なぜローマはジョゼ・モウリーニョを解任? セリエAでの成績やタイトル

Ben Miller

坂東実藍 Miran Bando

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ローマがジョゼ・モウリーニョ監督を解任した。セリエAでここ6試合1勝のローマは、シーズンの折り返し時点で中位にあり、ここ6年で最も低い順位となっている。

2021年5月に就任したモウリーニョは、2年連続でセリエAでは6位という成績だった。2021-2022シーズンにはUEFAヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)で優勝を飾っている。

だが、ベンチ入り禁止処分のためにモウリーニョがスタンドから戦況を見守ることになった1月14日のミラン戦で、ローマは1-3と敗戦。1月10日に行われたコッパ・イタリア準々決勝、ラツィオとのダービーマッチで0-1と敗れたのに続き、ここ5日間で公式戦2連敗を喫していた。

モウリーニョの退任について、ローマはどのように言っているのか。ローマにおけるモウリーニョの成績はどのようなものだったのか。『スポーティングニュース』がまとめる。

なぜローマはジョゼ・モウリーニョ監督を解任した?

1月16日の公式声明で、ローマのダン・フリードキン会長と、その息子でクラブの運営を監督するライアンは、「即時変更」がチームにとっての「最善の利益」になると話した。

「ASローマの全員を代表し、就任以降の情熱と努力をジョゼには感謝したいと思います」

「我々は、ローマにおける彼の在任中の素晴らしい思い出をずっと持ち続けるでしょう。ジョゼとアシスタントコーチたちの今後の活躍を祈っています」

『La Repubblica』の報道として『Tutto Mercato Web』が伝えたところによると、フリードキン親子はミラン戦の黒星を受け、リナ・スロウクCEOとモウリーニョの進退について電話で会議したという。

ローマは欧州カップ戦出場ラインに4ポイント差。来季のUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)出場ラインに5ポイント差の位置にある。

今季のUEFAヨーロッパリーグ(UEL)では、6試合で4勝をあげ、スラビア・プラハに次ぐ2位でグループステージを突破。2月のプレイオフではラウンド16進出をかけ、ECL決勝で下したフェイエノールトと対戦する。

ローマはX(旧ツイッター)で、「ASローマ全員を代表し、すべてに感謝します。ジョゼ」と、トロフィーを掲げるモウリーニョの写真を投稿した。

ジョゼ・モウリーニョのクラブ別獲得タイトル

モウリーニョはこれまでクラブで26のトロフィーを獲得してきた。2021年のカラバオ・カップ決勝を目前にトッテナムに解任されており、決勝でマンチェスター・シティに0-1で敗れたが、モウリーニョはトロフィー0.5個分を獲得したと挑発的に冗談を飛ばしたこともある。

初タイトルはポルト時代の2003年。その後、チェルシー、インテル、レアル・マドリー、マンチェスター・ユナイテッドでトロフィーを獲得してきた。

ポルトで獲得したタイトル

タイトル シーズン
プリメイラ・リーガ 2002-03
タッサ・デ・ポルトガル 2002-03
スーペルタッサ・カンディド・デ・オリベイラ 2003
UEFAカップ 2002-03
プリメイラ・リーガ 2003-04
UEFAチャンピオンズリーグ 2003-04

チェルシーで獲得したタイトル

タイトル シーズン
カラバオ・カップ 2004-05
プレミアリーグ 2004-05
FAコミュニティー・シールド 2005
プレミアリーグ 2005-06
カラバオ・カップ 2006-07
FAカップ 2006-07
カラバオ・カップ 2014-15
プレミアリーグ 2014-15

インテルで獲得したタイトル

タイトル シーズン
スーペルコッパ・イタリアーナ 2008
セリエA 2008-09
コッパ・イタリア 2009-10
セリエA 2009-10
UEFAチャンピオンズリーグ 2009-10

レアル・マドリーで獲得したタイトル

タイトル シーズン
コパ・デル・レイ 2010-11
ラ・リーガ 2011-12
スーペルコパ・デ・エスパーニャ 2012

マンチェスター・ユナイテッドで獲得したタイトル

タイトル シーズン
FAコミュニティー・シールド 2016
カラバオ・カップ 2016-17
UEFAチャンピオンズリーグ 2016-17

ローマで獲得したタイトル

タイトル シーズン
UEFAヨーロッパカンファレンスリーグ 2022

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モウリーニョのローマでの成績・タイトル

モウリーニョは2021年4月にトッテナムで解任の憂き目に遭った。ユナイテッドやチェルシー時代に続き、6年で3回目となるプレミアリーグのクラブでの解任で、評判は損なわれた。それでも、7億ドル(約1036億円/1ドル=148円換算)でのローマ買収から9か月後のモウリーニョ招へいは、フリードキンにとってある種の目玉補強だった。

