FIFA女子ワールドカップ2023にVARはある? 仕組みや担当審判は?

Patrick Brischetto

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サッカーファンは長年、ピッチ上の主審の判定を見直し、ほとんどのミスが確実に修正されるように、何かしらのビデオ判定の導入を求めてきた。

しかし、テクノロジーの導入は論争に終止符を打つのではなく、シンプルに論争に拍車をかけている。誤った判定が変更されて満足しているファンもいるが、多くのファンは決断が下されるまでに時間がかかりすぎで、自然な感情や祝福が奪われ、それでもなお時々ミスがあると考えている。

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ただ、好き嫌いは別に、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)は、国内リーグでも国際舞台でも、サッカーの多くの面で当たり前となった。

『スポーティングニュース』では、FIFA女子ワールドカップ(W杯)2023でVARは導入されるのか、大会における役割についてまとめた。

FIFA女子ワールドカップ2023でVARは導入される?

FIFAは、女子W杯2023の全64試合でVARが導入されると発表している。

VARは2018年に競技規則に記され、同年の男子W杯ロシア大会で初めてFIFA主要大会に導入された。そして翌年、FIFAは女子W杯にも導入することを決定している。

物議を醸さなかったわけではない。カメルーンは、ラウンド16のイングランド戦でVARによる2つの大きなミスが0-3の敗戦につながったと抗議した。イングランドの得点後に3分間にわたってキックオフを拒んだり、立て続けの故意のファウルを犯し、カメルーン選手がイングランド選手につばを吐いた疑惑も持ち上がるなど、カメルーンは試合中の振る舞いで大きく批判された。

それでも、FIFAの主要大会やその他の大陸の大会でVARの使用は続けられ、2022年の男子W杯にも用いられている。

VARの仕組み

VARは2名の審判が担当し、メインの審判がピッチ上の主審による判定のすべてを見直し、「チェック」や「レビュー」をしている際は、アシスタントVAR(AVAR)がピッチ上の出来事を見て、レビュー可能なケースを記録し、レビュー結果を放送局に連絡する。

VARは「明確かつ明白なミス」を覆すためのものであり、ゴール、PKの可能性があるプレイ、レッドカードを出すべき反則行為などが含まれる。

多くはピッチ上の主審がプレイを中断させ、VARと連絡していることを示すためにイヤホンに手をかざす。さらに見直したいと感じれば、ピッチサイドのモニターでリプレイを確認し、様々な角度やスローモーションで該当のプレイを見直すことができる。

コンスタントにVARと連絡をとってはいるが、最終的な決断を下すのはピッチ上の主審で変わらない。ピッチで下された判定をVARが直接覆すことはできない。

ファンはVARの声を聞くことができる?

ビデオレビューはサッカーに限ったものではなく、ラグビーやクリケットなどでは以前から独自の技術導入がなされている。

ラグビーやクリケットのビデオアシスタントが異なるのは、自宅やピッチで観戦しているファンが、リアルタイムに決定が下される様子やその理由を聞ける点だ。サッカーではこれが導入されておらず、多くのファンはVARのチェック中に何が起きているかや、判定理由が分からずにフラストレーションを感じている。

しかし、今大会の女子W杯でこれが変わるかもしれない。『Forbes』は、ピッチ上でのライブコミュニケーションが使用されるかもしれないと報じている。つまり、主要大会で初めて、VARのブースで判定が下される様子をファンが知ることができるのだ。

FIFA審判委員会のチェアマンであるピエルルイジ・コッリーナは、「この試験導入は、VAR介入後の主審の判定をすべてのステークホルダー、つまりスタジアムの観客やテレビの前のファンがより理解できるようにすべきとの要望があったからだ」と話している。

FIFA女子ワールドカップ2023のVAR担当審判

オーストラリアとニュージーランドで開催される女子W杯2023でVARを担当するのは19名の審判だ。女子W杯では初めて6名の女性審判がVARを担当する。

VAR担当審判
Abdulla Al-Marri カタール
Chris Beath オーストラリア
Muhammed Taqi シンガポール
Carol Anne Chenard カナダ
Drew Fischer カナダ
Tatiana Guzman ニカラグア
Armando Villarreal アメリカ
Salome Di Iorio アルゼンチン
Nicolas Gallo コロンビア
Daiane Muniz dos Santos ブラジル
Juan Soto ベネズエラ
Ella De Vries ベルギー
Marco Fritz ドイツ
Alejandro Hernadez Hernandez スペイン
Massimiliano Irrati イタリア
Juan Martinez Munuera スペイン
Sian Massey-Ellis イングランド
Pol van Boekel オランダ

原文:Is there VAR at the 2023 Women's World Cup?: How does it work? VAR officials at World Cup(抄訳)
翻訳:スポーティングニュース日本版編集部

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Patrick Brischetto

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Patrick is a journalist currently based in Sydney who covered the 2022 FIFA World Cup and 2023 Women's World Cup for The Sporting News. He also holds a position at the Western Sydney Wanderers FC, and is slowly attempting to convince the world that the A-League is the greatest sporting competition.