家長がとったようなリスクはとらなかった。PKを蹴ってキーパーがファインセーブをしたら諦めがつくが、家永のようなキックで失敗したら、周りから間抜けだと言われてしまう。蹴り直しのチャンスをもらえた彼はラッキーだった。

川崎は世代交代の時期にあるように見える。ベテラン選手が多くなってきた。彼らは堅実で、とても優秀な若手選手もいるが、今はそれをまとめることができていない。

レジェンドの中村憲剛は、とても重要な役割を担っていたが、彼はもうチームにいない。試合のテンポをコントロールしていた選手だ。小林悠はまだ現役で、素晴らしいゴールスコアラーだが、キャリア終盤に差し掛かっている。レアンドロ・ダミアンがいなければ、中心になる選手を欠いてしまうだろう。

私の元同僚、チャナティップ・ソングラシンは負傷中だが、先日連絡したときは、復帰に向けて頑張っていると言っていた。大きなクラブで、能力の高い選手たちとプレーすることは、札幌にいたときとは違う挑戦だ。

「私がいた頃、彼は1対1の練習を一切しなかった」

私の古巣である札幌については、とても心配している。2試合で勝ち点1しか獲得できていない。それに、サンフレッチェ広島との開幕戦での引き分けは幸運だった。

これまでと、ほとんど同じチームだ。同じフォーメーションで、プランは一つしかなく、新しいことは何もしていない。札幌には馴染みがあるし、選手たちを知っているだけに期待している。だが、実力を発揮できていないと思わずにいられない。

アウェイで広島に勝つのは難しいことは分かっている。それでも、札幌はもっと決定的なチャンスを作り出すべきだった。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督はシュートを打つことを重視するが、ペナルティエリア外からのシュートは重要ではない。決定的なチャンスか、少なくとも、「決められたかもしれない」というくらいの、ペナルティエリア内からのシュートチャンスを作り出す必要がある。

札幌は、多くの選手たちが本来のポジションでプレーしていない。田中駿汰はディフェンダーを務めているが、本来はミッドフィルダーだ。荒野拓馬は本来ミッドフィルダーなのに、ストライカーをすることがある。ヨーロッパのクラブからも注目されている金子拓郎は、チームのスター選手だ。彼はウイングバックでプレーしているが、1対1の局面を増やすために、もっと前の右ウイングで出場すべきだ。

福森晃斗は、まったく変わっていない。彼は守備がうまくない。ポジショニングが悪くて、スピードもない。セットプレーはうまく、パスも素晴らしいが、彼は守備をするのが仕事だ。私がいた頃、彼は1対1の練習を一切しなかった。ミシャ(訳注:ペトロヴィッチ監督の愛称)が個人的に指摘しても、ディフェンダーとして自分のパフォーマンスを見ることはなかった。

彼にはサッカーへの情熱が薄いように感じられた。守備に戻るときも、全力ではなくジョギングだった。私が彼を非難しているように聞こえるかもしれないが、そうではない。守備能力さえ磨けば、間違いなくヨーロッパでプレーできるくらいの実力を持つ選手なのだ。

札幌が充実したシーズンを送るには、守備を修正する必要がある。私がいた頃から、札幌の守備力には問題があった。ミシャは守備に興味がないようだが、2点をとっても、4点奪われれば試合には勝てない。彼には少し妄信的なところがある。マルセロ・ビエルサに少し似ているかもしれない。札幌は守備を修正し、違う戦術を用意する必要がある。そうしなければ、残留争いをすることになるだろう。

「彼は誰の意見にも耳を傾けない頑固な男」

犯人探しをしていると思われるかもしれないが、それは違う。ミシャが日本サッカー界にもたらしたものは大きい。彼は最初、広島にやって来て、素晴らしいサッカーを見せた。しかし、大きな大会で優勝できていないのは、彼のプレースタイルが原因だと思う。1-0のリードを守るために、攻撃をやめ、コンパクトに守備を固めることをしたがらない。だからこそ、いつもあと一歩のところで壁を超えられないのだ。

彼は広島と浦和をあと一歩のところまで連れて行ったが、両クラブが成功を収めたのは、ミシャが去った後のことだ。広島は、彼の退任から4年間で3つの国内タイトルを獲得し、浦和は彼が去った直後にACLで優勝した。

彼は、誰の意見にも耳を傾けない頑固な男だ。戦術やフォーメーションを絶対に変えない。だから札幌が成功するのは難しいだろう。とても優秀な選手がいるチームなので、成功できるだけの力はあると、私は思っているのだが…。

翻訳:早坂卓真

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Jay Bothroyd

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Jay Bothroyd is a columnist for The Sporting News, offering his expert take on the world of football. Jay enjoyed an illustrious career in England as a striker with the likes of Wolves, Cardiff City and QPR, and spent time with Perugia in Italy. He moved to Asia in 2014, where he enjoyed a goal-filled spell in the J. League with Jubilo Iwata and Hokkaido Consadole Sapporo. He has played for his country at both junior and senior level, making his full international debut for the Three Lions against France in 2010. As well as writing for TSN, Jay is an established TV pundit in the U.K.