2021-2022シーズンのECL決勝で、ニコロ・ザニオーロの決勝点でフェイエノールトを1-0で下し、モウリーニョ率いるローマは優勝を飾った。昨季のUEL決勝でも、大会最多優勝回数を誇るセビージャを相手に先制したが、最終的にはPK戦の末に屈している。

Tammy Abraham celebrates to the camera in front of Roma fans at the Stadio Olimpico
Fabio Rossi/AS Roma via Getty Images

最初の大型補強は、3400万ポンド(約63億5800万円/1ポンド=187円換算)で獲得したタミー・エイブラハム。加入1年目、エイブラハムは公式戦27得点をあげた。

2年目はエイブラハムが1年目の得点を再現できず、ローマはリーグの上位9チームで最少の得点数に終わった。終盤の7試合で4ポイント獲得にとどまり、4位に7ポイント差でシーズンを終えている。

元ユベントスのパウロ・ディバラがフリーで加入したこのシーズンは、そのディバラが18ゴールを記録。ローマはUELグループステージでベティスに次ぐ2位となり、プレイオフではザルツブルクを下して決勝トーナメントに駒を進めた。

その後、同大会でローマはレアル・ソシエダ、フェイエノールト、バイヤー・レバークーゼンとの6試合のうち5試合で無失点。セビージャとの決勝に勝ち進んだ。

Getty Images

週末のミラン戦で敗れた試合後、ローマでメディアに対応したのはアンドレア・ベロッティだけだった。そのベロッティはチームが「どん底にあると感じている」と話している。

モウリーニョの審判批判と処分

イタリアでの快挙とともに、モウリーニョは審判に対する振る舞いで処分を科されてきたこともよく知られている。

5月のモンツァ戦で試合後にダニエレ・キッフィ主審を「キャリアで出会った中で最低の審判」と評し、モウリーニョは停止処分を科された状態で今シーズンを迎えた。

2022-23シーズンUEL決勝では、試合後に駐車場でアンソニー・テイラー主審に近づき、スラングをまじえて「面汚し」と罵倒。この様子はソーシャルメディアで知れ渡った。モウリーニョには4試合のベンチ入り禁止処分が科されている。

2023年12月には、マッテオ・マルチェナーロ主審の「感情面の安定」を疑問視し、罰金処分を科されている。

ローマ次期監督にはダニエレ・デ・ロッシ

ローマはクラブのレジェンドであるダニエレ・デ・ロッシが後任と発表した。2023-24シーズン末まで指揮を執る。

2006年にイタリア代表でFIFAワールドカップ優勝を経験したデ・ロッシは、2001年から2019年までローマで616試合に出場し、3つのトロフィーを獲得している。EURO2020ではアッズーリ(イタリア代表)でロベルト・マンチーニ監督のアシスタントコーチを務めた。

デ・ロッシは2022年10月にセリエBのSPALで初めて監督を務めたが、18位という順位だった4か月後に解任されている。

デ・ロッシは「今からシーズン終了までに我々を待ち受ける挑戦に臨むために、献身的に日々犠牲を払い、持てるすべてを出す以外にありません」と話した。

「我々のベンチに座ることができるという興奮は、言い表すことができないほどです。私にとってローマが何を意味するかは周知のとおりでしょう。しかしすでに、我々全員を待つ仕事が優先です」

「我々には時間も選択肢もありません。競争的になり、目標のために戦い、その達成を目指すのです。私とスタッフが優先するのはそれだけです」

デ・ロッシ体制の初戦は、1月20日のホームでのヴェローナ戦。フリードキンは「常に彼の特徴だったリーダーシップと野心は、シーズン終了までのチームの目標を達成する上で決定的なものになり得ると考えています」と話した。

「ダニエレとクラブの断ち切ることのできない絆は承知していましたが、熱意をもって今後のこの挑戦をすぐに受け入れてくれたことで、選手たちの導き役となる彼の能力、そしてこのクラブの価値を代表することへの誇りをさらに確信しました」

※この記事はスポーティングニュース国際版の記事を翻訳し、日本向けに一部編集を加えたものとなります。
翻訳:坂東実藍
編集:スポーティングニュース日本版編集部

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Ben Miller has been writing about sport for 25 years, following all levels of football as well as boxing, MMA, athletics and tennis. He’s seen five promotions, three relegations, one World Cup winner and home games in at least three different stadiums as a result of his lifelong devotion to Brighton & Hove Albion. His main aim each week is to cover at least one game or event that does not require a last-minute rewrite.

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フリーランスライター。NBAや欧州サッカーを中心に担当。執筆業は約20年の40代。マジック・ジョンソンのような華麗さを夢見るが、現実は地味キャラ。ならば目指すはサネッティのような継続性か。日々、子どもたちの世話に追われながらバスケとサッカーを追い続け、地道に各種媒体へ寄稿。