1月27日、バルセロナはラ・リーガのスリリングな試合でビジャレアルに敗れた。だが、試合後に見出しとなったのは、その試合結果ではない。
バルセロナのシャビ監督は、ホームで3-5と敗れた試合後、今シーズン終了後に退任すると発表した。「選手たちのため」の決断と話している。
首位ジローナとの勝ち点差が11ポイントになった試合後、シャビは「首脳陣のために自分が去るのが最善だ」と述べた。
「私はベストを尽くす。そういったすべてが流れを変えるのに役立つと思う。これが、私が発したいメッセージだ。私は自分が正しいことをしていると思う」
次に注目されるのは、シャビの後任監督だ。クラブのレジェンドの後を継ぐというだけで十分に困難だろう。だがさらに、バルセロナの持続的な財政的困難から、かつてはサッカー界の頂点とも見なされていた「バルサの監督」は、今では困難を伴う仕事となっている。
シャビの後任:バルセロナの次期監督候補
バルセロナの首脳陣はしばらく前からシャビが退任した際のプランBを考えていた。それが今季終了後に実現することとなる。しかし、現状点で他を抜きんでる候補者はいない。
バルセロナの全員が支持するような人物が現れない限り、レースは非常に接戦となることが予想される。ここでは、その候補者たちをまとめた。
イマノル・アルグアシル
レアル・ソシエダでの仕事ぶりは、バルセロナ上層部を感心させたと報じられている。
52歳の指揮官は指導者キャリアのすべてをバスクのクラブで過ごしてきた。様々なレベルの指揮を執り、2018年にトップチームの監督に就任。2019-2020シーズンのコパ・デル・レイ優勝や、UEFAヨーロッパリーグ(UEL)でベスト8に2回導いた。今季はUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)のグループステージで、昨季準優勝のインテルを相手にグループ首位で決勝トーナメント進出を果たしている。
『Sport』紙は以前、バルセロナのスポーツ部門の首脳陣が、イマノル監督のプレイスタイルがバルセロナにとって完璧と考えていると報じた。
ラファエル・マルケス
44歳のマルケスは2022年6月からバルセロナのBチームを率いている。元バルセロナ監督のジョゼップ・グアルディオラやルイス・エンリケと同じ指導者キャリアのスタートだ。
元メキシコ代表のマルケスは1月27日の試合後、「機会があればノーとは言わない」と話した。
マルケスは2003年から2010年にかけ、バルセロナで公式戦242試合に出場し、UCL優勝2回を含む12のトロフィーを獲得している。グアルディオラの1年目に三冠を達成した2008-2009シーズンには、公式戦37試合に出場した。
チアゴ・モッタ
バルセロナの有名な下部組織出身で、トップチームで6年を過ごし、インテルやパリ・サンジェルマンで大きな成功を収め、2018年に引退した。
41歳のチアゴ・モッタは2022年にボローニャの指揮官に就任。ポゼッションを土台とする攻撃的なサッカーという、バルセロナと似た哲学のプレイスタイルを植えつけた。以前にセリエAのジェノアやスペツィアでも指揮を執っており、マルケスのような監督にはない経験を積んでいる。
ジョゼップ・グアルディオラ
現実的ではないように聞こえるかもしれない。だが、グアルディオラは常にどこかでバルセロナに戻るのではないかと予想されている。
昨年1月26日、グアルディオラは「(アシスタントコーチで)指揮を執っていて、バルセロナから呼ばれれば、バルセロナに行くだろう。私のクラブだ」と口にした。
シャビを巡るニュースを受け、現マンチェスター・シティ指揮官の当時の発言が再び注目されているが、これはカタルーニャに戻るという現在の心情を反映しているものなのだろうか。現時点では、不可能な夢と思われる。昨季、グアルディオラはシティで三冠を達成し、今季はそのタイトルすべてを守ることもできる位置につけている。シティとの契約も2025年までだ。
ユルゲン・クロップ
1月26日、クロップは2023-24シーズン限りでリバプールを去ると発表し、サッカー界を驚かせた。
クロップは「このクラブのすべてをとても愛している。この街のすべてを愛している。サポーターのすべてを愛している。チームを愛している。スタッフを愛している。すべてを愛している」と述べた。
「それでも、私がこの決断を下したのは、そうしなければいけないという確信を示している。何と言ったらいいか…エネルギーが尽きつつあるんだ」
クロップが休止期間を望んでいることを考えれば、バルセロナ監督就任の可能性は低いと見られる。だが、イングランドの別のクラブで指揮を執らないと約束したことは、バルセロナが夢を見ることもできるということだ。ジョアン・ラポルタ会長は以前からクロップがトップチームを率いることを望んでいる。
ユリアン・ナーゲルスマン
2022年7月、バルセロナがバイエルン・ミュンヘンからロベルト・レバンドフスキを獲得した際、当時バイエルンの指揮官だったナーゲルスマンは、「まったくお金がなくても、どんな選手でも獲得できる唯一のクラブだ」とバルセロナに厳しいコメントを浴びせた。
しかし、この発言はすでに過去のものとなったようだ。シャビの後任にナーゲルスマンを据えるというアイディアは、ファンの間で人気となっている。
2023年にバイエルンで解任の憂き目に遭ったナーゲルスマンは、EURO2024でドイツ代表の指揮を執る。だが、長期的な未来は不透明だ。
ロベルト・デ・ゼルビ
イタリア人指揮官は2022年9月にブライトンの監督に就任して以降、プレミアリーグの注目株となった。バルセロナの哲学に完璧にフィットする魅力的で攻撃的なサッカーに加え、ダイヤモンドの原石を真のスター選手に育てる力は、財政的に厳しい立場にあるクラブにとって素晴らしい財産となる。
ジョゼ・モウリーニョ
2010年から2013年までレアル・マドリーの指揮を執り、バルセロナと激しい戦いを繰り広げた。クラシコの歴史でも有数の激しいライバル関係にあった。そのモウリーニョがバルセロナの監督になるというのは、あり得ないことに思われるかもしれない。だが、裏にはそれなりの意味がある。
モウリーニョは1990年代半ば、ボビー・ロブソン監督の通訳、そしてアシスタントコーチとして、バルセロナで働いている。その後ルイス・ファン・ハール監督のアシスタントコーチを務め、24年前にベンフィカで初めてトップチームの指揮官となった。
近年、モウリーニョの株は下がっている。だが、ローマではUEFAヨーロッパカンファレンスリーグを制し、ファンをまとめることに成功した。2024年1月に解任された時、多くのローマファンはモウリーニョが去ることを望まなかったのだ。
バルセロナが長期的な選択肢を見る前に財政的な立て直しを図りつつ、ベテランのスター選手と有望な若手選手が混ざるチームからベストを引き出すのに、モウリーニョは短期的に役立つ人選かもしれない。
原文:Next Barcelona manager: Top candidates for Xavi replacement, including Imanol Alguacil, Guardiola, Mourinho, Klopp(抄訳)
翻訳:坂東実藍